「2010 年 3 月」アーカイブ(デジタルサイネージ総研ブログ)


デジタルサイネージキーパーソンインタビュー 株式会社東急エージェンシー 寺園氏

2010-03-23 :, , , , , : DSI : 2,213 views

毎回デジタルサイネージ業界で先進的な取り組みをされている企業のキーパーソンにインタビューする「デジタルサイネージキーパーソンインタビュー」。第7 回である今回は、国内外のデジタルサイネージ事情に詳しい、東急エージェンシーの寺園さんにお話を聞いてきました。

DSI 東急エージェンシーさんの中でのデジタルサイネージの位置づけを教えていただけますでしょうか?

寺園さん 当社には広告会社としての立場と、東急電鉄のデジタル媒体を販売するレップとしての立場があります。広告会社としては、デジタルサイネージ媒体のセールスやデジタルサイネージを活用した事業開発などに取り組んでいます。デジタルサイネージ媒体の場合、他媒体に比べた値頃感や効果の問題もあって、マス媒体のプラスアルファとしてデジタルサイネージを提案するという事が多いのが現実ですね。

DSI 寺園さんはどういった形でデジタルサイネージに関わっていますか?

寺園さん 弊社の場合、クライアントに流通や消費財メーカーさんが多いという事や、東急グループに流通関連会社が多いこともあり、買場におけるお客様の心理に関するナレッジが豊富にあり、そのナレッジを集約して新しいものを生み出すという視点でプロジェクトチームが編成されました。その一つにデジタルサイネージのチームがあって、チームリーダーとして総勢10名で事業開発を行っております。他店さんではOOH局がメインになっていると思うのですが、私達は営業、インタラクティブ、OOH、マーケティング、クリエイティブといった色々な部署を横断してチーム編成をしています。それぞれの立場で、違う情報の得方や感性・感覚がありますので、それらを集めてプロジェクトとして発信していこうと考えています。

株式会社東急エージェンシー トータル・メディア・ソリューション本部 クロスメディアソリューション局 クロスメディアPR部 寺園さん

DSI デジタルサイネージに関して、東急エージェンシーさんはどの部分に力を入れていかれる予定ですが?
寺園さん 当社の収益として考えていくと、クライアントの広告宣伝として機能できる新しいメディアを作っていく事が大切になっていきます。ただ、その前に広告媒体としての価値付けが重要になってきます。例えば交通広告ではポスタースペースがあって「このスペースが幾らですよ」という事でビジネスが成り立っている部分はあるのですが、仮にサイネージにリプレースした場合はプラスアルファのお金も掛かってきます。費用対効果の面で二の足を踏んでいるお客さんもいらっしゃいますので、ロケーションオーナーが実際に使ってみて、価値あるものとして認識してもらい、視聴する生活者が集まることで、デジタルサイネージ媒体に出稿する意味が生まれるくると思います。媒体から考えるというより、「そこにいる生活者が何を考えているか」という事を基点として、お客様にとっての理想のインフォメーション端末を考えています。そして生活者が欲しい情報とともに伝える広告はあり得るのではと思っています。単にはテレビなどのあり素材を入れるだけでなく、サイネージならではの仕掛け方も当然出てきますね。

DSI いわゆるスペースブローカーではなく、生活者の視点に立ってデジタルサイネージならではの展開を考えているという事でしょうか?

寺園さん そうですね。ブランドコミュニケーションをしていくとき、プロダクトアウトの発想ではなく、マーケットインの視点で、買おうとしている人がどんな気分で商品を手に取るのか、そのストーリーというかコミュニケーションをデザインしてあげることが凄く重要な事だと考えています。「店頭をどう作るから」→「CMはこうなり」→「WEBはこうなる」といった、お客様の最終接点からリバースしてコミュニケーションを設計するという発想もありますね。ですから、サイネージを通過点として捉えるのではなくて、基点や着地点として、意識をどう転換させるか、どう価値付けするかが大切になってきます。その視点を元に、ハード、ソフト、クリエイティブはこんなものがいいよねという事を考えていくのが私達の仕事になってきます。そこで説得力のあるストーリーを考えていかないといけないですね。

DSII デジタルサイネージを考えた時に東急グループということがアドバンテージになるのでしょうか? また、面数展開や広告販売など状況を教えてください。

寺園さん 当然、東急沿線でどんな仕掛けができるという事をクライアントに提案する時に、プラスの価値になります。お客様との接点で考えたときに、四マス、PC、モバイルに加えて、交通広告としてのTOQビジョンは動画が流せる媒体としては他に変えられない存在なります。TOQビジョンを基点に発想するという事もありますね。

DSI 首都圏では電車内ビジョンが拡大していますが、クライアントにその効果も評価されているという事でしょうか。

寺園さん もちろん評価していただいていますが、正直なところ、クライアントの宣伝担当の皆さんが接触し始めたから効果を実感いただいているという事もありますね(笑) 担当の方が生活者として実体験のなかで「みんな見てる!」という事がスタートに繋がったという事ですね。ロジックとしては、閉鎖された空間の中である程度の時間に情報を入れるという事の効果がありますね。

DSI デジタルサイネージの課題などはありますでしょうか?
寺園さん もう少し面白い使い方ができたらいいなとは思っています。ジョッキ生が、日替わりのコミュニケーションをやっていますが、ああいったものも面白いですよね。コンテンツによって接触者は同じでも、深さが違ってきますね。単にテレビCMを流すのではなく、コミュニケーションの深さによって、購買などのフックになると考えています。

DSI デジタルサイネージの媒体に出稿されるクライアントの特徴はありますでしょうか?
寺園さん ひとつは広告宣伝費があるナショナルクライアントさんで、新しい媒体にトライしながら成果を検証した上で継続頂いています。あとは、交通広告によく出稿されているクライアントさんですね。英会話の事業者さんなどになります。

DSI アメリカのSeeSawネットワークが「ライフパターンマーケティング」という生活導線に合わせたデジタルサイネージのタッチポイントを繋ぐ展開をされていますが、日本でもそうした展開が可能だと思うのですが?

