「2010 年 1 月」アーカイブ(デジタルサイネージ総研ブログ)


キーパーソンインタビュー:4000箇所以上の実績を持つピーディーシー株式会社 菅原淳之氏

2010-01-26 :, , , , , , : DSI : 3,153 views

国内のデジタルサイネージ事業者のなかでトップクラスの実績を持つ、ピーディーシー株式会社の菅原社長に今までの取り組みと今後の展望に関してお話を聞いてきました。

Q 簡単に会社について教えてください。

元々弊社はパナソニックの社内ベンチャー第一号として2001年からデジタルサイネージ事業をスタートしています。パナソニックのリソースを活用し、映像配信からコンテンツの制作までトータルなソリューションを提供することを目的として設立されました。おかげさまで最近ではパナソニック以外のメーカーのモニターへの配信も含めて、国内の大規模な案件から海外の案件を手がけるまでになっています。

~事例に関して~
Q:現在までにネットワークされたもので4000拠点以上の実績があるとのことですが、業界ごとにどんな事例がありますか?

■    大規模施設 配信の最適化から「おもてなしの心」へ
弊社を代表する事例としては、六本木ヒルズや東京ミッドタウンといった大規模施設への導入実績があります。六本木ヒルズに関しては弊社の発展の礎になった大型案件で、施設全体で200台以上のディスプレイに映像を配信するシステムを構築し、駐在で運営をさせていただいています。屋外にある500インチの大型ビジョンから、エレベーター内にある小型のディスプレイまで、それぞれのロケーションや表示機器に最適な番組編成からコンテンツの制作配信運営、保守を行っています。

また2007年に完成した東京ミッドタウンの館内には150面以上のディスプレイ設置、来館者がタッチパネルで、店舗の検索やイベント・ニュースなどの情報を簡単に手に入れることができる仕組みを構築しました。ここでは103インチの大型ハイビジョン・プラズマディスプレイ3面を縦型に配置したダイナミックなデジタルサイネージも稼動しています。東京ミッドタウンのキーコンセプトである「おもてなしの心」をキーワードに、お越しいただくお客様にホスピタリティを提供できるサイネージを構築しています。


■金融機関 安心・信頼のデジタルサイネージ

金融機関の事例では三井住友銀行様に約500拠点程度に導入させて頂いています。金融商品の告知などの情報発信がメインですが、一部広告も掲出されています。その他の銀行様でも、500店舗以上の納入実績があります。
金融機関様の場合、セキュリティの問題や承認の問題などが非常にシビアになるのですが正確で確実な放映という点でもお客様に評価頂いています。

■    交通機関 業界初のユニバーサルデザイン・サイネージ
羽田空港のJALカウンターに導入させていただいたデジタルサイネージは、空港という公共性の高いロケーションであるため、高齢者の方や色弱者の方でも認識しやすい「ユニバーサルデザイン」「ユニバーサルフォント」を設計に取り込んでいます。文化や言語が異なる多くの人が集う空港という空間で「より多くの人に理解していただける」140台のディスプレイが「とても見やすい」と好評です。

■    店舗 クラウドコンピューティングが属性情報をつなげる
携帯ショップでも全国700店舗に42インチから50インチのデジタルサイネージを導入いただき、配信運営をさせていただいています。店舗数の多い事業者さんの場合サイネージの役割として、本部からユーザーに統一的に伝えたいメッセージの配信があります。たとえば「携帯を水に落としたときは・・・」「新しい料金パッケージは・・・」といったものです。それ以外に、店舗ごとに店長さんが伝えたいお店ならではのメッセージがあるのですが、それらをお店側のPCから自由度をもって配信できるシステムをつくりあげています。

また、レンタルビデオショップのTSUTAYAさんにはすでに100店舗以上にサイネージを入れさせていただいています。

Q:TUTAYAさんには新しいシステムを導入されたそうですがどんなものでしょうか?

