「Dサイネージは必要か」の議論について

2011-03-29 : : macorinu : 503 views

※この記事はデジタルサイネージのお仕事をしているだけの喜多村真個人の意見に基づいています。所属する企業、団体の見解ではありません。また、登場する人物、クライアントはフィクションであり、実在の方とは異なっています。

悩みを抱える知り合いがいました。彼は今回の地震に際して、クライアントの要請に基づき電気を使うフィルム看板を全て消し、案件も全て中止させたのですが、「自分のやっている仕事はなんなのか、そんなに必要とされないのか」と感じてしまった様です。真面目な方です。きっと地震の被災者を助けられない苛立ちも手伝ったのでしょう。

私はこの悩みを「考え過ぎ」とは言いません。強いて言うなら、その悩みを整理する方法があるはずだ、と考えます。

必要とは何なのか。

企業活動において”社会貢献”と”必要性”は根本的に違うテーマです。

時々、”必要性”と”社会貢献”は混同される時がありますが、この二つは違う事柄です。

“必要性”とはまた「無くてはならない」という意味です。

例えば、健康に生きるためには病院が”必要”です。民主主義を機能させるためには情報伝達の手段<メディア>が”必要”です。

“社会貢献”とは社会制度の安定を暗黙的な前提にした、利益の交換です。

例えば、ディズニーランドは娯楽や教育を提供し、コンビニは便利さによって社会貢献し、便器メーカーは暖かい便座で人々を迎えることで社会貢献します。パチンコも旅行産業も同じ様に社会貢献でしょう。金銭と交換される当事者利益が殆どと見えますが、それでも広い意味では社会貢献と呼ぶべきです。

3月11日以前と以後

3月11日以前の社会では、「元気に経済活動する」だけで十分に社会の公益でした。経済活動それ自体が”社会貢献”でした。
経済活動が社会貢献である点は今後も変わらないでしょうが、3月11日以後の東日本では変化がありました。
まず、仕事が電気を消費するに値するほどの社会貢献か、他者に説明しなければいけないような気がしてきたりします。
単に必要性を追求されているなら、「世の中には必要の無い事柄もいっぱいあって、そうやって人間は生きている」と言わなければなりませんが、「どれほどの貢献か」という点については答えにくい。しかも誰も本当はそんな説明を求めていない。つまり端的に言うと、人々、それも企業に一部の勤める人々が「自分の仕事は人々に対して貢献できているのか」という自問自答を抱えたのだと思います。停電した暗い部屋の中で行われるこの種の問いは重すぎる。

貢献出来ると信じる

最初の知人の話に戻りましょう。私は彼に言いました、「必要性を考えるのはやめましょう。今から、仕事でできる、誰かへの貢献を考えましょう」。彼は、電気を使わないで掲示できる代替の格安ポスターサービスを広告媒体に提案しました。広告媒体の運営者も電気を使うアナログ看板が掲示出来ずに困っていたので、この話はすぐにまとまりました。

3月11日以前の姿に戻るだけが答えでは無いかもしれません。
3月11日以前の姿に戻るのも大事な答えなのかもしれません。

こんな時だからデジタルサイネージで貢献したい

私の例で言うと、とあるお客様からDサイネージプロジェクトの予定通りの設置を要請されました。
今回の地震で大きな被害を受けた業務もあったにも関わらずです。
お客様は「広告以外にも伝えたいことがあるからちゃんとやりたい、ちゃんと復活しているところを見せたい」と言います。
私は、予定が押していて大変ですががんばります、とお答えしました。

元気に点灯しているだけで社会貢献になんだ、と言えるようなDサイネージを作りたいと思いますし、そのために、まず点けてみるのです。

この記事についてのご意見、情報、問い合わせのある方は、
喜多村(macorinu@gmail.com)までご連絡をお待ちしております。

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コメント(3)

  1. mio : 2011-04-01 11:48:22

    某サイネージの会社は災害用として、テレビを流している所もありました。サイネージも全て不必要というわけではないと思います。
    みんな節電モードなので、今後E Inkのような電子ペーパーを使ったサイネージが増えても良いかもしれませんね。
    もしくは災害対策用としての避難経路を誘導するようなコンテンツを内包したサイネージもありだと思います。

  2. 喜多村真 : 2011-04-01 12:41:59

    mioさんご連絡有り難うございます。JRさんのDサイネージはNHKを流されていましたね。あれは受信したNHKを変換してストリーミングでサイネージに流すとてもよくできた仕組みです。
    E-インクなども将来的に必ず主役になると思います。
    私もサイネージを提案するときは必ず災害モードを搭載する提案を入れます。いつも弾かれますが入れてきました。

    あくまでこの記事は、そういった機能を持てない、”必要性の議論”に勝てなくて苦しんでるDサイネージの人たちに「それでも世の中に貢献したいと思ってるんでしょ?」と訊きたくて書きました。

  3. ストレッチ・フィルム,低価格で情報検索(4月20日) No:2260 | ストレッチフィルムの情報 : 2014-02-18 15:04:50

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