キーパーソンインタビュー ストリートメディア 大森氏に聞く 「神田商店街から発信する地域型デジタルサイネージの可能性」

2009-10-08 :, , , , : DSI : 2,614 views

神田の商店街で地域型デジタルサイネージに取り組んでいるストリートメディア株式会社 大森さんに、この夏に実施した「ラーメンバトル」のお話や今後の事業展開をお聞きしてきました。

西澤(以後—で表記)今日は、この夏、神田商店街のラーメン店が参加しデジタルサイネージと携帯電話で、人気を競ったイベント「ラーメンバトル」が話題になりましたね。今日はそのあたりを伺いたいと思います。
ラーメンバトル

大森(以後・)はい。まずこれまでの経緯なんですが、ストリートメディアは昨年4月に神田で生まれた会社なんです。そして、地元の商店街の皆さんと協力しながら、また、経済産業省の援助を受け、昨年12月から、神田駅周辺の商店街に弊社の高機能デジタルサイネージ「Touch!ビジョン」を40台以上設置しました。
 そして、東京MXテレビの番組と連動したコンテンツ配信という、放送波でデジタルサイネージに配信すること。また、このサイネージに流れる映像、例えば、傘屋さんの情報が放映されている時に、携帯電話(FeliCaリーダ付き)でサイネージにタッチすると、携帯にこの傘屋さんの情報が取り込める、そんな実験に成功しました。

—実験の反響はどうでしたでしょうか?

・おかげさまで、生まれたばかりの会社にしては過分の評価をいただき、そのテレビ局等からの問い合わせが殺到して嬉しい悲鳴の年末でした。
 そして、その後も商店街の居酒屋さんをはじめ飲食店情報等は特に評判がよく、特にあるラーメン屋さんなどは、サイネージでこの店の映像が流れる際に携帯電話でタッチすると、携帯に「ラーメンのトッピング100円分サービス」と言ういわゆるケータイクーポンを発行したところ、毎日10人近いお客様が携帯画面をかざしながらお店にはいっていらっしゃったんですね。これはお店にとって、ひいては商店街にとっても大いなる「成果」だったんです。
海人

—なるほど。この「成果」がラーメンバトルに結びついたと。
・はい。そんな中で商店街の会長から、神田、特に西口商店街はラーメン店が軒を並べたまさに「ラーメン激戦区」なんだよと。そして、先ほどのラーメン屋さん達ともお話しする中で、各ラーメン店とお客様が参加し、盛り上がるイベントを、このサイネージや携帯電話で出来ないか、と言うことになったんです。

—そして、この夏に実施になったんですね。真夏の暑い時期になぜ。
・おっしゃるとおり。人気のラーメン店でもさすがに7月後半から8月は売上が落ちる。その打開策としても期待されたわけで、その意味でも価値ある成功事例になったと思います。

—具体的には、どのように「ラーメンバトル」はおこなわれたんですか。
・まず、7月21日から8月7日までの約3週間に、神田西口周辺のラーメン店6店舗が参加。それぞれのお店に行って「おいしい」と思ったら、店に設置された、ラーメンバトル専用のタッチパネル「Pico!タッチ」にお客様が携帯でタッチします。そうすると自動的に1票が入ります。同時に、携帯画面にはアンケート画面が現れ、そのお店で「何ラーメンを食べましたか」から、具体的に「このラーメンの総合評価」「スープ」「麺」「サービス」等の評価が星で3段階で出来るようにしました。ここでも、お客様の評価した星の数が自動集計される、そんな仕組みをつくったんです。
 さらに、スタンプラリー的に、一店毎にお客様の携帯画面に印がついていき、6店全店制覇すると「ラーメン1杯サービス」と言う特典を、お店の協力で付けることができたんですね。

—それは楽しい仕掛けですね。

・また、イベントを盛り上げるために、ちょうどこの時期にアルバムをリリースした新進歌手の伊達晃二さん、この方はラーメン王子とも言われている、まさにラーメンフリークで、彼にも参加してもらったり、いろんな方面から盛り上げました。おかげさまで日刊ゲンダイ等にも取り上げられ、神田、大手町のサラリーマン、OLたちの間でも話題になっていたようです。

—表現しにくいかもしれませんが具体的に、どれくらいの「成果」があったのでしょう。
・まず、参加(タッチして下さった方)人数は1868名です。さらにアンケートからわかるのですが「はじめてこの店に来た」つまり新規のお客様が三分の一近くにもなったことです。つまり、約500名の方が、このイベントで「新規顧客」となったわけですね。この「送客力」については、プロの皆さんも驚いておられ、我々自身も予想以上で、心強く思いました。
タッチビジョン

—アンケートの回収率はどうでしたでしょうか?

