米ウォルマートのインストアTV刷新に見るリテール系デジタルサイネージの最新トレンド

2008-08-07 :, , , , , , , , , , : DSI : 2,397 views

リテール系のデジタルサイネージでは最も有名な事例のひとつであるウォルマートのインストアTVですが、近く「ウォルマート・スマートネットワーク」と呼ばれる新システムを導入するそうです。

詳細は未発表ですが、関係者の話として、これまでよりもアイレベル(目線の高さ)に近い位置にモニターを移動すること、インタラクティブな「バーチャルアシスタント」による商品情報の検索やお薦め商品の紹介機能の追加などが明らかにされています。

こうした動きの背景にあるリテール系デジタルサイネージの現在のトレンドを挙げてみましょう。

  • 買い物客の足を止めて視聴時間を伸ばすことではなく、メッセージを素早く伝えることや客層に合ったメッセージを発信することが大切
  • 買い物客はそれぞれ目的を持って来店しており、その目的の達成を助ける手立てとしてのメディアの活用を考えるべき
  • 顧客はみな忙しく、目的のものを買ったらさっさと店を出たいと考えている。彼らの目的達成に関係ないメッセージや製品のある場所から離れたところにある情報は価値が低い
  • 大画面にダラダラと映像が流れるだけのメディアから、インタラクティビティや個人認証などにより、顧客の買い物体験を向上させるメディアへの模索が必要
  • 視聴者数の測定だけでなく、顧客の実際の行動に基づく効果測定が必要

最後に、第1世代のウォルマートTVに関する金銭面の情報をまとめておきます。

ウォルマートのインストアTVは2005年に仏トムソンに買収された PRN(Premier Retail Networks)社が提供していますが、2003年のウォルマートTVからの収入は 6,100万ドルであり、ウォルマート側から運用費として支払われた3,900万ドルを合わせると PRN のビジネスの 89%をウォルマート関連が占めていました。現在の PRN の収入は BestBuy や Costco などに提供しているネットワークを合わせて 2億5,000万ドル程度と見られ、そのうち 1億〜1.5億ドルがウォルマートTVからの広告収入であると推定されています。

一方、昨年の米国のTV広告費は640億ドルに上っており、1億3,000万人/週というウォルマート店舗の来客数を考えれば、未だそのポテンシャルのごく一部しか活用できていない状況だと言えます。最大の課題は広告効果の証明であり、Nielsen 社が6月に開始したインストアメディアの効果測定サービス PRISM をウォルマート社も採用します。

とはいえ、インストアメディアによる広告収入の伸びが期待したほどではなかったとしても、ウォルマート社にとっては大きなメリットがあります。ウォルマート社は広告収入の8%を PRN 社にマージンとして支払う一方で、100万人を超える同社の従業員とウォルマートTVを使ったバーチャル会議を行うことができます。こうした企業内ネットワークをタダで手に入れた上、広告収入も得られるというわけです。もちろん、こうしたサプライヤー側にだけ費用負担を押し付けるような形での事業展開はデジタルサイネージの発展にとって望ましくないという意見もあります。

Despite growing talk about and investment in shopper marketing in recent years, relatively little money has flowed into in-store media. Now, Wal-Mart Stores is looking to change that as it readies a second-generation in-store digital TV and signage network.

Wal-Mart Preps Next Phase of In-Store TV - Advertising Age - News より一部引用)

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