日本初のデジタルサイネージ・コンサルタント、デジタルサイネージ総研(TM)が国内および海外の最新情報や市場の動向をお届けします
先日、NTTさんが発表されたネットワーク型デジタルサイネージのパッケージシステム「光サイネージ」は、業界の中で反響を呼びましたね。今回のリリースには3つのポイントがあったと思います。お客様のニーズや規模に合わせ。「松」「竹」「梅」のサービスラインナップを用意して、選びやすくしたという事が一つ。二つ目は丸紅さん、PDCさん、ニューフォリアさんといったパートナーとアライアンスを組んだこと。3つめが配信プラットフォームへの取り組みが発表されたことですね。今回のリリースのパートナーとなっているニューフォリアさんなのですが、実はデジタルサイネージ業界初のコンテンツアグリゲーターになります。今回は株式会社ニューフォリアの清水さんにお話を聞いてきました。
コンテンツプラットフォームは、コンテンツプロバイダー様から頂いたテキストや画像等の素材をサーバー上でテンプレートと自動的に合成し、さまざまなデジタルサイネージに最適化されたコンテンツを生成するサービスです。ロケーションオーナー様は、コンテンツポータルサイトのコンテンツ一覧からお好みのコンテンツを選んでご利用頂けます。先日、発表されましたNTT様がご提供される「ひかりサイネージ」への採用も決まり、これから本格的にコンテンツプラットフォームのサービス展開を進めて参りたいと考えております。

2.なぜコンテンツプラットフォームを作ろうと思ったのですか?
これまで、デジタルサイネージのディスプレー設置がかなり進んでまいりましたが、ここへきてコンテンツ不足の声が上がってきたこと、またさまざまなコンテンツをお持ちの会社がありながら、デジタルサイネージ市場に十分に流通させることができていないことから、コンテンツプラットフォームを構築することを考えました。
コンテンツをお持ちの会社とデジタルサイネージ事業者様の架け橋となり、少しでもコンテンツ市場の拡大に貢献できればと思っております。

株式会社ニューフォリア デジタルサイネージ担当 清水さん
3-1.コンテンツプラットフォームを作るには色々とご苦労があったかと思いますが、どのような点が大変でしたか?
デジタルサイネージのディスプレーの画面比率や解像度がそれぞれ違うため、すべてに対応することに苦労しました。最終的には、サーバー側で自動的にほぼすべての画面比率と解像度のパターンに合わせてコンテンツ生成出来るようになりました。
また、価格設定にも相当悩みました。今までの大型ビジョンだと1ディスプレイに毎月3~10万円でコンテンツが販売されておりましたが、その金額ですと小規模サイネージを導入されるロケーションオーナー様には負担が大きく、多くの方々に導入して頂くことが困難になります。さまざまな方々と議論した結果、今までの1/5~1/10という価格帯をターゲットに設定しました。
今後も課題が出てくることもあるかと思いますが、サイネージを導入されたロケーションオーナー様が気軽にコンテンツを購入してご利用いただけるようなプラットフォームにすべく努力を重ねたいと考えております。
3-2.現在、配信されているコンテンツはどのようなものがありますか?
