デジタルサイネージと電力の関係について

2011-03-21 :, , , , , : macorinu : 1,730 views

デジタルサイネージプロデューサーの喜多村です。

ここ数日、3月11日大震災の発生に伴って停止された東日本のDサイネージネットワークをどのように再開するべきか、業界内で活発な議論が交わされています。
特に、福島原発の事故を遠因とする電力需給の逼迫が難しい問いを投げかけています。

ここでは、電力とDサイネージの関係に焦点を絞って議論を掲載します。

節電するべき時間帯がある

節電が必要なのは、電力の消費が供給量を超えると予測できない停電が起きるからであり、
需要が下がっている時に節電をしても効果があまりありません。
よって、Dサイネージはまず、ピーク時間帯を避けて点灯再開出来れば理想的です。

夏季ロード・カーブ
(エネルギー白書より転載 電力消費ピーク日における一日のロード・カーブ(電力消費推移))

上画は観難くて申し訳ないのですが、真夏の一日における電力消費の推移を表しています。

夏季と冬季の電力消費比較

上図は海外のものですが、夏と冬のピーク時間帯の違いを表す概念図です。

冬は帰宅時の暖房と照明によって17時から20時ごろピークとなります。
出社時の朝方も少し上がります。どちらも冷えている部屋を暖めたい時間帯です。
夏であれば朝の10時から19時あたりまで長く節電が必要そうです。
Dサイネージを点灯したい時間帯にピークが来ている点が悩ましいですが、
「とりあえずオフピーク運転」という再開方法は、
比較的理解を得やすいのではないでしょうか。

情報が安定して流れてこないが

前述の運用方法も、公表される計画停電や電力消費のピーク予測に関する情報が正確ではないかリアルタイムではないという現実があり、対応を難しくしています。Twitterにて以下のような情報発信が東京電力から行われていますが、節電運用の参考とするには全然足りません。

東京電力株式会社 公式Twitter
http://twitter.com/#!/officialtepco

逆に言えば、電力に関する情報が安定して発表されるようになってきたら再開する、という考え方もあるでしょう。いつになるのか誰にも判りません。

省電力設定をディスプレイに施すのは余り効果的ではないらしい

ディスプレイメーカの方からのご指摘では、コンテンツの差し替えやディスプレイの輝度を下げることは実質的な省電力効果が殆ど期待できないとのこと。

福島第一原発の安定には五年はかかる?

まだ予断を許しませんが、福島第一原発は再臨界による格納容器崩壊、高濃度放射性物質の漏出という最悪のシナリオが遠のきつつあるとのこと。そこで当然、「このまま福島原発が収まったらDサイネージを再開しよう」というご意見もあろうかと思います。では、いつ収まるのか。

建屋上部が崩壊した1号機、3号機、半壊の4号機は燃料抜き取り等に必要なクレーン設備が破壊されたと思われます。屋根もないプールの中に使用済み燃料が収まったまま、抜き取りも出来ずに戦々恐々としながら冷えるのを待たなくてはいけません。何もしないと台風の時期も次の地震もあのままとのこと。福島第一原発が安全だと宣言できるのは6年後ではないか、という意見もあります。

つまり福島第一原発の問題が完全に収まる前に、日常に戻らなければいけません。
電力の消費により理解の得られる運用とコンテンツを考え、前向きに進む決断が必要です。

以下のムービーの45分ぐらいから、福島原発の今後について大前研一氏が解説しています。
地震発生から1週間 福島原発事故の現状と今後(大前研一ライブ579)

無停電電源装置で点灯し続けるのは無理だが

ピーク時間帯をUPSのバッテリーで稼働させられるかなと考えました。

端末側の消費電力
60型ディスプレイ 1面 400w
PC 250w
ネットワークと周辺機器 50w

最大これぐらいのものでしょうか?

700Wを力率0.6(ぐらいですよね?)で割ると約1160VA。
これを1時間稼働させるUPSを調べましたが高すぎ、大きすぎます。
UPSで平時と同等の運営をするのは不可能ではありませんが難しい。

ただ、災害情報を提供するDサイネージとしてUPS搭載は意味があります。
私も、UPSが停電を感知したら画面が緊急避難経路に切り替わったり非常電灯になるDサイネージを機能設計したところ、コンペでとてもほめられました。東北でも今回大停電が起き、商業施設内から逃げる方の中には混乱がありましたね。
(結局、弊社案は他の理由で採用されませんでした。。。今なら実施されたかもしれない。)

700wの端末が1000カ所あれば700kwです。結構な消費量です。

Flashより動画の方が消費電力が少ない場合がある

コンテンツの差し替えで省電力は見込めない、という話をしました。その通りだと思います。
ですから、あまり以下は気にしなくても構わないマメ知識です。
Flashはある程度CPUのパワーに依存する代わりに高い互換性を持っている再生技術です。
逆に動画ファイル再生の場合、今時のPCやSTBはグラフィックプロセッサが再生を処理し、微差ですが、同等の解像度のFlashより消費電力が少なくなる場合があります。個々では無視できる差ですが、気は心、ということもあろうかと。

※追記1 2011年3月22日 10:24
以下の2サイトがオープンされ、電力に関する情報が入手しやすくなりました。

東京電力 「電力の使用状況グラフ(当社サービスエリア内)」
http://www.tepco.co.jp/forecast/index-j.html
Yahoo! Japan 「東京電力、東北電力管轄の地域の方へ 効果的な節電と停電の対処方法をご案内します」
http://setsuden.yahoo.co.jp/

※追記2 2011年3月22日 12:22
Twitter諸氏曰く「震災直後にPCを消灯してオフィスサイネージを活用したためエネルギー効率が高くなった」という事例があったとのこと。サイネージが節電に役立つなんてすばらしい。

※この記事は喜多村個人の意見に基づいて記述されており、
所属している企業、団体及びデジタルサイネージ総研様の見解とは異なる場合があります。
この記事についてのご意見、情報、問い合わせのある方は、
喜多村(macorinu@gmail.com)までご連絡をお待ちしております。

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