日本初のデジタルサイネージ・コンサルタント、デジタルサイネージ総研(TM)が国内および海外の最新情報や市場の動向をお届けします
米フィラデルフィアにとんでもないデジタルサイネージが登場です。
先月初めフィラデルフィアのダウンタウンにグランドオープンした Comcast Center ビルのロビーには 25.38m x 7.74m の巨大 LED ビデオウォールが設置されています。4.6mm ピッチの LED モジュールを 6,771個パネリングしたもので、1,000万ピクセルの解像度(FullHD の約5倍)を誇ります。
この超巨大デジタルサイネージは、米国最大手のケーブルTV会社である Comcast と不動産大手の Liberty Property Trust が建設したスカイスクレイパーのロビーにあり、7層吹抜けになったガラスのアトリウムで一般市民に公開されています。
コンテンツはニューヨークの Niles Creative Group が手がけたもので、建築そのものと一体化して見えるようにつくり込まれているため、ほんとうにそこにモノが存在しているようなリアリティを幻出しています。
前置きはこれくらいにして、とにかくビデオをご覧ください。
[youtube:http://youtube.com/watch?v=BO6ty5RfnrA&ap=%2526fmt%3D18]
LED パネルが隅から隅まで隙間なく設置されているうえ、周囲の(リアルな)壁面を構成する木製パネルが画面上でも精密に再現されているため、本物と映像との見分けがつかなくなり、壁の手前にモノが表れたり、本当に人がいるかのように見えてしまいます。
コンテンツは人工知能を応用したシステムにより曜日や時間帯、ホールの利用内容などに応じて自動調整され、現実とイリュージョンの境界を行き来するような見事な体験を1日18時間にわたって市民や観光客に提供します。この Comcast Experience プログラムは、Comcast 社のメッセージを鮮明に焼き付けるだけでなく、ビルのオーナーにとっても建物の不動産価値を引き上げる意味があります。また、単なるデジタルサイネージとしてではなく、公共の空間にアーティスティックな焦点となるようなスペクタクルを提供する全く新しいメディアとして取り組んだ結果、このような素晴らしいものが生まれたそうです。
バックエンドを支えるのはグローバル企業である Barco 社の LED システムで、4,000:1 のコントラスト比を持つブラック LED が使われています。
ある情報によれば、このデジタルサイネージには 2,200万ドル(約 22.5 億円)もの費用がかかっているそうですが、フィラデルフィアの新たなエンターテインメントとして観光の目玉になることは間違いないでしょう。
ところで、アメリカのデジタルサイネージ EXPO は毎回注目すべき事例のある都市で開催されてきていますが、今年秋の開催地にフィラデルフィアが選ばれた背景はこれでしょう。ちなみに昨年のシカゴの時はハイアット・リージェンシーホテル、今年のラスベガスは数多くのカジノに導入されたデジタルサイネージの事例が理由だったものと思われます。
最後に Comcast Experience の写真をあと何枚か載せておきます。やっぱりアメリカはスゴいですね。
「福岡街メディア」で行われているコンテンツに関する試みが面白いです。
ポイントはウェブからコンテンツを持ってきているという点で、デジタルサイネージのように大量の映像コンテンツを必要とする媒体にとっては、YouTube のような CGM コンテンツも含めてウェブ上にあふれるコンテンツを持ってくるというのが理にかなっていると考えられるからです。インターネットのネットワークに接続されているわけですから、ウェブ上のサービスとの接続は難しくないでしょう。
それともうひとつはエンターテインメントの視点です。その見地からも、Flash などを使ったウェブコンテンツはクリエイター層も非常に厚く、洗練されたコンテンツも数多く生み出されているため、これらのクリエイティブパワーを活用しない手はないでしょう。
「福岡街メディア」では以前から UNIQLO の「UNIQLOCK」をデジタルサイネージ上で流していましたが、新たにファインアーク株式会社の提供する Timelog というマイクロブログサービスと連携して写真コンテストを開催するそうです。
Timelogにおいて福岡街メディアの特設グループを設置。同グループに参加したユーザーのコメントをデジタルサイネージで福岡の街頭スクリーン等に表示していく。なお実際にメッセージが掲載されるのは7月中頃以降の予定。
本件についてファインアーク代表の服部氏は「COMELとは特に付き合い等なかったが、弊社親会社であるサンロフトがソフトバンクパブリッシング (現ソフトバンク クリエイティブ)と取引があり、その際の担当者がCOMELに出向したのがきっかけ。COMELの手がけるデジタルサイネージシステムと弊社 Timelogの親和性が高いということから、今年5月頃より連携については話を進めていた」と話す。
(ファインアーク、「Timelog」を福岡のデジタルサイネージシステムと連携 : Venture Now(ベンチャーナウ)Newsより一部引用)
「Timelog」は、今なにをしているのかをメモしていくサービスで、なにげないつぶやきや写真を投稿するほか、SNS サービスと同様のグループ機能があります。
今回はこのグループ機能を利用して「福岡街メディア」専用のグループを開設し、夏をテーマにした写真を投稿してもらう写真コンテストを開催するようです。ユーザーから投稿された九州の夏の写真が街中のデジタルサイネージに表示されるという仕掛けです。
九州各県に在住の皆さま、この夏に九州を旅する方をはじめ、九州にゆかりがあればどなたでも参加できる、フォトコンテストです☆
テーマは、「夏」。
九州各地で撮った、夏らしい写真を気軽に投稿してください!