現在、ご参画頂いているコンテンツプロバイダー様は30社程度であり、ニュース、天気予報、占いなどを始めとして、レシピ、クイズ、株価や為替などの金融情報、家電ランキングなどをご提供頂いております。ラインナップに入れる基準としては、唯一挙げるとするならば、ロケーションオーナー様から必要とされるコンテンツであるかになります。もちろん、私共も自ら進んでロケーションオーナー様のご意見をお聞きして、魅力的なコンテンツをご提供できるようコンテンツプロバイダー様のサポートをさせて頂くつもりです。
4.それでは、今後の展開を教えて下さい
当面の目標は、コンテンツプロバイダーを100社にすることです。むやみやたらに100社にするのではく、実際に現場に出てニーズを収集して、さまざまな業態業種のご要望にお応えすることが出来るコンテンツをラインナップしてまいりたいと思っています。
デジタルサイネージのコンテンツ表現手法の確立は、まだまだこれからであると思っていますので、新しいコンテンツの演出に積極的にチャレンジしていくと共に、日々リリースされる新たなデバイスに対応したコンテンツを提供していきたいと思っております。
5.最後になってしまいましたが、ニューフォリアさんのご紹介をどうぞ
当社は、代表の多田が今のニューフォリアの前身となる会社からインターネット事業をMBOし、2008年5月に設立いたしました。
設立後、すぐにデジタルサイネージ事業への進出を決め、2008年10月にデジタルサイネージコンソーシアムに入会、コンテンツ関連の会員の皆様が所属しておりますプロダクション部会の幹事会社を務めさせて頂いております。現在の事業は、WEBの制作・開発がメインとなっており、教育業界や金融業界、通信業界のクライアント様とお取引をさせて頂いております。ここ最近では、モバイルサイトの制作や開発も強化しており、WEB、モバイルとデジタルサイネージを絡めたメディア展開のご提案を進めていきたいと思っております。
株式会社ニューフォリア
担当:清水
東京都渋谷区恵比寿南3丁目7−3
TEL 03-5724-3111
MAII shimizu@newphoria.ne.jp
簡単にまとめ
すでに、インターネット業界におけるコンテンツアグリゲーターの役割は明確になっていますね。デジタルサイネージに関してはまだそうした動きがなかったのは「モッタイナイ」事実だったのですが、ニューフォリアさんがNTTと組んで新しいサービスに取り組むのはチャレンジング且つ可能性のある事だと思います。当初はコンテンツプロバイダーさんの数はさほど多くないですが、今後はクオリティを保ちつつ、100社程度まで増やしていくそうです。こうした取り組みのなかから、デジタルサイネージにふさわしいコンテンツのあり方が議論・検討されていくといいですね。
最近デジタルサイネージとAR(Augmented Reality)が共に語られる事も増えてきましたね。先日、 社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)さんが主催するPAGE2010の「デジタルサイネージとAR(拡張現実)の動向 」というカンファレンスのモデレーターをさせて頂きました。そのセッションでパネラーをされていたナレッジワークスの亀山さんにデジタルサイネージとARについてちょっぴり記事を書いて頂きました。
拡張現実(AR=Augmented Reality)の2010年が始まり、1ヶ月が既に経過しています。日々のプレスリリースを見ていると相当な盛り上がりを見せていることが分かります。2009年の前半はARの事例が少なく、特にARがデジタルサイネージで活用される事例はしっかり探さないと見当たらないくらいでした。しかし1年経った今は、状況を把握するのが大変なくらい事例が溢れてきています。
これまでのARの大きな流れを振り返ってみると、下記のような経緯を辿っています。日本では既に2年前以上前から一部の方たちの間では話題になっていました。
研究開発 ⇒ マニア達の遊び(この時期が重要!) ⇒ ベンチャー企業がニッチな市場で製品を公開 ⇒ 新しもの好きの一部の人に認知される ⇒ 技術基盤が整う ⇒ 大企業の参入(実は水面下で進められていた…) ⇒ ビジネス活用へ ⇒ 普及が始まる
最近、様々な業種の方々と面識を持つことが多くなり、ARを紹介する機会が増えています。ARを初めて見た時の「驚き」は相当なものだといつも感じます(もちろん自分もそうでした)。一般的なPC+Webカメラ、カメラ付きの携帯端末を使って実現しているということ、紹介記事を見ただけでは何がどのように飛び出してくるのか分からないことが大きな理由だと思います。ARは実際に体験していただくのが一番です。
しかし、「驚き」や「感動」はそう長くは続きません。「驚き」の次は、「今度はどうやってビジネス化したら良いのだろう?」「で、どうやったら儲けられるの?」という模索が始まります。そういうことを考えさせるARですが、それが逆に今後の可能性を感じさせるのだと思います。
さて、ARはデジタルサイネージと非常に相性が良いソリューションのようです導入費用が高額、大掛かりな仕掛けや高度な技術が必要であったため実現きなかったことでも、ARの技術を使用することで比較的安価に行えるようになりました。簡単に行う場合は、モニター、WEBカメラ、パソコンだけでも実現出来ます。
従来のデジタルサイネージの多くは、ただ見られることが目的でした。しかしARは、そこにインタラクティブな要素を付加することができます。例えば下記のような事例がすでに海外では実現されています。
1. 顔認識技術により、歩いている人の頭に帽子をかぶせる、メガネをかける洋服を着せる
例)Atlantic Lottery launches Canadas Augmented Reality Campaign.