寺園さん 例えば電車内ビジョンと売場との連動といった事例はありますね。デジタルサイネージではないのですが、街との連動という意味で言うと、渋谷の街でエリアワンセグを使って携帯電話などのワンセグ機能付端末へ向けて、地域情報やイベント情報などを配信する実験を行っています。それ以外にも東京・渋谷の街にさまざまな情報を付与できるiPhone用サービス「pin@clip ピナクリ」の実証実験を、2009年12月1日に開始しています。

DSI 「pin@clip ピナクリ」は分かりやすく言うとどんなものでしょうか?
寺園さん 渋谷用のARを使ったiphoneアプリです。渋谷で働く人、訪れる人が自由に書き込みできる、インターネットの掲示板に街ナカでコミュニケーションできると言ったイメージでしょうか。
Twitterなどでも話題になったりしていますね。街ナカでiphoneをかざしていると、「何やってるんだろう」というノイズを生む起点になりますね。これは新しいコミュニケーション生む事で、渋谷の中での回遊性を高め、滞在時間を伸ばす事をテーマにした実験です。以前に自由が丘で行った「盛り上がりマップ」という街の口コミをデジタルサイネージ表示する実験でも、滞在時間の延長への効果を検証しています。

DSI ネットの普及で、「調べて、買って、帰る」といった行動様式が増えているという事でしょうか?
寺園さん 情報を自分達で選別して、欲しい情報しか入れないという傾向になっているかもしれませんね。プッシュしても跳ね返すみたいな(笑)そこに、いかにスムーズに情報を伝えて、プラスアルファでより楽しく見せる、見せ方ってなんだろうという検証の例が「熱の可視化」(盛り上がりマップ)だったり、情報をARのエアタグで見せる事に繋がります。

DSI 若い方は外に出なくなってという事でしょうか?
寺園さん そういう訳ではなくて、新入社員の面接をすると意外と「趣味は散歩です」という人が増えていたりするんですね。昔みたいにマスで流行る物とかはなくて、小さなコミュニティが沢山あって、その中でしか情報を得ないといった傾向があるのではないでしょうか。渋谷という街でどういいコミュニティが作れるかという事ですね。

寺園さん 単にサイネージがタッチポイントでスクロールできますよというだけではなくてサイネージが立ち止まった時にどんな訴求ができるのか、その人の行動がどう変えられるのかという事を考えていけばよりチャーミングなメディアになると思っています。

DSI 他社さんのデジタルサイネージ絡みの動きで気になる事はありますか。
寺園さん CVSでの取り組みはいい媒体として成立すると思います。徒歩数分圏内の生活導線上で、ネットワーク力を持っていることが強みですね。弊社では、メディアビジネスとしてではなく、コンシューマー視点でのクライアントビジネスも考えていきたいと思っています。

DSI メディア開発においても東急エージェンシーさんの中では生活者の視点という事が重要になってくるのでしょうか?
寺園さん そうですね。最終的にはメディア開発につながっていくとは思うのですが、何れにせよ、何百万人にリーチして、商品の売上に何%貢献するという明確な方程式は出しにくいのですよね。各メーカーさんが視聴者の測定で「何人が見ています」といった事をされていますが、点で見る測定だけでなく、生活者の購買のストーリーをベースにより立体的に見れた方がいいかもしれませんね。

DSI これからのデジタルサイネージのあり方についてはどうでしょうか?
寺園さん 商品を買うにはそれぞれ理由がありますよね。スーパーマーケットなどで単品だけ買うという事はまれで、「あれを買って、これを買って、だから次は・・・」といった繋がりの中でお買い物をしているわけですよね。その文脈に如何にのせていくかという事がポイントだと思います。サイネージで商品をどーんと出すだけでは少し弱いかもしれません。商品の事だけを伝えるのではなく、簡単に言うとレシピかもしれませんが、お買い物のストーリーの中にメーカーさんの商品をうまくまぎれ込ませていくかという事ですね。

DSI 海外のデジタルサイネージも色々ご覧になっていると思いますが、日本との違いはなんでしょうか?
寺園さん 向こうが進んでいるのは、クリエイティブの見せ方だと思っています。四マスのあり方も海外は違うのですが、ウォルマートの「スマートネットワーク」などはメディアとして欠かせないものになっていますね。静止画とちょっと違う、何か違和感を感じさせるデジタルサイネージ専用のコンテンツの作り方が洗練されています。LAのステープルセンター向かいのnokiaプラザでは十数面あるLEDビジョンで様々なスポンサーのCMが流されているのですが、センターと両サイドに大きなスクリーンがあって真中からコンテンツが見れるレイアウトになっています。ステープルセンターはスポーツ施設ですので
それに合ったコンテンツをそれぞれのスポンサーが作っていました。コンテンツの見せ方に関しては進んでいると思います。

DSI 日本ならではのデジタルサイネージの見せ方・作法に関してはどうお考えでしょうか?
寺園さん 電車の中ではJR東日本さんのトレインチャンネルの見せ方が一つの答えだと思いますが、他の場所ではそれぞれ違ってくるのではないでしょうか。今後デジタルサイネージの広告出稿が増えれば、クライアントもクリエイターもより考えて、コンテンツの作法が生まれてくると思います。

DSI デジタルサイネージに関する御社の方向性はどういったものでしょうか?
寺園さん 最終着地はメディア開発になります。そこに至る取り組み方として「消費者視点」でのサイネージのあり方を、ストーリー立ててクライアントに提案していくという事ですね。サイネージの事だけ語っても仕方がないですね。スーパーであれば、チラシがあり、店内POPがあって、PCもモバイルもあるわけですよね。それを全体からみて、コミュニケーションをリストラクチャリングした上で、サイネージの新しい価値を伝えていかなければと考えています。そこは、弊社ならではの提案ができるのではと思っています。インストアに関しては、店内のお買い物を変えるといった視点で考えていきたいですね。

育てていく
DSI デジタルサイネージはどんなメディアになっていくと思いますか?
行動の起点になりえるメディアだと思っています。それをみんなで、水をやり肥料をやっている過程にあると思います。なかでどんな実がなるのかわくわくしながら育てていく感じですね。どう育っていくか仮説は色々あると思います、今はどんなものになるか考える起点のタイミングではないかと思っています。