新デジタルサイネージシステムHAIを提案させて頂きました。大規模な設備投資の必要ないクラウド型のシステムで、PCのブラウザからコンテンツを登録すると、自動的に番組スケジュールが生成され、自動的に配信・放映まで行われる極めて簡単な仕組みになっています。サイネージの場合、設置コストが導入のネックになる事が多いのですが、TUTAYA様の場合は、既存の民生ディスプレイや既存のPOS回線を利用しコストをかけずシステムを構築しています。各店舗にセットトップボックスを宅急便で送り店員さんに設置をしてもらうだけの、極めて低コストな導入方式を取っています。マニュアル通りにSTBをモニターとPOS回線に接続すれば、ITに不慣れなスタッフの方でもすぐに利用することができます。

また店舗の属性に合わせた配信が可能なので東京の直営店には「Tカードキャンペーン」関西のFC店舗には「新規入会キャンペーン実施中!」といった形で、予め定めた「店舗属性」ごとに、情報をきめ細かく配信することが可能になりました。

■地方自治体 地域がいきいきするデジタルサイネージを目指す
地方自治体への導入も最近は進んでいるようですね。どんな事例がありますでしょうか?

最近千葉市さんに導入させて頂いた例では、街角の活性化のために導入された端末に
なります。地方自治体の活性化や商店街の活性化のために導入されたデジタルサイネージが、導入当初は活用されるものの段々に使われなくなる事例が多くあります。この千葉市デジタルサイネージ事例では、商店街の店舗検索のタッチログを毎日取っているのですが、月日を経る事にアクセス数がアップし活用が進んでいます。

Q:それはどうしてなんでしょうか?

千葉市の事例では商店街の店主さんが自分でお店の情報を自分のパソコンで更新できるようになっています。街の飲食店さんがクーポン誌やウェブ媒体に広告を掲載すると月間に数万円かかってしまいますが、ここでは店主さんが自分のPCブラウザから無料で自分のお店の情報を、駅前のデジタルサイネージに発信できることに純粋に喜んでいただいており、鮮度の高い情報発信がアクセス数のアップにつながっています。

~成功するデジタルサイネージについて~
Q:先ほどの千葉市の事例のように成功するサイネージにはどんな特徴があるのでしょうか?

通常デジタルサイネージのソフトは「プレイリスト」と呼ばれる番組表をつくって配信する必要があります。ただ実際の導入現場では、デジタルサイネージ専門のスタッフを採用することは困難ですし、プレイリストとコンテンツを一般社員の方が作る事も殆ど行われません。結果的に、コンテンツの変わらない魅力ないサイネージになる事が多いのです。
そこで弊社では、テンプレートを選び文字と写真を入れてもらい、放映回数を指定すれば自動的にFLAHコンテンツとプレイリストが作られる仕組みを構築しました。コンテンツは簡単にパワーポイントなどで済ませられるものもありますが、やはりFLASHで生成されたデザイン性のあるサイネージがお客様に多く受け入れられています。それも単に見た目の表現が「かっこいい」というだけではなく、多くの人に見られることを前提としたパブリックなメディアとしてのデザインが重要になります。
サイネージを運用する上で、何か特殊な技術や特別な操作をお客様におしつけるのではなく、「すぐに反映できる」「みんなが参加できる」サイネージが成功のひとつの要因になりますね。最近よく言っているのですが「今だけ、ここだけ、あなただけ」がこれからのデジタルサイネージのテーマになってくるとおもいます。千葉市の商店主さんも今更新したものが、すぐに反映するから楽しんで使ってもらえているのではないでしょうか。そうした即時性に関しては限りなくネットに近いものになりますね。

~今後の展開について~
今まで担当させていただいた多くのお客様の事例の中から、デジタルサイネージの運用に関して多くのことを学ばせていただきました。その上でマーケティング的に効果的な手法やパブリックな空間で求められるユニバーサルデザインやコンテンツの開発まで多くのノウハウを蓄積することができました。
ただデジタルサイネージに関しては弊社のみで展開できるビジネスではありませんので、他の事業者さまと有機的なアライアンスを組んで「ロケーションの価値を上げる」デジタルサイネージサービスを提供できればと考えています。また、今後生まれてくるであろうアドネットワークやメディアレップなどの動きも視野にいれて準備をすすめています。
昨年納入した上海森ビルやcitibank香港のような海外の案件も強化しながら地方自治体の案件も行う「グローバル&ローカル」の両サイドからデジタルサイネージの可能性に挑戦したいと考えています。