モニターに向かうと、サングラスとパラシュートが自動的に合成されて表示されるキャンペーン
2. 店頭で販売している商品のプロモーション
例)Lego Augmented Reality
店頭に置いてあるレゴのパッケージを店頭のモニターにかざすと、組立完成図が表示された上、アニメーションも行われる。
3.カードを自宅に送付し店頭に誘導し購入に結び付ける(キャンペーンに参加してもらう)
例)Hugo_Boss_Simon & John
ARの技術を利用したデジタルサイネージのソリューションは、設置型スクリーンの枠にとらわれず、携帯端末を利用した移動型端末との連携サービスも出てくるでしょう。一方だけを使用することもあると思いますが、連携ソリューションが、より効果が高いと思います。昨年までは単なるBuzz(バズ)と言われることも有りましたが、どうやらそうではない大きな「うねり」を感じます。一年後には、きっと様々な場面で普通に使われていることでしょう。
ナレッジワークス株式会社 RIAソリューション事業部 亀山 悦治
e-mail:kameyama@knowledge-works.co.jp
AR Blog: http://development.blog.shinobi.jp/Category/47/
インタラクティブなデジタルサイネージに使われるツールとして王道なのはやはりFLASHですが、FLASH以外でのアプローチをするクリエイターさんが増えてきています。そんな中注目したいいのがzachary liebermanさん達が作ったopenflameworksです。最近出来た日本語版のサイトによれば
openFrameworksは、C++をベースにしたインタラクティブデザインやメディアアートを制作するためのフレームワークです。2次元や3次元の 図形の描画、アニメーション、サウンドの録音と再生、動画のキャプチャーと再生、マウスやキーボードによるインタラクション、ネットワークの活用など、マ ルチメディアコンテンツを制作するための様々な機能をすぐに利用できるフレームワークとして提供されています。
ということです。英語版のサイトにはデジタルサイネージ的な作品もいくつか紹介されています。
Big Screams
電話番号を入力して自分のキャラクターを作って、一番大声を出した人が勝つという感じのゲーム(ざっくりした説明ですいません)外人さんはめっちゃ楽しそうです。
Hand from Above
大型ビジョンをAR的に使って街行く人がイタズラされてしまう企画(80年代の街角イタズラ系テレビ番組を思い出させますね)解説には巨人兵士ゴリアテなどの神話にインスパイアされたと書いてありますが、理屈ぬきに面白い感じです。
日本でそのままやろうと思うと色々と難しい事(日本人はシャイボーイが多い、著作権の問題)が想像されますが、ともかくユニークで実験的な取り組みが色々と生まれていますね。先日メディアアート系の友人に「openflameworkってどう?」と聞いてみたら「動きも早いんで、結構みんな使ってるんじゃないですか」との事でした。日本では筋電を使った作品で有名な真鍋大度さんがzachary liebermanと親しいみたいですね。メディアアート界隈で生まれたアイディアや実験がちょっぴり遅れてデジタルサイネージ業界に入ってくるのはよくある事ですので、openflamework周りの動きもこれからチェックしていきたいところですね。
おまけopenframeworksを使ったマジックプロジェクション
現在のデジタルサイネージについて、クリエイティブの部分では、カジュアルに表現が展開されているか、というと、そうでない気がします。産業として、一兆円規模になるといわれているデジタルサイネージ市場。表現は多様であっていいと思っています。次世代動画検索サービス「サグールテレビ」の開発や独自のトータルデジタルメディアプロデュースで知られるチームラボさんの取り組みをお聞きしてきました。

Q:まず、どのような経緯でチームラボに入ったんですか?
