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「Dサイネージは必要か」の議論について

※この記事はデジタルサイネージのお仕事をしているだけの喜多村真個人の意見に基づいています。所属する企業、団体の見解ではありません。また、登場する人物、クライアントはフィクションであり、実在の方とは異なっています。

悩みを抱える知り合いがいました。彼は今回の地震に際して、クライアントの要請に基づき電気を使うフィルム看板を全て消し、案件も全て中止させたのですが、「自分のやっている仕事はなんなのか、そんなに必要とされないのか」と感じてしまった様です。真面目な方です。きっと地震の被災者を助けられない苛立ちも手伝ったのでしょう。
私はこの悩みを「考え過ぎ」とは言いません。強いて言うなら、その悩みを整理する方法があるはずだ、と考えます。
必要とは何なのか。
企業活動において”社会貢献”と”必要性”は根本的に違うテーマです。
時々、”必要性”と”社会貢献”は混同される時がありますが、この二つは違う事柄です。
“必要性”とはまた「無くてはならない」という意味です。
例えば、健康に生きるためには病院が”必要”です。民主主義を機能させるためには情報伝達の手段<メディア>が”必要”です。
“社会貢献”とは社会制度の安定を暗黙的な前提にした、利益の交換です。
例えば、ディズニーランドは娯楽や教育を提供し、コンビニは便利さによって社会貢献し、便器メーカーは暖かい便座で人々を迎えることで社会貢献します。パチンコも旅行産業も同じ様に社会貢献でしょう。金銭と交換される当事者利益が殆どと見えますが、それでも広い意味では社会貢献と呼ぶべきです。
3月11日以前と以後
3月11日以前の社会では、「元気に経済活動する」だけで十分に社会の公益でした。経済活動それ自体が”社会貢献”でした。
経済活動が社会貢献である点は今後も変わらないでしょうが、3月11日以後の東日本では変化がありました。
まず、仕事が電気を消費するに値するほどの社会貢献か、他者に説明しなければいけないような気がしてきたりします。
単に必要性を追求されているなら、「世の中には必要の無い事柄もいっぱいあって、そうやって人間は生きている」と言わなければなりませんが、「どれほどの貢献か」という点については答えにくい。しかも誰も本当はそんな説明を求めていない。つまり端的に言うと、人々、それも企業に一部の勤める人々が「自分の仕事は人々に対して貢献できているのか」という自問自答を抱えたのだと思います。停電した暗い部屋の中で行われるこの種の問いは重すぎる。
貢献出来ると信じる
最初の知人の話に戻りましょう。私は彼に言いました、「必要性を考えるのはやめましょう。今から、仕事でできる、誰かへの貢献を考えましょう」。彼は、電気を使わないで掲示できる代替の格安ポスターサービスを広告媒体に提案しました。広告媒体の運営者も電気を使うアナログ看板が掲示出来ずに困っていたので、この話はすぐにまとまりました。
3月11日以前の姿に戻るだけが答えでは無いかもしれません。
3月11日以前の姿に戻るのも大事な答えなのかもしれません。

こんな時だからデジタルサイネージで貢献したい

私の例で言うと、とあるお客様からDサイネージプロジェクトの予定通りの設置を要請されました。
今回の地震で大きな被害を受けた業務もあったにも関わらずです。
お客様は「広告以外にも伝えたいことがあるからちゃんとやりたい、ちゃんと復活しているところを見せたい」と言います。
私は、予定が押していて大変ですががんばります、とお答えしました。
元気に点灯しているだけで社会貢献になんだ、と言えるようなDサイネージを作りたいと思いますし、そのために、まず点けてみるのです。
この記事についてのご意見、情報、問い合わせのある方は、
喜多村(macorinu@gmail.com)までご連絡をお待ちしております。