(渋谷パルコに導入された美人時計とのコラボレーションによる屋外対応82インチデジタルサイネージ )

会社としては『ソリューション(問題解決)&クリエイティブ』をテーマに「今だけ、ここだけ、あなただけ」というデジタルサイネージの強みを生かしながら、これからもお客様の業績に貢献できればと思っています

<簡単にまとめ>

現在は国内有数な実績を持つピーディーシーさんですが、設立当初はデジタルサイネージに関する市場の認知も低く大変苦労をされたというお話もお聞きしました。そうした中でも、高いサービスレベルを求めるお客様と仕事を進められるなかで、着実にノウハウを蓄積してきたからこそ成功例が生まれているのではないでしょうか。デジタルサイネージの発展の仕方は国によって様々ですが、PDCさんは日本の市場にフィットした形で展開されているように感じます。また、菅原さんの丁寧に自社のサービスについて説明される姿が印象的でした。今後は海外の案件も増えてくるということですので、また現地にも取材にいければと思っています。

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1/28 18:00より2010年新春デジタルサイネージ親睦会開催します!

2010-01-20 :, , , , , : DSI : 925 views

またまた急ではありますが2010年新春デジタルサイネージ親睦会を開催します。今回はARのコンテンツで有名なsaqooshaさんにお越し頂く予定です。その他にも以前インタビューをさせて頂いたカヤックの瀬尾さんやチームラボの山本さんにもお話してもらいます。今回はWEB系の方が多いですが、これからのデジタルサイネージのコンテンツを考えるときのヒントになるお話なども聞けるかと思います。いつも通りビール片手にゆるい感じで、皆さんと交流できれば幸いです。

赤坂のデジタルサイネージコンソーシアムの事務局の会議室をお借りして行います。今回は会場が狭いので「立ち見でもいいよ!」という方のみお申し込み下さいませ。

【プレゼン予定の方】
Katamari Inc. の Saqooshaさん
http://katamari.co.jp/
http://saqoosha.net/

面白法人カヤックの瀬尾さん
http://www.kayac.com
http://digitalsignage.co.jp/blog/post/2413

こくばんinの宗原さん
http://kokuban.in/

ニューフォリアの中尾さん
http://www.newphoria.co.jp/

株式会社ユニカの遠藤さん、梶田さん
http://www.yunikavision.jp/

株式会社リアクターの藤森さん
http://www.reactor.jp/

チームラボ株式会社山本さん
http://www.team-lab.com/
http://digitalsignage.co.jp/blog/post/2423

拡張現実ライフ のakio0911さん
http://d.hatena.ne.jp/akio0911/

目的: デジタルサイネージ業界でゆるく集う
日時: 2010年01月28日(木) 18:15頃~プレゼン
20:00頃~名刺交換会
20:30頃~近くの居酒屋で飲み会

会場: デジタルサイネージコンソーシアム事務局 2F会議室
最寄駅: 地下鉄千代田線 赤坂駅
地図: http://www.digital-signage.jp/about/access.html
場所: 東京都港区赤坂3−13−3 みすじ313ビル2F
参加費: 無料
定員:30名ぐらい

定員になりましたので、申し込みを締め切らせていただきました。

【ご参加頂く皆さんへ】
先日会場の下見にいったのですが、椅子の数が少なく、立ち見になってしまう可能性が高いです。場所によってはプレゼンが見ずらいと思います。親睦がメインの集まりです、ご容赦くださいませ。 皆さんとお会いできることを楽しみにしております。
デジタルサイネージ総研 西澤

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デジタルサイネージに関わるWEB企業インタビュー:チームラボ株式会社

2010-01-15 :, , , , , , : DSI : 1,739 views

現在のデジタルサイネージについて、クリエイティブの部分では、カジュアルに表現が展開されているか、というと、そうでない気がします。産業として、一兆円規模になるといわれているデジタルサイネージ市場。表現は多様であっていいと思っています。次世代動画検索サービス「サグールテレビ」の開発や独自のトータルデジタルメディアプロデュースで知られるチームラボさんの取り組みをお聞きしてきました。
チームラボ_オフィス

Q:まず、どのような経緯でチームラボに入ったんですか?

