福岡街メディアの経緯とソフトバンクのデジタルサイネージ戦略

2008-07-15 :, , , , , , , , : DSI : 4,433 views

ソフトバンクグループでデジタルサイネージ事業を行う COMEL が福岡市内に展開してきた「福岡街メディア」が、7月からディスプレイ数を300面へと大幅に増強して本格スタートを切りました。10月までに1000面に拡大するという大規模な投資に踏み切ったわけです。

7月1日に、23の企業や地域団体のロケーションをネットワークした300面のディスプレイからスタートし、10月まで に、福岡市地下鉄、ドラッグセガミ、ドラッグイレブン、唐人町商店街、藤崎商店街など福岡市内を中心に1000面まで拡大、福岡の生活者1日約200万人 にリーチする予定だ。
COMEL、デジタルサイネージによる地域密着型メディア「福岡街メディア」スタート:ソフトバンク ビジネス+ITより、一部引用)

いよいよという感じなのですが、ここでソフトバンクグループのデジタルサイネージへの取り組みの経緯を振り返ってみたいと思います。

ソフトバンクグループの100%子会社(当初は SONY との共同出資)である COMEL株式会社 が設立されたのが2006年7月で、翌年3月に福岡街メディアが64面でスタートしているわけですが、設立時の代表取締役社長であった上窪政久氏は2006年度早稲田大学スポーツ科学研究科修士課程(トップスポーツマネジメントコース)にも在籍、『デジタルサイネージ事業を活用したスポーツプロモーション戦略』と題した論文を発表されています。

福岡と言えば 2005年にソフトバンクが買収した福岡ソフトバンクホークスのお膝元ですから、ソフトバンクグループのデジタルサイネージ事業はこの球団のプロモーション戦略とも深い関わりがあったことがうかがえます。

実際、前述の論文にはこのような記述があります。

デジタルサイネージ事業を活用したスポーツプロモーションをトップスポーツの球団やクラブが展開する狙いのひとつは、自らメディアを保有し、プロモーション戦略を展開することにより、スポンサー収益を増大させることが可能になるということである。デジタルサイネージ事業によって、スタジアム内の大型看板などのスポンサーであるナショナルブランド企業やローカル企業から、追加のスポンサー収入を期待できるのである。

ビジネスケースで検証したように、ナショナルブランド企業の比率を高め、平均広告単価を100万前後、稼働率60%をターゲットにし、デジタルサイネージ事業を展開すると投資回収期間も短く、投資効果も高い事業になる。初期投資が2.1億円に対して、5年間で、売上高の合計が14.4億円、営業利益の合計が5.6億円、累積利益が3.5億円を見込める。さらにリースを活用した場合には、初期投資額が、0.65億円に対して、5年間で、売上高の合計は14.4億円、営業利益の合計は5.4億円、累積利益は4.7億円になると予測できる。事業を拡大した場合には、4倍の8.4億円の設備投資をして、5年間で、合計42億円の売上、営業利益の合計は15.5億円、累積利益は7.2億円を見込める。現在のプロ野球12球団やJリーグのクラブにおける当期の経営利益が、数億から十数億円であり、多くの球団やクラブがマイナス数億円の赤字であることを鑑みると、十分に利益貢献ができる事業である。

ソフトバンクグループが福岡を皮切りにデジタルサイネージ事業の展開を始めた背景には、デジタルサイネージ事業そのものの事業性に加え、グループ内の球団が自前のメディアを持つことによるプロモーション戦略という、一挙両得の狙いがあったものと考えられます。

またデジタルサイネージの配信に欠かせないネットワーク周りにも、ソフトバンクグループの保有する ADSL 網や HSDPA 無線網といったインフラを活用できます。

この辺りの戦略性はさすがですね。

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