夏祭り、花火大会、海水浴、入道雲、ひまわり・・夏を感じる風物詩をどんどんお寄せ下さい。このグループに投稿された写真とコメントは、福岡市内に張り巡らされたディスプレイ「福岡街メディア」にも掲載されます。(7/22〜掲載スタート予定)
■フォトコンテスト概要■
*実施期間:7/1〜9/30(毎月、月末にコンテストの大賞を決定します)
*賞品:福岡ソフトバンクホークス観戦チケット(ホームゲーム/内野席・ペア一組)
*第一弾〆切:7/30(水) 0:00
*主催・審査:COMEL株式会社
最後に UNIQLOCK の YouTube 動画を貼っておきます。ウェブの世界のクールなコンテンツが、どんどんサイネージにも流れるようになるのではないかと思います。
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=lNoM-B-b8D4]
いま世界の流れはコンテンツに向かっています。
9月16〜18日まで開催されるフィラデルフィア EXPO(Digital Signage EXPO / East 2008)の初日は、コンテンツに関するセミナーだけに充てられています。
今回はそのセミナー内容の詳細をお伝えします。
なお、取材依頼も受け付けていますので、デジタルサイネージ総研に取材してきてほしいというご要望があれば7月20日までにご連絡ください(info@digitalsignage.co.jp まで)。
タイムテーブル:
08h - 09h|Continental Breakfast and Networking
09h - 10h|Live Response Session: Creating and Interpreting a Digital Signage Creative Brief
10h - 11h|Managing the Content Mayhem
11h - 12h|Stretching the Dollar: How to Keep Content Fresh on a Budget
12h - 13h|Lunch and Networking
13h - 14h|Managing the Content Development Process: Inception to Delivery
14h - 15h|Changing the Landscape of Content Development: A Hollywood Perspective
15h - 16h|Transcoding: Multi-channel Content Requirements
セミナー内容の詳細は以下の通りです(翻訳)。
09h - 10h:効果的なデジタルサイネージコンテンツの制作についてのパネルセッション
効果的なデジタルサイネージコンテンツのクリエイティブとはどんなものでしょうか?業界のトップクリエイティブが語ります。トップクリエイターたちによるライブプレゼンテーションで学ぶことができます。10h - 11h:コンテンツ騒動を管理する
デジタルサイネージには大いに期待が持てるとはいえ、コンテンツ管理は複雑です。大規模コンテンツの管理について、知っておくべきこと、なすべきことをお話しします。11h - 12h:節約術〜予算内でコンテンツをフレッシュに保つ方法
問題です:あなたはうまいコンテンツ戦略を考えなくてはなりません、が、予算はありません。さて、どうしますか?あなたのメディアの寿命を延ばすための、ダイナミックで創造的な方法を探ってみましょう。13h - 14h:コンテンツ制作のプロセス〜配信開始まで
コンテンツのプロセス管理は困難なものです。Tips やテクニック、ツールなど、制作プロセスを単純化するためにすぐに使えるノウハウをお伝えします。14h - 15h:コンテンツ制作革命〜ハリウッドの展望
コミュニケーション技術によって世界中のクリエイティブな才能や人材にアクセスすることが可能になりました。こうした「バーチャルな」制作コミュニティがハリウッドの様相をいかに変えつつあるか、そしてそのトレンドをデジタルサイネージの分野に活かす方法についてお話しします。15h - 16h:変換技術〜マルチチャンネルコンテンツの要件
一度制作したコンテンツが放送、インターネット、モバイル、デジタルサイネージなどの様々な解像度できちんと再生されるようにするためには、動画変換とワークフローへの配慮が欠かせません。コンテンツ制作の効率を上げるためのコツと技術についてお話しします。原文はこちら(Event Schedule)です。
9月16〜18日まで、アメリカ東部のペンシルバニア州フィラデルフィアでデジタルサイネージ EXPO が開催されます。今回も早期割引があるようです(8月1日まで)。
前回のラスベガス EXPO から半年ですが、東部での開催ということで、Digital Signage Expo / East 2008 という名称になっています。それにしても、年2回開催とはすごい勢いです。昨年のシカゴ EXPO のときには想像もしませんでした。
今回は初日にセミナーだけの日が設けられています。その名もずばり「Contents Day」。5月のドイツ EXPO でも会場の中心にコンテンツセンターが配置されていましたが、今や話題の中心はテクノロジーからコンテンツへと移ってきています。
セミナー内容の詳細についてはこちらの記事をご覧ください。