山本さん:入社する前は、大学院で文字認識や音声認識の研究をしていました。大学、修士そして博士課程。でも実は、3年ほどやったあたりで、研究に飽きてしまいました。僕は興味がころころ変わってしまうんですが、研究で食べていこうとすると、あまり自由に目先を変え続けることができません。アカデミックな研究って、人から求められているからというよりも、自分が純粋にやりたいからという理由で、一人でやるものだと僕は思っています。それは素晴らしいと思うんですが、万が一に飽きてしまった時「人から求められているかは微妙だし、自分もやりたくない、けどやらないと食べていけない。しかも一人でやらないといけない。」という救いがたい状況になるリスクがあります。飽きっぽい僕にはそのリスクは大きすぎて無理だと。ある意味でリスクヘッジのために、人に求められるものを、他の人と作る方向を選びました。ウェブの業界に入るのには、抵抗はありませんでした。もちろん言語は違いますが、もともとプログラミングはやっていましたし、ある程度、ウェブのことも知っていました。そう意味では、新しい世界へのハードルはほとんどありませんでした。だから、入社してすぐに案件をやらせてもらいました。チームラボでは、3ヶ月くらいでプロジェクトも変わります。そこに魅かれたというのがあります。

Q:入ってみてチームラボをどう思いましたか?

山本さん:よく思うのは、好きなことをやっていても怒られない(笑) 度が過ぎたらもちろん怒られるんだと思いますが、「なにこんなものを会社に持ち込んでるんだ!!」みたいなやり取りはない。やっていいことと悪いことの、グレーな部分について寛容だと思いました。だから、やりたいことがバッと簡単にできる環境。そこが好きですね。会社全体として、自由で、寛容で、合理的。自由というのは、そのまま自由という意味です。寛容は、直接的に迷惑でなければ、それを受け入れてしまう雰囲気があるということ。合理的というのは、理系が多いせいか、理屈に合わないことは嫌ということです。逆に言えば、理屈が通っていればok(笑) 例えば、良く分からないから受け入れたくないな、ということが少しでもあれば徹底的に議論しています。その議論をすることで、分かる。その上で判断するんです。

Q:アクトトイレはどのようにして形にしたんですか?

山本さん:東京芸術大学のVVVV(インタラクティブコンテンツの開発環境)の講座を受けたんですが、最終日の三時間くらいが自由制作だったので、アクトトイレを作りました。もともとアイデアはありました。マウスを使えばセンサーの部分もなんとかできそうだし、これはアイデアを完成させるチャンスじゃないか、と前日の夜に思い立ったんです。で、家からトイレットペーパーをはずして、持って行ったわけです(笑) 実際に作ったものを即Twitterに、写真と動画で上げてみました。そうしたら次の日にある社員が、昨晩のTwitterにインスパイアされてこんなの描きました! ってマウスがハムスターになっているイラストを持って来てくれたんです。そのイラストを観て、マウスにぬいぐるみみたいなカバーを着けたら、見た目もかわいくなるし面白いなあ、ってどんどん想像が膨らんでいきました。それで細かい部分をチューニングしていった感じですね。仕事が一段落ついた夜中に、スクリーン上のハムスターが過労死する機能とかを作り込んでいきました(笑)

Q:『アクトトイレ』の他にも色々と作られていますよね?

