NPO が運営するデジタルサイネージ事例とそのビジネスモデル

2008-06-07 :, , , , , , : DSI : 1,498 views

NPO の運営するデジタルサイネージが JR 田町駅にあるのをご存知でしょうか?

5月末に新しく設置されたこの情報端末は「視覚障害者のための音声誘導ナビゲーション」であるという点が特徴で、デジタルサイネージの事例としては非常にユニークなビジネスモデルです。

[youtube:http://youtube.com/watch?v=yrlnTgQ9gI4]

NPO 法人 日本福祉環境協議会が運営するこのデジタルサイネージについて、システム構築と運用を受託されたコミュネット株式会社さんに詳しいお話を伺いました。

ビジネスモデルとしては、まず NPO 法人が端末を購入し、港区に寄付します。その後、NPO 法人は港区から運営の委託を受けて広告収入で運営をまかないます。

この端末のある田町駅芝浦口(東口)は東京都の管理下にあるため、都の景観条例など様々な条件をパスする必要があり、2006年冬から1年半がかりで設置にこぎ着けたそうです。東京都の許認可を受けるのに成功したポイントは、以下の2点だということです。

  1. ユニバーサルデザインに基づく福祉設備であること
  2. したがって、広告を主な目的としたものではないこと

NPO 法人自体、音声誘導システムの普及を活動目的の一つとしており、自身の提供するカード型発信器に対応した音声案内システムに、デジタルサイネージを組み合わせて行政に提案したというわけです。これによって、関係者全員にメリットが生まれます。

  • 港区は視覚障害者向け案内板の設置、運用に関わるコストを一切負担する必要がなくなる
  • 東京都はコストをかけずに福祉環境の充実をはかることができる
  • NPO 法人は自身のカード型発信器の利用価値を高めるとともに、広告収入により経費を捻出できる可能性がある
  • 近隣の事業者は新しい広告手段を手に入れられる
  • 視覚障害者にとっても暮らしやすい環境になる

最終的に住民の利益に還元されるというところがポイントでしょう。

現在のところ、広告枠はまだほとんど空いていますが、非常に安い料金設定になっているので近いうちに埋まるかも知れません。ちなみに広告枠は2種類あり、左上の32インチモニターをフルに使うものが月額26,250円〜105,000円、左下のタッチパネル式のカテゴリー分けされた周辺情報案内が6,300円〜21,000円(近隣の事業者のみ)となっています。なお、東京都の解釈では、周辺情報案内の部分については広告とは見なしていないそうです。

このような安い広告料がデジタルサイネージの標準価格になってしまうと、営利目的でデジタルサイネージを運営する事業者にとってはなかなか厳しいものがあるかも知れませんが、NPO 法人 日本福祉環境協議会では、1年間の試験運用の後、港区内のほかの駅前にも案内板の設置を進めたい意向だそうです。

また、筐体については、東京都の条例で奥行き20センチ以内と決められているため、冷却装置などは搭載せず、4つのファンによる強制排気だけとなっています。いちおう屋根がかかっているため直射日光はほとんど当たりませんが、屋外に近いので雨がかかる可能性があり、排気口にはキャップが取り付けられていました。

筐体背面の排気口

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