山本さん:入社する前は、大学院で文字認識や音声認識の研究をしていました。大学、修士そして博士課程。でも実は、3年ほどやったあたりで、研究に飽きてしまいました。僕は興味がころころ変わってしまうんですが、研究で食べていこうとすると、あまり自由に目先を変え続けることができません。アカデミックな研究って、人から求められているからというよりも、自分が純粋にやりたいからという理由で、一人でやるものだと僕は思っています。それは素晴らしいと思うんですが、万が一に飽きてしまった時「人から求められているかは微妙だし、自分もやりたくない、けどやらないと食べていけない。しかも一人でやらないといけない。」という救いがたい状況になるリスクがあります。飽きっぽい僕にはそのリスクは大きすぎて無理だと。ある意味でリスクヘッジのために、人に求められるものを、他の人と作る方向を選びました。ウェブの業界に入るのには、抵抗はありませんでした。もちろん言語は違いますが、もともとプログラミングはやっていましたし、ある程度、ウェブのことも知っていました。そう意味では、新しい世界へのハードルはほとんどありませんでした。だから、入社してすぐに案件をやらせてもらいました。チームラボでは、3ヶ月くらいでプロジェクトも変わります。そこに魅かれたというのがあります。
Q:入ってみてチームラボをどう思いましたか?
山本さん:よく思うのは、好きなことをやっていても怒られない(笑) 度が過ぎたらもちろん怒られるんだと思いますが、「なにこんなものを会社に持ち込んでるんだ!!」みたいなやり取りはない。やっていいことと悪いことの、グレーな部分について寛容だと思いました。だから、やりたいことがバッと簡単にできる環境。そこが好きですね。会社全体として、自由で、寛容で、合理的。自由というのは、そのまま自由という意味です。寛容は、直接的に迷惑でなければ、それを受け入れてしまう雰囲気があるということ。合理的というのは、理系が多いせいか、理屈に合わないことは嫌ということです。逆に言えば、理屈が通っていればok(笑) 例えば、良く分からないから受け入れたくないな、ということが少しでもあれば徹底的に議論しています。その議論をすることで、分かる。その上で判断するんです。
Q:アクトトイレはどのようにして形にしたんですか?
山本さん:東京芸術大学のVVVV(インタラクティブコンテンツの開発環境)の講座を受けたんですが、最終日の三時間くらいが自由制作だったので、アクトトイレを作りました。もともとアイデアはありました。マウスを使えばセンサーの部分もなんとかできそうだし、これはアイデアを完成させるチャンスじゃないか、と前日の夜に思い立ったんです。で、家からトイレットペーパーをはずして、持って行ったわけです(笑) 実際に作ったものを即Twitterに、写真と動画で上げてみました。そうしたら次の日にある社員が、昨晩のTwitterにインスパイアされてこんなの描きました! ってマウスがハムスターになっているイラストを持って来てくれたんです。そのイラストを観て、マウスにぬいぐるみみたいなカバーを着けたら、見た目もかわいくなるし面白いなあ、ってどんどん想像が膨らんでいきました。それで細かい部分をチューニングしていった感じですね。仕事が一段落ついた夜中に、スクリーン上のハムスターが過労死する機能とかを作り込んでいきました(笑)
Q:『アクトトイレ』の他にも色々と作られていますよね?