DSI 今日は長い時間ありがとうございました。

インタビュー終わり

簡単にまとめ

寺園さんのお話をお聞きして、一番印象的だったのはデジタルサイネージ単体で何かをするのではなくて、あくまでも生活者の視点に立って考えられている事でした。東急さんは流通系の企業もグループに多く「買場」に関する知見が多いように感じました。デジタルサイネージというメディアに関しては、育てていく過程にあると語られているのも印象的でした。私もワクワクしながら、どんな実がなって育っていくのか、これからもウォッチしていきたいと思います。

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日本最大級のミュージックレストラン『SPACE SHOWER TV THE DINER』でデジタルサイネージの実証実験

2010-03-15 :, , , , , , : DSI : 1,210 views

昨日、109の隣にある「ザ・プライム渋谷」5FにスペースシャワーTVさんがプロデュースする日本最大規模のミュージックレストラン『SPACE SHOWER TV THE DINER』がオープンしました。350席キャパでビュッフェスタイルのとても大きなレストランなのですが、スペースシャワーさんが取り組むだけあってライブスペースもあり、ライブイベントや番組の収録なども行われるようです。

カジュアルな雰囲気の中で50種類のお料理や、スイーツエリアでは焼きたてワッフルに十数種のアイスからお好きなアイスを選べたりします。

この素敵なレストランで実はデジタルサイネージの実証実験が行われています。弊社も加盟しているデジタルサイネージコンソーシアムの指標部会が中心となって実施しています。コンソーシアムでは、媒体指標としてAICCITEモデルの検証を進めています。AICCITEとはAttitude、Information、Contents、Circulation、Timing、Emotionの組み合わせで、

デジタルサイネージの効果は、視聴状態や携帯電話のような他媒体への誘導状況などを把握する必要があり、既存の指標では実態に則していない。そのため新たな業界標準の指標が必要と判断し、上記6つの カテゴリを設定して指標化作業を進めている 今回はこのうちのInformation、Contents、Emotionの各項目について実際の飲食店で検証を行う

のが今回のこのお店での実験になります。スペースシャワーさんはデジタルサイネージコンソーシアムの理事をされており、指標部会にも参加されています。今回の実験ではアウトサイドとインサイドの両サイドから施策を行います。アウトサイドでは渋谷エリアの大型ビジョンを使って集客の効果を測定し、インサイドではエントランスとお料理をとる場所に液晶ディスプレイを設置して飲食店でどれだけサイネージが有効かを検証されるそうです。


こんな感じでお料理の前にディスプレイが設置されています。


実際のお料理のシズル感や料理のシーンを放映してどれだけ、気持ちが動いて実際の行動に繋がるかを調べていきます。
ディスプレイにはカメラを設置して顔認証を行います。人数や、年齢、性別をカウントします。 システムはOKIさんのものを使っています。


飲食店では「お勧めのメニュー」というものが通常ありますが、一定時間だけその「お勧めメニュー」をヘビーローテーションさせるとお客さんはどう反応するかを調べていきます。スイーツがおいしそうですね。


また、エントランスとトイレに設置されたディスプレイには、twitterでつぶいた内容がフィードして表示されます。(当日はまだテスト中でした。)

デジタルサイネージの実証実験は今までも沢山ありましたが、飲食店向けにこれだけ大規模な実験が行われるのは初めてではないでしょうか。スーパーなどのリテールでは半数以上の方が店頭で商品購入の意思決定をされるというレポートなどもありますが、飲食店での数字は見えていない部分が多いのではないでしょうか。個人的には美味しそうなスイーツがディスプレイにシズル感たっぷりに表示されていたら、ついつい選んでしまいそうな気がします。今回の実験ではインフォメーション、コンテンツ、エモーションの関係を紐解いて、「デジタルサイネージが人の気持ちをどう動かすか?」という事に対する何かヒントを与えてくれるかもしれませんね。実験の結果が楽しみです。

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デジタルサイネージキーパーソンインタビュー パナソニック システムネットワークス株式会社 西田氏 山本氏

2010-03-09 :, , , , , , , , : nishizawa : 1,722 views

デジタルサイネージ業界のキーパーソンのお話を聞く「デジタルサイネージキーパーソンインタビュー」第8回の今回は、国内でトップシェアを競うパナソニックさんにお伺いしてきました。お話させていただいたのはパナソニック システムネットワークス株式会社 モビリティビジネスユニット デジタルサイネージプロジェクト プロジェクトリーダーの西田さんと 同プロジェクトの主任技師の山本さんです。

DSI パナソニックさんにおけるデジタルサイネージ事業の位置づけを教えていただけますでしょうか?

西田さん 私どもパナソニック システムネットワークス株式会社ではデジタルサイネージのシステムの研究と開発を行い、実際のシステムの構築や販売、保守サービスを担当するのが、関係会社のパナソニック システムソリューションズ ジャパン株式会社になります。こちらの会社ではプラズマディスプレイや液晶ディスプレイを担当しているAVCネットワークス社の製品と私どものシステムを組み合わせての販売やまたASPのサービスを提供しています。他社さんと少し違うのは、当社自身でサービス提供を行なうだけでなく、デジタルサイネージを望んでいる事業者様にもシステムやサービスを提供しています。そうした場合には特定の業種・業態向けのデジタルサイネージの裏側で当社のサービスが稼動している形になります。SIerやコンテンツ制作会社がサービサーとなって、我々がシステム面で下支えさせていただくパターンもありますね。


パナソニック システムネットワークス株式会社 モビリティビジネスユニット デジタルサイネージプロジェクト  主任技師 山本さん

DSI デジタルサイネージビジネスに関する社内の期待値はいかがでしょうか?
西田さん 一昨年のリーマンショックで落ち込みがあり、数字的にも厳しい時期があったのですが、今年度の上期から復調しまして、引き合いも沢山頂いております。そうしたなかでも、「更にこうしたい」という要望も頂いており、着実に改善を行って、お客様のビジネスに貢献したいと考えています。尼崎の工場の竣工式でも「尼崎で生産するプラズマの5分の一から10分の1はデジタルサイネージなる可能性がある」と語られているように、デジタルサイネージは力を入れていく領域ですね。グローバルの市場での伸びも期待されていますので、開発も加速していく予定です。