デジタルサイネージと電力の関係について

デジタルサイネージプロデューサーの喜多村です。
ここ数日、3月11日大震災の発生に伴って停止された東日本のDサイネージネットワークをどのように再開するべきか、業界内で活発な議論が交わされています。
特に、福島原発の事故を遠因とする電力需給の逼迫が難しい問いを投げかけています。
ここでは、電力とDサイネージの関係に焦点を絞って議論を掲載します。
節電するべき時間帯がある
節電が必要なのは、電力の消費が供給量を超えると予測できない停電が起きるからであり、
需要が下がっている時に節電をしても効果があまりありません。
よって、Dサイネージはまず、ピーク時間帯を避けて点灯再開出来れば理想的です。
夏季ロード・カーブ
(エネルギー白書より転載 電力消費ピーク日における一日のロード・カーブ(電力消費推移))
上画は観難くて申し訳ないのですが、真夏の一日における電力消費の推移を表しています。
夏季と冬季の電力消費比較
上図は海外のものですが、夏と冬のピーク時間帯の違いを表す概念図です。
冬は帰宅時の暖房と照明によって17時から20時ごろピークとなります。
出社時の朝方も少し上がります。どちらも冷えている部屋を暖めたい時間帯です。
夏であれば朝の10時から19時あたりまで長く節電が必要そうです。
Dサイネージを点灯したい時間帯にピークが来ている点が悩ましいですが、
「とりあえずオフピーク運転」という再開方法は、
比較的理解を得やすいのではないでしょうか。
情報が安定して流れてこないが
前述の運用方法も、公表される計画停電や電力消費のピーク予測に関する情報が正確ではないかリアルタイムではないという現実があり、対応を難しくしています。Twitterにて以下のような情報発信が東京電力から行われていますが、節電運用の参考とするには全然足りません。
東京電力株式会社 公式Twitter
http://twitter.com/#!/officialtepco
逆に言えば、電力に関する情報が安定して発表されるようになってきたら再開する、という考え方もあるでしょう。いつになるのか誰にも判りません。
省電力設定をディスプレイに施すのは余り効果的ではないらしい
ディスプレイメーカの方からのご指摘では、コンテンツの差し替えやディスプレイの輝度を下げることは実質的な省電力効果が殆ど期待できないとのこと。
福島第一原発の安定には五年はかかる?
まだ予断を許しませんが、福島第一原発は再臨界による格納容器崩壊、高濃度放射性物質の漏出という最悪のシナリオが遠のきつつあるとのこと。そこで当然、「このまま福島原発が収まったらDサイネージを再開しよう」というご意見もあろうかと思います。では、いつ収まるのか。
建屋上部が崩壊した1号機、3号機、半壊の4号機は燃料抜き取り等に必要なクレーン設備が破壊されたと思われます。屋根もないプールの中に使用済み燃料が収まったまま、抜き取りも出来ずに戦々恐々としながら冷えるのを待たなくてはいけません。何もしないと台風の時期も次の地震もあのままとのこと。福島第一原発が安全だと宣言できるのは6年後ではないか、という意見もあります。
つまり福島第一原発の問題が完全に収まる前に、日常に戻らなければいけません。
電力の消費により理解の得られる運用とコンテンツを考え、前向きに進む決断が必要です。
以下のムービーの45分ぐらいから、福島原発の今後について大前研一氏が解説しています。
地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後(大前研一ライブ579)
無停電電源装置で点灯し続けるのは無理だが
ピーク時間帯をUPSのバッテリーで稼働させられるかなと考えました。
端末側の消費電力
60型ディスプレイ 1面 400w
PC 250w
ネットワークと周辺機器 50w

最大これぐらいのものでしょうか?
700Wを力率0.6(ぐらいですよね?)で割ると約1160VA。
これを1時間稼働させるUPSを調べましたが高すぎ、大きすぎます。
UPSで平時と同等の運営をするのは不可能ではありませんが難しい。
ただ、災害情報を提供するDサイネージとしてUPS搭載は意味があります。
私も、UPSが停電を感知したら画面が緊急避難経路に切り替わったり非常電灯になるDサイネージを機能設計したところ、コンペでとてもほめられました。東北でも今回大停電が起き、商業施設内から逃げる方の中には混乱がありましたね。
(結局、弊社案は他の理由で採用されませんでした。。。今なら実施されたかもしれない。)
700wの端末が1000カ所あれば700kwです。結構な消費量です。
Flashより動画の方が消費電力が少ない場合がある
コンテンツの差し替えで省電力は見込めない、という話をしました。その通りだと思います。
ですから、あまり以下は気にしなくても構わないマメ知識です。
Flashはある程度CPUのパワーに依存する代わりに高い互換性を持っている再生技術です。
逆に動画ファイル再生の場合、今時のPCやSTBはグラフィックプロセッサが再生を処理し、微差ですが、同等の解像度のFlashより消費電力が少なくなる場合があります。個々では無視できる差ですが、気は心、ということもあろうかと。
※追記1 2011年3月22日 10:24
以下の2サイトがオープンされ、電力に関する情報が入手しやすくなりました。
東京電力 「電力の使用状況グラフ(当社サービスエリア内)」
http://www.tepco.co.jp/forecast/index-j.html
Yahoo! Japan 「東京電力、東北電力管轄の地域の方へ 効果的な節電と停電の対処方法をご案内します」
http://setsuden.yahoo.co.jp/
※追記2 2011年3月22日 12:22
Twitter諸氏曰く「震災直後にPCを消灯してオフィスサイネージを活用したためエネルギー効率が高くなった」という事例があったとのこと。サイネージが節電に役立つなんてすばらしい。
※この記事は喜多村個人の意見に基づいて記述されており、
所属している企業、団体及びデジタルサイネージ総研様の見解とは異なる場合があります。
この記事についてのご意見、情報、問い合わせのある方は、
喜多村(macorinu@gmail.com)までご連絡をお待ちしております。

災害情報 サイネージコンテンツの無料提供開始

デジタルサイネージプロデューサーの喜多村です。

この度の東日本大震災に被害に遭われた皆様に哀悼の意を表します。
富士フイルムイメージテック株式会社では、「ソーシャルメディア・デジタルサイネージコンテンツサービス」を災害情報の提供目的として無料で皆様にご利用頂くことといたしました。

当該システムは

1. Twitterから特定のアカウントや特定のキーワードを含むメッセージをサーバーが拾い出し保存、
2. Flashで可視化、
3.サイネージで当該flashのURLを指定して表示
という内容で、サーバー側で不要と思われる情報を手動で削除することも可能です。
(※動作には安定してオンラインで接続されていることが必要です)
現在は流言が表示されることを避けるために、政府広報など情報の出所が信頼できると思われるアカウントのみをサポートする方針です。
サンプル:首相官邸 災害関連

http://flash.locamoda.com.s3.amazonaws.com/fuji/twitterflow/twitterflow-1.1.3-a.swf?id=56231

詳しい使用方法、表示できるTwitterアカウント等を記した資料をお送りいたしますで下記まで

お問い合わせください。

富士フイルムイメージテック株式会社

新規事業開発部 担当:喜多村

メール:macorinu@gmail.com

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