山本さん:『アクトトイレ』を作る前に、Firefox用のアドオン『らぼかへ』を作りました。これは、社内コーヒーメーカーのコーヒー残量が分かるというものです。あと最近作ったのは、、、今、オフィスには、トイレの個室ひとつに対して、男が3、40人いるんです。やっぱりトイレに行ったり戻ったり、うろうろしたりとかしたくないじゃないですか? それで、『らぼかへ』と同じ仕組みですが、人がいるかどうかを分かるアドオンを作ったんです(笑)個室の扉閉まるとクリックされるようにワイヤレスマウスをつけて、外部PCで拾うという単純な仕組みです。

[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=qR3b2w9M9g8]
【動画インタビュー】山本さんに「アクトトイレ」について語って頂きました。
※音声レベルが小さいです ボリューム大きめでお聞きください。

Q:モノづくりができる環境が社内にあるということですか?

山本さん:窓口になってくれたマーケティングチームの高須さんをはじめ、画像処理の方法とか、おばかアプリに向けたプレゼンの練習とか、色んな人が毎晩協力してくれました。色んなタイプの人がいるので、色んなタイプの意見が聞ける。忙しい仕事の合間をぬって、手助けしてくれるんです。例えば、あるときサーバーが重くなったので、もしかしたら『らぼかへ』アドオンのせいじゃないかな、とコードをメールで投げたら、高度に添削して戻って来たりとか、そういう反応があります。そもそも『らぼかへ』を作ったのも、オフィスに突然コーヒーメーカーを置いてくれた社員がいたことが、そもそもの始まりですしね。
あと、koress projectの方がうちに遊びにいらしたときに、『らぼかへ』をお見せしました。そのあとTwitterで、mixiの「萌香たん」のライバルキャラクターのようなノリで『らぼかへ』も擬人化させよう! って決まったんです(笑) そのTwitterを見た社内エンジニアさんが次の日、「らぼかへたん」を描いてみました、と。その『らぼかへ』を擬人化してくれた方が、『アクトトイレ』のハムスターのイラストも描いてくれました。僕はその方の描くイラストが、何かツボなんです。「らぼかへたん」を、Pixivに何枚か上げてもらっているうちに、他の社員とか、知らない人とかも描いて上げてくれたりするようになってプチブーム、みたいな(笑) そういうリアクションが起きるのも、面白いです。

Q:仕事と遊びの違いは、どういう仕組みで分けているんですか?

山本さん:もちろんクライアントワークに支障があるのは、絶対にNGです。明確に仕組みがあるわけではないのですが、基本的には、僕の場合は、つまりまあ、今日はこのぐらいの時間を使っても大丈夫だなあ、という時にやっています。時間管理は自分ですから、それについて、人に色々言われることは基本的にありません。自分のやるべき仕事を終らせれば、そのあとはどのように時間を使うかはその人次第です。それと、もうひとつ上の部分で、そういう「遊び」の部分をお客さんに提案しているというのがあります。チームラボではみんな、びっくりするようなものを作ろうよ、という気持ちがあります。

Q:普通の会社のように、パキっと別れているわけではないんですか?

山本さん:簡単に流れを説明すると、あるプロジェクトを受けたとします。そうするとまず、マーケティングチームの人たちが、お客様にヒアリングしにいきます。それを元に、社内のエンジニアたちも含めた会議をして、それをマーケティングチームが紙などにまとめて、先方に持って行きます。チームラボにおけるマーケティングは繋ぐ仕事。言ってみれば、触媒のような存在です。チームラボは、エンジニアが7割か、それ以上ですから。エンジニアが苦手な部分を、マーケティングチームがしてくれる、という感じです。本当、感謝しています。プロジェクトが動き出せば、普通の会社と同じような流れになると思います。プロジェクトマネージャーを選んで、管理し、進めていく、という流れですね。ただ企画を出すときに、びっくりするようなものも、クライアントに提案しています。チームラボの場合、びっくりするようなものを作りたい、という気持ちがあります。

Q:ある意味、デジタルサイネージとは、外に出たインターネットだと言えると思います。デジタルサイネージについて思うところをお話いただけますか?