DSI 御社の製品やサービスについて簡単に教えていただけますでしょうか?
山本さん 私どもでは2002年からNMstageというデジタルサイネージソリューションを展開しています。その当時は情報配信という言葉を使っていました。具体的な製品は、ソフトウェアと表示用のコントローラ(ハードウェア)という2本立てで行っています。ソフトウェアはNM-Serverという配信管理のサーバーソフトウェアとNM-Operatorというコンテンツ登録や、スケジュール設定を行うGUIを提供するものがあります。NMコントローラはコンテンツを蓄積して表示を行う専用端末になります。NMstageは基本的にこの3つ部分から構成されます。

NMstageのスペック
コントローラに関しては廉価版とハイスペック版を用意しています。ハイスペック版に関してはフルスペックのハイビジョン動画を出す、画作りに拘った製品になっており、縦型の表示にも対応しています。またFlashPlayer10への対応も業界の中で一番早かったですね。現在はver3.0にバージョンアップしたのですが、今まで金融系や交通系、商業施設などの案件で培われてきた信頼性やノウハウが投入されています。特徴としては、1サーバーで最大3000端末のまでの一括管理が可能ということが挙げられます。

AF-NMCT30EX(ハイスペック版)

AF-NMCT30R(廉価版)

信頼性、安定性へのこだわり
交通系、金融系といった公共性の高いお客様の事例では「運行情報が出ない」「金利情報が出ない」という事は許されないので、安定した運用を第一条件として製品を開発しました。また何かトラブルがあった際にも素早くに対応できる設計になっています。

OfficeライクなGUI
ワードやエクセルに近いシンプルなインターフェースで、どなたにも使いやすいGUIになっています。1~2時間のオペレーション研修を受けていただければ、直ぐに使っていただける分かりやすさです。

ASPの展開
パナソニック システムソリューションズ ジャパンでサーバーを立ててASPのサービスを提供していますので、コンテンツを含めたワンストップなサービスを提供可能です。

スタンドアローンタイプ
これからデジタルサイネージをはじめてみようというお客さま向けのサービスになります。これは他社さんと少し違って、ソフトを使わずコントローラだけでデジタルサイネージを実現しています。USBメモリにコンテンツをコピーして、コントローラに差すだけで、自動的に再生が始まります。

パソコンでファイルに01、02といった名前をつければその順番でコンテンツを再生することが可能です。ソフトが要りませんので、お客様はコントローラだけ買えばデジタルサイネージをはじめられます。

外部コンテンツに関して
通常、天気やニュースなど動的なコンテンツをリアルタイムに流そうとする時は、外部のコンテンツプロバイダーさんとデータのやり取りを、開発対応したり、サービスとして提供したりしますね。NMstageに関してはパッケージのオプション(NMデータゲートウェイ)を導入頂いて、当社の仕様に合わせて頂ければ、開発投資なしに外部コンテンツとの接続が可能になります。
西田さん カタログには書いていないことなんですが、ASPとしてデジタルサイネージを運用する時に、2社さんにサービスを提供する場合でも、サーバーが1台で済むんですね。A証券とB証券でアプリケーション上でセパレートして運用することができます。また例えば帯域制限機能というものがあって、お客様のイントラネットを共用でご利用頂く際に、昼の時間はこれだけしか帯域が使えないけど、夜はたっぷり使えるといった状況にあわせたコントロールが可能です。このような機能によりネットワークに負荷をかけない配信を実現しています。ネットワークに既に投資済みの企業さまに、余計なコスト負担を強いることなくデジタルサイネージを導入いただくことができます。

DSI 今回のリテールテックに新製品を発表されるそうですが、どんなものですか?
西田さん 今回のリテールテックで参考出品を予定しています。当社の同じ部門に、AtomベースのPOS端末があります。普段はPOSとして使っていただいて、セカンドディスプレイの出力がありますので、そこからサイネージのコンテンツを出力するというものです。そうすることによって、サイネージの専用端末がいらなくなります。またコスト削減や省スペース化にも繋がります。現在、多くのチェーン店様に弊社のPOS端末をご利用頂いていますので、そこへ今後はデジタルサイネージの提案も併せて行ってく予定です。

DSI ターゲットとなる顧客層はどんなところになりますか?
西田さん 元々多かったのは、交通系と金融系のお客様です。流通業に関して、広告モデルを当社自ら行うことは考えていません。クオリティの高いコンテンツを配信して店舗のブランド価値を高めることによって、客単価を上げていきたいという考え方のお客様もおられますし、これからもお客様のご意向に沿ったご提案をおこなっていきたいですね。他には病院、地方自治体、展示施設など、様々な引き合いを頂いていますので、ご要請があるところには真摯に対応させていただいております。

現場で鍛えられた配信機能 稼動実績10000台
西田さん 金融機関様向けに大規模なネットワークで配信を行っている実績もあります。端末のソフトウェアの累計出荷ベースでは10000本を超えまして、実際はディスプレイに分配されていますので、数万台が稼動している形になります。交通機関様の事例のように一般の皆様が目にされやすいロケーションにも数多く導入させていただいています。これまでご採用頂きましたお客様には本当に感謝しております。

DSI 今後の方向性に関してお聞かせください。
西田さん デジタルサイネージにおける社会インフラ的な部分は引き続き確実に取組んでいきたいと考えています。また先ほどのスタンドアローンタイプのニーズがあるように、デジタルサイネージの裾野が広がっています。今後はそういったお客様の要請にこたえる製品やソリューションを開発していきたいと考えています。当社の製品開発には「環境」という事が大きなテーマになります。サイネージと少しはなれるかもしれませんが、パナソニックグループでは住宅設備や家庭内の電力モニタリング装置などの商品も扱っていますが、そこで取ったデータから消費電力をモニターで確認できる“エコ見える化”のソリューションも既に提供を開始しており、この中でもNMstageを使っています。

サイネージで危惧していること・・・
西田さん 現在のサイネージで流れているものは、広告・天気・ニュースがメインですね。それがユーザーにとって本当に関心のあるコンテンツなのか、疑問に思っています。結局見られない画面が増えてしまうことは望ましくないですね。今後は、今までハードルが高くて出せなかったコンテンツを出しやすいようにしなければと考えています。また最終的にコンテンツを制作しているプレーヤーにも資金が廻っていく仕組みがないと良いサイネージにならないと思っています。そうしたところを少しでも改善していきたいと考えています。

DSI サイネージの標準化・指標に関してはどうお考えでしょうか?
コンテンツの入稿条件に関する標準化や広告の指標などついては、所属しているデジタルサイネージコンソーシアムの部会などで検討させていただいています。標準化や指標作りにはハードルが高いこともありますが、多くの方が納得できるものを作っていくために議論していく価値は高いと思っています。

DSI 他社さんとのアライアンスに関してはどうでしょうか?
良いコンテンツをしっかり持っている業者さんとの連携が必要だと考えています。特定の業種・業態でノウハウを持っているコンテンツプロバイダーさんと組んでやっていけば、その業種のお客様には意味のあるコンテンツを提供できますね。

DSI パナソニックさんが目指すデジタルサイネージに関して何かテーマやキャッチフレーズはありますか?