山本さん:『アクトトイレ』を作る前に、Firefox用のアドオン『らぼかへ』を作りました。これは、社内コーヒーメーカーのコーヒー残量が分かるというものです。あと最近作ったのは、、、今、オフィスには、トイレの個室ひとつに対して、男が3、40人いるんです。やっぱりトイレに行ったり戻ったり、うろうろしたりとかしたくないじゃないですか? それで、『らぼかへ』と同じ仕組みですが、人がいるかどうかを分かるアドオンを作ったんです(笑)個室の扉閉まるとクリックされるようにワイヤレスマウスをつけて、外部PCで拾うという単純な仕組みです。
【動画インタビュー】山本さんに「アクトトイレ」について語って頂きました。
※音声レベルが小さいです ボリューム大きめでお聞きください。
Q:モノづくりができる環境が社内にあるということですか?
山本さん:窓口になってくれたマーケティングチームの高須さんをはじめ、画像処理の方法とか、おばかアプリに向けたプレゼンの練習とか、色んな人が毎晩協力してくれました。色んなタイプの人がいるので、色んなタイプの意見が聞ける。忙しい仕事の合間をぬって、手助けしてくれるんです。例えば、あるときサーバーが重くなったので、もしかしたら『らぼかへ』アドオンのせいじゃないかな、とコードをメールで投げたら、高度に添削して戻って来たりとか、そういう反応があります。そもそも『らぼかへ』を作ったのも、オフィスに突然コーヒーメーカーを置いてくれた社員がいたことが、そもそもの始まりですしね。
あと、koress projectの方がうちに遊びにいらしたときに、『らぼかへ』をお見せしました。そのあとTwitterで、mixiの「萌香たん」のライバルキャラクターのようなノリで『らぼかへ』も擬人化させよう! って決まったんです(笑) そのTwitterを見た社内エンジニアさんが次の日、「らぼかへたん」を描いてみました、と。その『らぼかへ』を擬人化してくれた方が、『アクトトイレ』のハムスターのイラストも描いてくれました。僕はその方の描くイラストが、何かツボなんです。「らぼかへたん」を、Pixivに何枚か上げてもらっているうちに、他の社員とか、知らない人とかも描いて上げてくれたりするようになってプチブーム、みたいな(笑) そういうリアクションが起きるのも、面白いです。
Q:仕事と遊びの違いは、どういう仕組みで分けているんですか?
山本さん:もちろんクライアントワークに支障があるのは、絶対にNGです。明確に仕組みがあるわけではないのですが、基本的には、僕の場合は、つまりまあ、今日はこのぐらいの時間を使っても大丈夫だなあ、という時にやっています。時間管理は自分ですから、それについて、人に色々言われることは基本的にありません。自分のやるべき仕事を終らせれば、そのあとはどのように時間を使うかはその人次第です。それと、もうひとつ上の部分で、そういう「遊び」の部分をお客さんに提案しているというのがあります。チームラボではみんな、びっくりするようなものを作ろうよ、という気持ちがあります。
Q:普通の会社のように、パキっと別れているわけではないんですか?
山本さん:簡単に流れを説明すると、あるプロジェクトを受けたとします。そうするとまず、マーケティングチームの人たちが、お客様にヒアリングしにいきます。それを元に、社内のエンジニアたちも含めた会議をして、それをマーケティングチームが紙などにまとめて、先方に持って行きます。チームラボにおけるマーケティングは繋ぐ仕事。言ってみれば、触媒のような存在です。チームラボは、エンジニアが7割か、それ以上ですから。エンジニアが苦手な部分を、マーケティングチームがしてくれる、という感じです。本当、感謝しています。プロジェクトが動き出せば、普通の会社と同じような流れになると思います。プロジェクトマネージャーを選んで、管理し、進めていく、という流れですね。ただ企画を出すときに、びっくりするようなものも、クライアントに提案しています。チームラボの場合、びっくりするようなものを作りたい、という気持ちがあります。
Q:ある意味、デジタルサイネージとは、外に出たインターネットだと言えると思います。デジタルサイネージについて思うところをお話いただけますか?