山本さん:ウザくない、というのが重要だと思います。トイレはプライベートなスペースなので、自分の価値観にあわない広告を見たときの拒否反応が顕著になると思います。『アクトトイレ』は今は広告の機能はないですが、だからこそ「全くウザくない」必要があると思って作りました。何も宣伝しない状態でウザかったら、何か宣伝したらもっとウザくなっちゃいますから。そういう理由で今は絵柄を人畜無害なハムスターにしています。
新しい場所に広告が進出する場合、この「ウザさ」は無視できない問題になると思います。テレビでCMが流れたり、渋谷のセンター街で大画面のCMが流れたりするのは、僕らはそういう景色だと思って了解済みですが、今まで何もなかったところ、特に個人性の強い場所については、新しい見せ方、新しい方法論が重要になってくるんじゃないかなあ、なんて思います。
広告ってお金を払って置いてもらうじゃないですか。つまり広告はその場所にとってはマイナスな話ですよね。基本的にないほうがいいみたいな。そういう方向に進化しても面白くないと思いました。逆に、サイネージを置くことで環境がよくなるもの、という視点で考えたかった。その上で最後に宣伝したいことを少し主張する、みたいな方法論の方が合っているんじゃないかなと思ったんです。
それと、デジタルサイネージについては、「インタラクティブ」とか「外界との同期」ががとても重要だと思います。環境に単にディスプレイを置いて動画を映すと、それだけでウザいと思うんです。その中だけ周りの世界と全く違う物理法則で動いてしまうからです。見る人は、ディスプレイの中を見るか、外を見るかで視点を変える必要があって、一度にどちらか一方しか見ることができない、「同時に見る」ことができないと思うんです。『アクトトイレ』はそういうディスプレイのウザさを軽減する試みでもあります。紙と同期してディスプレイ内の映像を動かすことで、周りの世界の物理法則を取り込んでいるので、その分環境に溶け込みやすいんじゃないかと思っています。
環境と自然なインタラクションがあって、ディスプレイの中の法則が周囲の法則と関連があると、ディスプレイ内外の境界が薄まって、ウザくなくなるはず。ディスプレイの内外を自然に同時に見られる、そういう環境に溶け込めるサイネージが良いと思います。

Q:何か新しいアイデアとか考えているんですか?

山本:下の画像はコンセプト動画なんですが、次はこんなものを作りたいと思っています。
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=a2H4rV_yA4c]
アクトバッグ[動画]

バッグについているディスプレイとディスプレイ内の世界とを同期させて移動させることで、他の世界を覗く「窓」のように見せられないかという試みです。これも『アクトトイレ』と同じく「ディスプレイのウザさ軽減」の一環です。こういう環境と同期するような枠組みの中に、売りたいもの、価値があると思うものを放り込んでいけば色々と面白いデジタルサイネージが作れると思うんです。今回の例は、他の世界にペットを放り込んで、バッグと一緒に散歩できるようにと考えてみたものです。

Q:では、最後に今後の目標を一言よろしくお願いします。

大きな目標としては、ITを駆使した超インテリジェントな動作をして、かつアナログな世界にものとても自然に溶け込むようなものを作りたいと思っています。

簡単にまとめ

チームラボの皆さんにお話を聞いたなかで印象的だったのが「自由、寛容、合理的」という言葉です。通常のクライアントワークとバランスをとりながらエンジニアの「もの作り」を支援する環境が整っているように感じました。ネット系の企業ではgoogleの20%ルールのような自由な活動が新たな開発につながるケースがよくありますが、すぐに業務につながるものでなくても「「びっくりするようなものを作ろうよ!」というマインドを共有したチームが快く制作に協力してくれるスタンスが純粋にいいなと思います。デジタルサイネージに関しては、なかなかカジュアルに作品をつくるシーンは生まれていませんが、WEBのテクノロージーとクリエイティブを共にもった企業や個人がこれからのデジタルサイネージ産業を引っ張っていくことになるかもしれませんね。それから「ウザくないサイネージ」ということもこれからのサイネージを考えていく意味では重要ですね。今後もサイネージに関わりそうなWEB系の事業者さんを積極的に紹介していきたいと思っています。

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