西田さん キーワードとしては「見せたいコンテンツではなく、見たいコンテンツ」を提供していきたいと考えています。サイネージを見る方に対して、タイムリーに必要なコンテンツを伝えていければと思っています。

DSI ありがとうございました。
―インタビュー終わり

簡単にまとめ
パナソニックさんには今回初めてお伺いさせていただきました。プラズマの新工場なども設立などもあって、社内の「デジタルサイネージに積極的に取り組んでいく!」という熱意がお二人から感じられました。NMstageの開発をされているパナソニック システムネットワークスさんにお邪魔したので、技術の話がメイン思ったのですが「見せたいコンテンツではなく、見たいコンテンツ」と言うように、デジタルサイネージのコンテンツについて語られてる姿が印象的でした。リテールテックで参考出品された、POS端末を利用したデジタルサイネージにも可能性がありそうです。今後も画期的な商品の開発に期待したいところですね。

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キーパーソンインタビュー 世界シェアNo1のデジタルサイネージソフトウェア SCALA株式会社のギヨム氏

2010-03-03 :, , , , , , , , : DSI : 3,819 views

業界のキーパーソンにお話を聞く「デジタルサイネージキーパーソンインタビュー」8回目の今回はデジタルサイネージソフトウェアの世界的なリーディングカンパニー SCALA Inc.の日本法人SCALA株式会社のギヨムさんに、現在の取り組みと、今後の方向性についてお話を 聞いてきました。

DSI SCALAさんの会社の説明を簡単にお願いします。

ギヨムさん SCALA株式会社はデジタルサイネージ・ソフトウェアの世界シェアNo.1であるSCALA Inc.の製品を販売している日本の子会社という位置づけです。2006年 にスタートしたのですが、日本国内のマーケットリサーチを行い、それを本国にフィードバックして、日本に合わせた製品を販売していくのがメインの事業になりま す。日本は海外と違う部分もあります。そこで、単なるローカライズではなく、他の製品との組み合わせによる新しいサービスも行っています。

代表取締役のギヨム プルさん(Guillaume Proux )

DSI 設立の経緯はどうだったのでしょうか?

ギヨムさん 元々日本では、NECさんがSCALAの製品を扱っていたんですね。ただ、日本語対応もできていたかったため、協力してローカライズを行って、2004年からSCALAのInfoChannel(現「Scala」)を販売し始めました。その独占販売権が2005年に切れたのと、「やはり日本にある会社と取引をしたい」というお客様の声、また日本が持つ世界最高水準 のインフラや独自のハイテクノロジーシステムへの関心もあり、2006年に会社を設立しました。

DSI 日本のデジタルサイネージ業界の特徴はどんなことだと考えていますか?

ギヨムさん 2005年ごろに、日本のマーケットを調査していて特に感じたのは、デジタルサイネージに関わるほとんどの企業がファミリー(=系列)に属していることでした。シャープさん、ソニーさん、パナソニックさんの販売会社がそれぞれの製品を扱うというスタイルは、海外ではあまりないんですよ。海外は基本的に無色で、さまざまなメーカーの中から最適と思われるハードやソフトなどをおのおの選択して導入するというスタンスですね。

デジタルサイネージにおけるソフトウェアの役割
ギヨムさん 日立さんと弊社が取引をするようになって、大きな案件を獲得できるようになったことは業界では少し異変として捉えられていると思います。ネットワークやディスプレイの良さだけでなく、ソフトウェアの品質によってビジネスが広がっていくという例だといえます。現場のスタッフが毎日使うのはソフトウェアですからね。
デジタルサイネージの企画を考えるとき、みんな割りと簡単に考えていると思うんですね。「ディスプレイとコンピューターがあって、コンテンツを流せばいいんだよね」といった感じで。実際にはそんなに簡単ではなくて、ネットワークにしてもHSDPA、3G、ワイマックスなど色々と問題があります。配信に関しても、10台に送るのは簡単ですが100台、1000台となると難しくなってきます。また、全てに同じコンテンツではなくて、それぞれに違ったコンテンツを配信するフレキシビリティも重要になってきます。うちのソフトは50台以上のネットワークの場合、良さを感じてもらえると思います。

DSI SCALAさんのソフトが日本の市場でも理解されてきたと感じますが?
ギ ヨムさん 元々各メーカーは自社のソフトウェアソリューションを持っていますね。簡単な展開であれば、簡単に済ますこともできますが、複雑な案件ではソフ トウェアの良さが必要であるという事は理解されてきたと思います。特に入札案件では、求められる用件が非常に多くなりますが、Scalaの場合プラットフォームとして使われているので、基本的に全部OKになります。また、1000台以上のスケーラビリティがある事例も海外では沢山あるので、日本でもそうした大規模な案件が実現できるということがポイントになりますね。

DSI 日本での実績を教えていただけますか?
ギヨムさん お客さまとの契約で 言えないものが多いのですが、弊社の代理店である日立さんは千数百箇所への配信を毎日行っています。大手流通業の案件など事例は増えていて、お伝えできな いのが残念ですが、パソコンベースのデジタルサイネージのソフトウェアとしてはかなりの割合を取っていると思います。日本で大規模な案件は日立さんとパナ ソニックさんが50%ぐらい取っていますが、その内の20%程度ではないでしょうか。ただ、小規模な案件でどんなソフトウェアが使われているかは調査会社の調査などもないので、分からない部分が多いですね。社内コミュニケーションなどをデジタルサイネージに入れるかどうかなどによっても違ってきます。

御社の仕事を分かりやすく説明すると・・・
DSI SCALAさんの仕事を街にいる女の子にもわかりやすく説明するとしたら、なんて説明しますか?