山本さん:ウザくない、というのが重要だと思います。トイレはプライベートなスペースなので、自分の価値観にあわない広告を見たときの拒否反応が顕著になると思います。『アクトトイレ』は今は広告の機能はないですが、だからこそ「全くウザくない」必要があると思って作りました。何も宣伝しない状態でウザかったら、何か宣伝したらもっとウザくなっちゃいますから。そういう理由で今は絵柄を人畜無害なハムスターにしています。
新しい場所に広告が進出する場合、この「ウザさ」は無視できない問題になると思います。テレビでCMが流れたり、渋谷のセンター街で大画面のCMが流れたりするのは、僕らはそういう景色だと思って了解済みですが、今まで何もなかったところ、特に個人性の強い場所については、新しい見せ方、新しい方法論が重要になってくるんじゃないかなあ、なんて思います。
広告ってお金を払って置いてもらうじゃないですか。つまり広告はその場所にとってはマイナスな話ですよね。基本的にないほうがいいみたいな。そういう方向に進化しても面白くないと思いました。逆に、サイネージを置くことで環境がよくなるもの、という視点で考えたかった。その上で最後に宣伝したいことを少し主張する、みたいな方法論の方が合っているんじゃないかなと思ったんです。
それと、デジタルサイネージについては、「インタラクティブ」とか「外界との同期」ががとても重要だと思います。環境に単にディスプレイを置いて動画を映すと、それだけでウザいと思うんです。その中だけ周りの世界と全く違う物理法則で動いてしまうからです。見る人は、ディスプレイの中を見るか、外を見るかで視点を変える必要があって、一度にどちらか一方しか見ることができない、「同時に見る」ことができないと思うんです。『アクトトイレ』はそういうディスプレイのウザさを軽減する試みでもあります。紙と同期してディスプレイ内の映像を動かすことで、周りの世界の物理法則を取り込んでいるので、その分環境に溶け込みやすいんじゃないかと思っています。
環境と自然なインタラクションがあって、ディスプレイの中の法則が周囲の法則と関連があると、ディスプレイ内外の境界が薄まって、ウザくなくなるはず。ディスプレイの内外を自然に同時に見られる、そういう環境に溶け込めるサイネージが良いと思います。
Q:何か新しいアイデアとか考えているんですか?
山本:下の画像はコンセプト動画なんですが、次はこんなものを作りたいと思っています。
アクトバッグ[動画]
バッグについているディスプレイとディスプレイ内の世界とを同期させて移動させることで、他の世界を覗く「窓」のように見せられないかという試みです。これも『アクトトイレ』と同じく「ディスプレイのウザさ軽減」の一環です。こういう環境と同期するような枠組みの中に、売りたいもの、価値があると思うものを放り込んでいけば色々と面白いデジタルサイネージが作れると思うんです。今回の例は、他の世界にペットを放り込んで、バッグと一緒に散歩できるようにと考えてみたものです。
Q:では、最後に今後の目標を一言よろしくお願いします。
大きな目標としては、ITを駆使した超インテリジェントな動作をして、かつアナログな世界にものとても自然に溶け込むようなものを作りたいと思っています。
簡単にまとめ
チームラボの皆さんにお話を聞いたなかで印象的だったのが「自由、寛容、合理的」という言葉です。通常のクライアントワークとバランスをとりながらエンジニアの「もの作り」を支援する環境が整っているように感じました。ネット系の企業ではgoogleの20%ルールのような自由な活動が新たな開発につながるケースがよくありますが、すぐに業務につながるものでなくても「「びっくりするようなものを作ろうよ!」というマインドを共有したチームが快く制作に協力してくれるスタンスが純粋にいいなと思います。デジタルサイネージに関しては、なかなかカジュアルに作品をつくるシーンは生まれていませんが、WEBのテクノロージーとクリエイティブを共にもった企業や個人がこれからのデジタルサイネージ産業を引っ張っていくことになるかもしれませんね。それから「ウザくないサイネージ」ということもこれからのサイネージを考えていく意味では重要ですね。今後もサイネージに関わりそうなWEB系の事業者さんを積極的に紹介していきたいと思っています。
以前、弊社のデジタルサイネージ親睦会にも参加して頂いたアイティアさんがカンヌ国際広告祭、クリオ賞と並ぶ世界三大広告賞の一つである「ONE SHOW INTERACTIVE 2009」のOther Interactive Digital Media部門 Merit受賞を受賞いたしました。

作品は六本木ヒルズメトロハットで実施された「Sony Interactive Mega Gallary」という作品です。最近はカンヌなどで日本のWEB系クリエイターの作品が数多く賞を獲得していますが、デジタルサイネージやOOHの関連の作品が入賞したというのはデジタルサイネージ業界としては喜ばしい事だと思います。
早速、アイティアの中原さんにインタビューしてみました。
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ありきたりな質問ですが、受賞のご感想は?