・何とおよそ9割です。すごい数字でしょう。もちろんスタンプラリーで全店制覇するとラーメン1杯、と言うおいしい魅力もあると思いますが。(笑)やはり、自分が参加し、それが投票結果に即反映する、という事が大きいでしょうね。
 街に設置されたサイネージ「Touch!ビジョン」では、毎日「ランキング」が流され、これも大いに盛り上がった理由だと思います。つまりランク1位から6位まで毎日のように入れ替わり変化するわけです。それを見てますます参加者が増えたり、応援団が出来たり、そんなプラスのスパイラルがおこったと思いますね。おかげさまで、他の地域からも「同様のイベントをしたい」と言うお話が数件きております。単なる街の情報ボードが、楽しく役に立ち、さらに街にもお客様にも、そして我々にも利益を頂戴出来る、そんな関係が構築出来ればと思っています。
ピコタッチ

—なるほど。具体的に数値が出ると説得力が違いますね。また、この「Touch!ビジョン」には、現在どのようなコンテンツが流れているのですか。また、神田以外の展開は・・

・はい、まずは地域の情報ですね。飲食店を中心にしたお店の情報。神田祭りの時には祭りの情報を提供し、大いに喜んでいただきました。
 それから、サッカーのセリエAの映像や、ハーレクインロマンスと言った、大げさにいえば「世界的コンテンツ」も流しているんですよ。そして、セリエAの映像が流れている時に携帯をかざすと(タッチすると)、携帯のセリエAの公式ページに飛びます。ハーレクインならハーレクインロマンスの携帯小説のページへ飛び、1話が無料でダウンロード出来ます。そして気に入った方は有料会員になる、ということですね。
 ご承知のように、今は携帯サイトがものすごい数であり、その中からお客様に選択していただくのが大変な苦労ですよね。これは、まさにデジタルサイネージがトリガーになり、ワンタッチでサイトへの誘導が可能なわけです。アフィリエイトのビジネスモデルといえるでしょうか。
 また、外神田、つまり秋葉原にもサイネージの設置をはじめました。大手の電気店やアニメの専門店の店頭や店内で「Touch!ビジョン」を既にご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんね。
 秋葉原は、特にお客様層がセグメント化されており、新商品の販売促進や話題づくり等にジャストミートしているようで、アニメやゲーム、パソコン関連等、このサイネージでCMや情報を流したいという引き合いも、結構いただいております。
 これまでのお客様の反応から実感するのは、デジタルサイネージのコンテンツに必要なのは「サプライズと安心の共存」だと確信しています。
 他の地域や市区町村からも、街づくり、街おこし等にデジタルサイネージを一つの核としたプランを何カ所かで進んでいるのですが、ちょっとまだ申し上げられないのが残念です。

—最後に、ホームページ等を拝見していますと、神田のような「エリアキャスティング事業」と、もう一つ「カスタムメディア事業」が、事業の2本柱とありますが、こちらの方はどういったビジネスなのでしょうか。

・はい、これはある企業や業態で、独自のメディアとなるデジタルサイネージを展開していこうと言うものです。
 例えば、アメリカではガソリンスタンドでセルフで給油するとき、目の前にデジタルサイネージがあり、ドライブ情報や、車関連商品情報、周辺のお店の情報等が流れる、そんな仕組みが、いわば「常識」のようになっているようです。
日本でも、同じ事がおこってくると思われ、そんな実験を、はじめています。
 また、書店の店頭であれば、お客様は書籍や雑誌、CD等に興味のある方が当然いらっしゃるわけで、この書店をネットワークして独自のデジタルサイネージを置いていく。サイネージには、地域情報等は定番として、新刊本、本日発売の雑誌等等の情報を流していくと言うメデイアで、これまた間もなく実験をはじめる予定です。
 いずれも、映像情報を流すだけでなく、その情報を携帯電話に取り込む、いわばアフターサイネージのマーケティングも実現していきたいと考えています。
 このように、ターゲットに、そして場所にピンポイントではまるコミュニケーションを我々は考え、また、携帯との連動を常に念頭に置いて、より効果的な、まさに集客や販売に直接結びつくメディアにしていきたいですね。
大森さん
ストリートメディア株式会社 大森さん
東京都千代田区鍛冶町2-2-2 神田パークプラザ5F
TEL. 03-5209-8811 FAX. 03-5209-8812
http://streetmedia.co.jp/
mail:info@streetmedia.co.jp

—本日は、有難うございました。

商店街の地域活性化にデジタルサイネージを活用するという実験は今までも様々行われてきましたが、実際に新規の顧客の開拓に直接繋がった事例はさほど多くないように思います。そうした中でストリートメディアさんの取り組みは、街の商店主さんときっちりと向き合って数字を出している稀有な例ではないでしょうか。広告モデルのデジタルサイネージに関してはロケーションの数が広告価値を生むと考えられていますが、狭小なエリアで事業者さんのニーズにあった展開というのは日本型のデジタルサイネージのひとつのモデルだといえます。

また、大森さんのお話のなかで印象的だったのがサイネージに必要なのは「安心とサプライズ」という言葉です。非接触型のカードリーダーを設置した事例では、思ったようにユーザーがタッチしてくれない事例もありますが、やはりユーザーに安心してもらえるコミュニケーション設計が重要なのではないでしょうか。そして、ユーザーの肩をポンと押してあげられるサプライズの用意がデジタルサイネージに必要であるというお話には納得させられるものがありました。

他のエリアへの展開や「カスタムメディア事業」の今後の展開などもウォッチしていきたいと思います。

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