ギ ヨムさん それがいつも大変だったんですが、最近は楽なんです。「東京駅とか品川でポスターが画面になったでしょ。その画面の内容を管理するソフトを作っ ています。」と説明しますね。また「家では、情報を携帯やインターネットで取り出すか、テレビがありますよね。家の外で、プッシュ型で伝える技術を扱って います。」とも言いますね。もう少し詳細を言うと、ネットワークとそしてコンテンツがあって、色々なところにディスプレイがあります。そして正しいところ に、正しい時間に見えるようにするためのソフトという感じでしょうか。一般の方も街中や駅などで見かけるようになってから、理解してもらいやすくなりまし た。

DSI 御社のサービスとターゲット顧客について教えてください。
ギヨムさん 弊社のサービスは3つに分かれています。一つ目はソフトのみの販売。そしてSaaSタイプのeasyLive。最後が、10インチワイド画面のオールインワンデジタルサイネージディスプレイ「Scalaデジタルサインボード」です。それぞれターゲットが違ってきます。

Scalaについて
ソフトのみの場合はシステムインテグレーターがメインになります。弊社の顧客リストを見ても分かるように技術のあるシステムインテグレーターが多いです。ソフトは基本的に、コンテンツの作成・編集が出来るDesigner,webブラウザで統合管理が可能な配信ツールContentManager、高機能なプレイバックエンジンを備えたPlayerの3つから構成されます。

easyLiveについて
SCALAを利用したSaaSサービスが「easyLive」になります。小規模・中規模のお客様が簡単にデジタルサイネージを導入できるように設計されたものなんですね。2008年に企画して、2009年 から販売をしています。複数のテンプレートに必要な文章や写真を置き換えたり追加するだけで、簡単にローカル情報の発信や広告・サービスが開始できます。 ローコストな月額料金で利用できるため、「これからデジタルサイネージを始めてみたい!」というユーザーさん向けのサービスです。

Scalaデジタルサインボードについて
どこにでも置くことができる10インチワイド画面です。Scalaの機能に基づいた高度なデジタルサイネージを実現できる製品です。今まではPCへのインストールや設置、それからコストの問題が多くのお客さんにとって導入のネックになっていたんですね。そうした問題を解決するために、簡単に設置できて、必要なメッセージを表示できるのがScalaデジタルサインボードです。ライセンス使用料込み本体価格は4万9350円で、easyLiveの月額利用料が9975円(※12ヶ月のファイナンスリース )になります。対象となる顧客は小規模な企業を想定しています。今まで導入の進んでいない、バー、ホテルのベッドルーム、銀行のサービスカウンターなども利用シーンとして考えられます。「今日のサービスメニュー」などアップセルに繋がるメッセージの配信ができます。

Ad Managerについて
デジタルサイネージやポスター、看板など、あらゆる広告を一元的管理できるソフトウェアになります。元々カナダの広告管理ツールを開発する会社を買収したところから始まっています。海外ではCBSアウトドアーやクリアチャンネルといった大手に採用されています。運用自体はアウトソーシングされることが多いので、広告代理店から運用を受託する事業者が顧客になります。広告業界では「コカコーラ後にペプシを流したらダメ」「車のCMの後にお酒のCMを出してはダメ」などといったルールがあります。そうしたルールを守って広告配信する仕組みや、リアルタイムに広告の空状況を把握したり、外注先を含めたワークフローの管理など、広告ERPといえる統合管理システムですね。

DSI 今後の方向性や目標は?
ギヨムさん 現在の代理店は大規模な案件の獲得なども出来るようになっているので、現在アプローチできていない地方のマーケットを開拓していきたいですね。また、easyLiveやScalaデジタルサインボードに力を入れていきます。これらの商品を扱う代理店の数はまだ少ないので、「これからデジタルサイネージのサービスを提供していきたい」という代理店営業も必要だと思っています。SCALAは海外に多くの実績がありますので、そうした情報をエンドユーザーにダイレクトに発信してくことを考えています。そうすることが、代理店の営業支援に繋がると考えています。また、Scalaデジタルサインボードは年間3000台ぐらいの販売を目標にしています。

DSI それらの目標に向けて、一番がんばっていることは何でしょうか?
ギヨムさん 一番難しい問題でもあると思うのですが、海外から来た企業として日本の会社に認めていただくということに力を注いでいます。日本の市場のなかでは、デジタルサイネージのソフトはパネルに付いてくるものという認識でした。私達は5年前から、自由にパネル、PC、ソフトウェアを選ぶというオープンな組み合わせを提唱しています。それからIPV6への対応も積極的に進めています。

DSI 他社とのアライアンスはどうでしょうか?
デジタルハリウッドさんとは良い関係を持っていて、Scalaの利用方法を学んでもらうテンポラリーな講座を2010年2月から開設します。メーカーの中では、契約ベースのアライアンスではありませんが、三菱さんと良好な関係を持っていますね。PCに関しては,台湾のメーカーですね。彼らはデジタルサイネージ専用の組み込みOSを積んだPCを持っています。ディスプレイの裏に付けられる薄さのものです。価格もこなれてきたので、お客さんには積極的に紹介していますね。コンテンツに関しては、現在多くの会社さんからアプローチ頂いています。
DSI 最近ギヨムさんは日本以外のアジアの国へ商談にいくことが多いそうですが、反応はどうでしょうか?

ギヨムさん 弊社は極東が販売圏ですので、中国、台湾、韓国などが日本以外の展開先になります。中国や台湾ではデジタルサイネージのソフトはPCに無料でついてくるものという認識があります。そこで、メンテナンスの簡便性やスケーラビリティ、などソフトのバリューを伝えていかなければなりません。現地に支社はまだあまりないので、代理店の数を増やしていきたいですね。デジタルサイネージに関しても中国はマーケットも多きく、高い成長が見込まれていますが、許認可の問題など課題も多いですね。

SCALAの考えるデジタルサイネージ
ギヨムさん デジタルサイネージはスマートなシステムでなければと思っています。単にメディアプレーヤーにコンテンツを入れて流すだけではDVDプレーヤーと同じですからね。その上で、エンドユーザーに出来るだけ簡単で使いやすいサービスを提供していきたいと考えています。それを実現するために、エンドユーザーに直接サポートをする機会も増やしています。また、弊社はAPIも公開していますので、お客様の要望に合わせてインターフェースをカスタマイズすることもできます。私達はどんなシステムでもオープンになっていたらウェルカムなんですね。ベンダーに依存せずにAPIをもつシステムが増えていくと良いと思っています。また、日本の市場もメーカー系列で閉じるのではなく、エンドユーザのニーズをメインに考え、それぞれの企業が情報交換を行って更にシナジーが生み出せればよいのではないでしょうか。

DSI 今日はありがとうございました!