フィラデルフィア EXPO「CONTENTS DAY」のセミナー詳細(取材依頼も受付中)
ソニーが、今年3月に発表したデジタルサイネージ配信システム「BEADS(ビーズ)」を使ったデジタルサイネージ広告配信事業を本格的に開始するそうです。少し前から都内のスーパー Olympic の店内で実験的な運用が行われていましたが、これが6月30日から本格稼働します。
株式会社Olympic(以下、Olympic)の展開する首都圏22店舗に大型ディスプレイを151台設置し、「ミルとくチャンネル」と名付けた専用のチャンネルを運営します。「ミルとくチャンネル」は、広告・店舗情報・特売情報・イベント情報などの販促情報に加え、お料理レシピ・地域にあわせた天気予報・ニュースなどの便利な情報を提供します。
現在、スーパーマーケットを利用するお客様の約60%は売り場で購入製品を決定するといわれています。本サービスは、ネットワークを利用した売り場に近い広告メディア(インストアメディア)として、メインターゲットである主婦層・ファミリー層にタイムリーに情報を提供することにより、購買行動に結び付ける効果があります。
BEADS のサービス料金の目安が「同じ建物の中に40インチのディスプレイを100台設置する場合で,初期費用が6500万円程度(ソニー,商業施設などの最大1万台のディスプレイにコンテンツ配信するサービス:ITpro)」とされていることから、数千万円の初期費用がかかるものと思われますが、このほとんどをソニーが負担するサービス形態のようです。
ディスプレイ設置場所の選定、機器の手配/設置、広告の受注、コンテンツの制作 /配信、保守/監視といった関連作業を、すべてソニーグループが請け負う。店舗側は機材を購入する必要がなく、少ない初期投資で導入できるという。
ところで、日本のデジタルサイネージは当初からメーカー主導で進められてきた感があります。プラズマディスプレイを製造する松下電器や日立、液晶ディスプレイを製造するシャープ、ソニー、NECといったメーカーにとっては、薄型テレビに代わる新たなディスプレイ市場としての期待が大きいためです。
液晶パネルの価格が下がり続ける中、メーカー側としては比較的収益性の高い大型ディスプレイを売って行きたいのですが、家庭のリビングでは視聴距離が近いため70インチやそれ以上のサイズに対するニーズは限られます。
一方、ポスターやコルトン(照明入りポスターボックス)などの屋外広告メディアのサイズは60インチ〜150インチ辺りに相当するため、これらをデジタルディスプレイに置き換えて行きたいという考えです。
パネルメーカー各社は、それぞれにデジタルサイネージの配信用ソフトウェアを開発し、これを自社のモニターにくっつけて販売してきましたが、やはりモニターを売るためのデジタルサイネージというスタンスであったように思います。
その点で、今回発表されたソニーのビジネスモデルは新しい路線だと言えるでしょう。
パネルメーカーが費用を負担して広告メディア事業に乗り出す例は海外でも先例がありますが、なかなか採算が取れないという話も聞きます。海外の事例については近いうちに書きたいと思います。
大画面であり、多人数が同時参加できるエンターテインメントコンテンツという意味で、デジタルサイネージのヒントになるかも知れません。
技術的には、画面の下に設置されたカメラで人の動きを捉えてリアルタイムに映像に反映させる仕組みのようです。
アメリカ各地の映画館で行われたものだそうですが、参加者はずいぶん楽しそうですね。
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=y6izXII54Qc]
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マルチメディア放送ビジネスフォーラム が新たに立ち上げたワーキンググループのひとつに「デジタルサイネージWG」というものがあり、ここでは「グーグルを超える広告ビジネスモデルの構築」を目指すそうです。
ラジオやテレビのデジタル放送の電波にコンテンツを乗せて送信するための技術としては、慶大、KDDI、FM東京の3者が共同で開発したもの(デジタル放送波でネットコンテンツを配信する技術 )があり、これの延長線上にあるものと思われます。
以下、3セグ放送推進のマルチメディア放送ビジネスフォーラム,新たに4つのWGを立ち上げ:ITpro より一部引用。
デジタルサイネージWGは,放送波をインフラとするインターネット環境を活用した新規ビジネスの創出を最終的な目標に掲げる。このWGの設立を提案したアイ・ビー・イー・ネット・タイムの関係者は,「グーグルを超える広告ビジネスモデルを構築したい」として,放送波を利用した電子新聞事業など,新たなビジネスの創出を目指すとした。
現在のところ、デジタルサイネージのコスト要因として大きいのは表示用ディスプレイやコンテンツ制作費などではないかと思うのですが、ネットワークインフラが放送波ベースになることでどのような利点が生まれてくるのかは興味深いところです。
とはいえ、今後もディスプレイパネルの価格低下はますます進行すると予測されていますし、もしかしたら電子ペーパーが普及するころのタイミングを睨んだ戦略なのかも知れません。
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