嬉しいです。
との事でした。技術がある会社さんの場合は、どうしてもその技術だけにフォーカスされてしまう事に難しさがあるようですね。
日本のデジタルサイネージの事例が海外に紹介されたケースとしてはNTTの香るサイネージなどがありますが、これからはクリエイティブなシーンからも取り上げられる事が増えてくるのではないでしょうか。高い技術力のディスプレイ産業と優れたクリエイティブが日本のデジタルサイネージをドライブする両輪になっていくと良いですね。
日本初開催となる、デジタルサイネージ専門の展示会「デジタルサイネージジャパン」が6/10(水)~6/12(金)に行われます。この展示会で、デジタルサイネージの優れた作品を表彰するデジタルサイネージプレアワードも開催されます。デジタルサイネージの作品がアワードという枠組みで評価されるのは今回が初めてになりますので、「うちの作品も!」という事業者様は奮ってご応募ください。

■アワード概要
公募した国内のデジタルサイネージ作品の中から、優秀な作品を選出し、表彰いたします。デジタルサイネージに関する広報活動を積極的に行い、デジタルサイネージ市場をさらに活性化していく事を目指します。
■募集要項
・募集期間 2009年4月23日(木)~5月22日(金)
・募集条件 2009年5月22日(金)までに、一度以上一般公開したデジタルサイネージ作品。または、デモを行った未公開のデジタルサイネージ作品。
・応募方法 DIGITALSIGNAGE PREAWARD サイトからエントリーを受付。デジタルサイネージ作品(FLVorWMV形式)とプレゼンテーション資料を提出していただきます。
・各賞 5~10作品を表彰します。
・審査方法 コンソーシアム会員による投票方式。
・表彰式及び発表 DIGITALSIGNAGE PREAWARD サイト及び2009年6月10日(水)~6月12日(金)に開催される「デジタルサイネージジャパン[DSJ]2009」にて表彰式を行います。
詳細は下記サイトまで
DIGITALSIGNAGE PREAWARD
巨大なデジタルサイネージを用いて、ビルの壁面が巨大な映像装置になったような建物が世界各地にでき始めています。すでにタイムズスクエアだけの話ではなくなっているのですね。
以前、サイネージ建築(Media Architecture)の可能性という記事でメディア・アーキテクチャー(Mediaarchitecture)についてご紹介しましたが、ヨーロッパではこうした建築物の表面を使ったビデオ映像による表現が「メディア・ファサード」いうひとつのジャンルを形成しており、アートフェスティバルも開催されているという状況です。
> Mediaarchitecture » Media Facades Festival 2008
今後は、建築の一部としてデジタルサイネージが組み込まれ都市の景観を形作っていくというのが当たり前になるのかも知れません。
これはオーストリアの Graz という街の美術館に設置されたもので、蛍光灯のサークル管を使ってうねうねとした建物の壁に沿って取り付けられています。
こちらも蛍光灯を使ったシステムで、ドイツのものです。
次は東京の銀座にあるシャネル・ビルの壁面です。雨に合わせたコンテンツが表示されています。
最後はマカオのカジノのビルです。ラスベガス以上に派手ですね。上の事例に比べると「電飾」的な色合いが濃くなります。メディア・ファサードというよりは看板建築という感じでしょうか。