OPENなデジタルサイネージの世界へ~
SCALAさ んがマーケティングリサーチをした当初はパネルメーカーさん主導な、垂直統合型の産業構造であり、デジタルサイネージのソフトはある意味おまけ的な扱いで あったといえます。マーケットが成熟していく過程で、最近は徐々にソフトウェアの重要性がユーザーにも理解されてきたということです。ギヨムさんが何度も 口にしていたのは「オープン」というキーワードでした。デジタルサイネージもBtoBビジネスゆえのクローズな側面が多かったですが、オープンなまなざしを持つことで変わってくることもあるかもしれませんね。
※スカラさんの「SCALA社名の際は大文字で」、製品名の場合は「Scala」となっています。

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キーパーソンインタビュー トレインチャンネルを運営 株式会社ジェイアール東日本企画 交通媒体本部 媒体開発部 部長 山本氏

2010-03-01 :, , , , , : DSI : 2,545 views

業界のキーパーソンにお話を聞く「デジタルサイネージキーパーソンインタビュー」7回目の今回は日本のデジタルサイネージにおいて成功事例として語られる事の多い「トレインチャンネル」を運用する株式会社ジェイアール東日本企画(以下jeki)の山本さんに、現在の取り組みと、今後の方向性についてお話を聞いてきました。

JRグループでのjekiの役割とトレインチャンネル
DSI JRグループにおける、jekiさんの立場と、デジタルサイネージの位置づけを教えてください。

山本さん JRグループの中で広告を管理・運用をしている唯一の会社がjekiです。jekiには二つの側面があって、一つはJR東日本グループの広告代理店という役割、もうひとつはJR東日本の媒体を預かって広告を販売、運営する媒体社の役割になります。最近特に話題になるのはJR東日本でのデジタルサイネージ事業なのですが、ゆりかもめ、つくばエクスプレス、りんかい線の媒体も管理・運営させて頂いています。弊社としては、交通広告のデジタル化という大きなトレンドがあって、それがたまたま、デジタルサイネージというトレンドと合致しているに過ぎないと考えています。デジタルサイネージという言葉は2006年ごろから業界で使われ始めたのですが、トレインチャンネル自体は2002年からスタートしています。その当時は車内映像モニターという呼び方をしていましたね。

DSI 媒体社としての役割はどんなものですか?
山本さん 私どもの契約代理店が160社程あるのですが、そこへの広告の販売という形になりますね。

DSI よく聞かれるのですが、トレインチャンネルのディスプレイはjekiさんの所有物になるんですか?
山本さん JRになります。通常、駅にあるポスターやコルトン看板はjekiの資産なんですが、車両の中はJRの資産です。そこに送り込むサーバーや通信インフラはjekiの設備になります。

DSI jekiさんの売り上げの中でデジタルサイネージはどれぐらいの規模になりますか?
山本さん 広告全体の売り上げの8%程度ですので、金額的にはまだまだ小さいですね。従来からある、中吊りや窓上など弊社が取り扱う広告の中の1ユニットという位置づけになります。ただ、広告市場の冷え込みによって他のユニットが15%~20%減するなか、トレインチャンネルは落ちていないんですよ。そういう意味ではクライアントからの評価が高いユニットになりますね。

トレインチャンネルの現状
DSI トレインチャンネルはデジタルサイネージの成功事例として語られる事が多いですが、現状についてもう少し教えて頂けますか?
山本さん 現在、ディスプレイの面数としては16000面程度になります。国内で1万面以上のサイネージの媒体が少ない中で、規模があるという事と、広告媒体として高い稼働率があるという事で業界の中では注目されています。

DSI 広告の入稿状況はいかがでしょうか?
山本さん ほぼ満稿という状態ですね。一昨年頃までは、半年先までいっぱいという状況でした。昨年頃からは、ほぼ満稿という状態で、ずっと先まで埋まっているという程ではないですね。昨対比で言うと微増という状況です。なぜかというと、2008年12月から京浜東北線の面数を増やしていて、2010年の2月に全ての編成に入るようになって、値上げもさせて頂いていたんですね。

DSI 大型ビジョンなど他のデジタルOOHが苦戦する中で、好調さを維持されているという事ですね。
山本さん こうした市況のなかで、前年をクリアしてプラスになっている媒体というのは珍しいのではないでしょうか。今年の夏には新たに京葉線にもモニターが入ってきますので、ある程度は右肩上がりで動いていくのではと思っています。

DSI 従来の中吊り、ポスター、コルトンに比べるとデジタルサイネージは初期投資が重いビジネスですが、その点についてはどうお考えでしょうか?
山本さん そうですね。確かにイニシャルのコストは大きいですね。今までは駅にサーバーを置いて、ホームと電車を無線で繋いでいたんですね。ただ、先ごろ、導入した成田エクスプレスからはWiMAXを利用して、サーバーから直で電車に送れるようになったので負担は少なくなりましたね。今年の京葉線もwimaxを使用します。イニシャルコストの中で大きな割合を占めるのが工事費ですので、設置のハードルはずいぶん下がります。

コスト回収のシミュレーション
DSI コストの回収のシミュレーションはどのように考えていますか?
設備の耐用年数が5年ですので、5年以内での回収を目指しています。ただ、5年経つといろいろな施設が古くなってしまうので、3年で償却を含めて回収するのがベストですが、こうした市況では少し厳しい部分があります。

DSI デジタルサイネージの媒体事業で3年回収する事が可能なところは少ないですよね。
小型のモニターならば可能かもしれませんね。30インチ以下になるとモニターのコストが劇的に安くなって、それに併せて、工事費も安くなります。50インチ以上のモニターは導入コストに比例して、工事費も高くなるのがネックになります。

株式会社ジェイアール東日本企画 交通媒体本部 媒体開発部 部長 山本氏

DSI 最近、面数が増えてきたデジタルポスターに関してはいかがでしょうか?
山本さん 現在、首都圏で70面程度ですので、稼働率に関してはまだまだです。これから面数を増やして200台から300台になった時の稼働率がどうなるか、という事がポイントですね。

DSI 想定している顧客層はどんなところになりますか?
山本さん デジポに関しては駅によって全くちがいますね。東京や品川はナショナルクライアントが多いですが、秋葉原や五反田はローカルなクライアントが圧倒的に多いですね。秋葉原は地元のショップさんやネットカフェなども広告を掲載頂いています。そうしたエリアのクライアントからするとデジタルサイネージというよりは画像が変えられる看板として買って頂いているんだと思います。

トレインチャンネルとコンテンツ
DSI トレインチャンネルらしいコンテンツとはどんなものでしょうか?
山本さん まずひとつに、「音がなくても理解できるもの」という事があります。純広ではなくてインフォマーシャル的な、情報提供も含めたコンテンツも特徴のひとつです。今だったら、サッポロさんのお店紹介や、任天堂さんの一口雑学まめ知識などです。それ以外に私どもが独自に提供しているコンテンツ枠があります。ニュース、天気予報、占いが定番で、それ以外は上期、下期でコンテンツを入れ替えています。今は刑事ドラマ風タッチで、気軽に経済を楽しく学べる『ケーザイ刑事』などが公開されています。今は終わってしまいましたが『ダーリンは外国人』なども人気のあったコンテンツですね。ただ、定番のニュースや天気予報以外に何が良いのかという問題の結論は出ていないです。アニメや雑学などいろいろなコンテンツを出してお客様の反応をみているところですね。

DSI パブリックな空間におけるコンテンツのあり方についてはいかがでしょうか?
山本さん 交通広告は基本的にトーン&マナーが厳しいものになります。特に電車の中では見たくないものにも、目を背けることができないので、ある一定以上のグレードは維持しなければならないと言えます。

DSI 山本さんが個人的にいいなと思うコンテンツはありますか?
山本さん ニュースや天気は基本的に読んでしまうコンテンツですので、アニメのように肩肘はらずに楽しめるコンテンツもいいかもしれませんね。また、twitterやAR のように双方向性のあるコンテンツも可能性があると思います。ただ、プロモーション・メディアとしてアイキャッチにつながるのですが、アドモデルではどのように価格に転嫁していくかという問題がありますね。

トレインチャンネルとデジタルポスターの今後
DSI 今後の目標を教えて頂けますか?
山本さん トレインチャンネルに関してはJRの車両計画に基づいて、今年の夏から京葉線に1年程度をかけて入っていく形になります。今16000面程度ですので、その導入が進めば2012年頃には20000面位になっていきます。デジポに関しては今年度末には150面程度に増やすことを予定しています。来年度も百数十面増やす予定がありますので、2010年度末には250面程度は視野に入るのではと考えています。また面数の増加に併せて、ネットとの連動などコンテンツの拡充も図っていきたいですね。

DSI 面数に関しては順調に増えていくという事ですが、それ以外の目標はありますでしょうか?
山本さん やはり「連携」ですね。昨年から、弊社のトレインチャンネルとJR西日本さんのWESTビジョンを共同で販売しています。今後は他の媒体社さんとの接点を増やしていくことになりそうですね。他社さんと共同の企画を立てるときには「お互いの媒体の稼働率を上げていきましょう!」という事がテーマになりますね。

現在のように広告が売れていない時だからこそチャンスかもしれませんね。共同で企画商品をたてることなどに可能性があるかもしれませんね。
今後、デジタルサイネージが成熟期に入って、電鉄系同士の結びつきや、電鉄系とコンビニ系が組んでいくという議論が生まれるかもしれませんね。他社さんとのコラボレーションもそうですが、電車と駅のつながりやグループ内でのネットワークなど、連携がキーワードや課題になっていくのは間違いないですね。

DSI 最後に、デジタルサイネージの今後とjekiさんの目標をお聞かせください。
山本さん デジタルサイネージコンソーシアムが発足した2007年から少しづつ盛り上がってきていますね。去年は景気も低迷して、伸び的には鈍くなりましたが、今年になってローソンさんとADKさんの新会社やファミリーマートさんなどコンビニ系のデジタルサイネージの動きが出てきましたね。
駅や商業施設に限らず、数が増えていくことは間違いないです。問題はロケーションが増えていったときにメディアとして認知されるかどうかという問題ですね。また、顔認証などの効果測定やクリエイティブの問題もあります。ここ1~2年でメディアとしてのポジションが確立できるかどうかという正念場になるでしょう。jekiのデジタルサイネージとしては、同じように増えていくのですが、看板やポスターがなくなるわけではないので、よりベストな組み合わせというもの考えた上で、増やしていかないといけません。駅全体の広告の中で、メディアミックスとしてのサイネージの位置づけをしっかりと見出していくのが当面の目標になりますね。

DSI 今日はありがとうございました。

―インタビュー終わり

「連携」がキーワードに
広告市場が非常に冷え込んでいるなかで、トレインチャンネルは面数や販売実績、共に堅調とのことでした。今回は広告サイドからのお話がメインだったのですが、公共空間におけるデジタルサイネージとして、ユーザーに「便利なもの・役に立つもの」として認知があるからこそ、広告媒体として成立があると感じました。世界的にみても、車両内のデジタルサイネージのコンテンツとしては既に完成度が高いと思うのですが、「これからも色々と試していきます」という姿勢にはちょっとびっくりしました。また、グループ内や他のデジタルサイネージ媒体との連携がキーワードになっていくというお話も印象的でした。リテールの事業者さんとのコラボレーションが始まれば「電車の中でも、コンビニでも」という複数のタッチポイントが生まれるので、新しいコミュニケーションや体験を喚起することができるかもしれませんね。JRをいつも利用する一ユーザーとしては、生活導線上にあるメディアとしてリラックスしながら見れて、ちょっぴり役にたつコンテンツが増えるといいなと思います。トレインチャンネルは公共性の高いメディアですので、今後の更なる発展に期待したいところですね。

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