「OOH」アーカイブ(デジタルサイネージ総研ブログ)


デジタルサイネージキーパーソンインタビュー イオンアイビス株式会社 システム開発本部 本部長 北澤氏

2010-05-26 :, , , , , , : DSI :

デジタルサイネージ業界のキーパーソンにお話を聞く「デジタルサイネージキーパーソンインタビュー」9回目の今回はイオンの店舗で1000面規模のデジタルサイネージ媒体「イオンチャンネル」を運営するイオンアイビス株式会社の北澤さんに、現在の取り組みと、今後の方向性についてお話を聞いてきました。

DSI イオンさんのデジタルサイネージ事業における御社の役割を教えていただけますでしょうか?
北澤さん 弊社はイオンチャンネルというデジタルサイネージの運営そのものをしている事業者という位置づけになります。それは我々だけでは出来ないですから、広告代理店さん、実際にシステムを管理するメーカーさんと協業する形になっています。
DSI それは共同事業という事でしょうか?
北澤さん 協業はしていますが、主体はあくまでイオンで弊社がデジタルサイネージの事業主となっています。ただ実際の運営そのものは出来ないので、メーカーさん(広告主)とのやりとりは広告代理店さんにお願いしています。また実際のシステムはASP型のサービスを利用させて頂いています。

イオンアイビス株式会社 システム開発本部 北澤さん
DSI どんな部分に期待してデジタルサイネージ媒体を運営する運びになったのでしょうか?
北澤さん 弊社が実験する際に他社さんの事例が既にありましたので、それを参考にさせて頂いた部分はありますね。その中で、コンテンツの管理を我々自身でやっていかなければという流れになっていったんですね。なぜなら、デジタルサイネージの1番の目的は「放映している商品の売上がきちんと上がる」という事なんですね。それを実現するためには、売り場の展開や、価格プロモーションなどに連動しなければなりません。そこで、「場所貸し」ではなく、放映するコンテンツ、事業運営そのものを我が大元となって運用していこうという事になりました。

DSI リテールの事業者さんには52週の販売計画がありますが、それらとはマッッチしているのでしょうか?

北澤さん 現在は、完全にはマッチしていません。弊社のサイネージは売り場連動ではないからですね。通常のインストアサイネージのように商品のところにディスプレイを設置する形ではなく、レジアウトに設置している事は他の事業者さんからすると不思議に思われるかもしれませんね。
北澤さん レジアウトに置いたのは理由があります。どこに置くのが一番効果的なのかを津田沼店で実験をしました。売り場の中や通路は、アンケートをしてみると「意外と見ていない」という事に気づいたんですね。実験の結果から、一番視認率が高いのがレジアウトとエレベータ待ちの場所という事が分かりました。立ち止まらない限り、なかなか認識されないという事ですね。レジは本当なら立ち止まらせてはいけない場所ですけどね(笑)

DSI 他の会社さんの中には「レジにデジタルサイネージを置いても、既に買い物を済ませているから効果が低い」と仰る方もいますが・・・
北澤さん 食品スーパーの特性として来店頻度が高いので、その日に見て、その日に買うお客様ばかりでないという事はありますね。食品スーパーのメインユーザーである主婦の方は週に2~3回来店する事もありますので、レジに設置する事によって刷り込み効果が生まれると考えています。実験の結果として、レジアウトのデジタルサイネージで告知し商品の売上が2~5倍に伸びたケースがあります。もちろん売り場展開や価格展開といった要素もありますが、チョコレートやパスタソースなど比較的嗜好性の高い商品は良い結果が出ています。
DSI イオンチャンネルの場合、ターゲットが非常に明確なメディアかと思いますが、そこで展開するコンテンツに関しては如何でしょうか?
北澤さん 現在は広告主さまからご提供いただくのはテレビCMが多いですが、デジタルサイネージ用に静止画にトランジションを加えた表現なども取り組んでいます。今後はより効果的な見せ方について、広告主さまと一緒に作り上げていきたいと考えています。
DSI 御社は日立さんの「MediaSpace」を利用されていますが、採用に至った経緯を教えてください。
北澤さん デジタルサイネージ用のコンテンツ作成が容易なこと、全国の其々の店舗に個別の配信が出来るなど、イオンチャンネルの運用にあった仕組みだった事が採用の決め手ですね。テンプレートに動画やテキストを入れればコンテンツが作成できるという、簡単さが良いですね。他社のシステムも各々特徴があり優れた点は多いのですが、イオンの運用に一番適していたのが「MediaSpace」だったということです。
DSI 運用をされる中で効果の上がるコンテンツの方向性が見えて来た部分はありますか?
北澤さん これが「効果が上がる」というものは難しいですが。効果が上がりにくいのはいわゆる「イメージ広告的」なものですね。最後まで動画をみないと何のCM か分からないものは、デジタルサイネージにはマッチしていないかもしれませんね。コンテンツに関しては模索しながら取り組んでいる状況です。地域毎や時間帯毎にお客様が興味を持って頂きやすい仕掛けを如何に組み立てていくかという事が今後の成否に関わってくると考えています。
DSI 具体的にはどんな取り組みをされていますか?
ショッピングセンターの中にありますので、行われていている催事に如何に誘導するかといった事をテーマにコンテンツを制作するものもあります。個店毎に情報が違うので、それをどう出していくかという事もあります。
DSI 全ロールの中のCMの割合は如何でしょうか?
北澤さん 最適な割合がどれくらいなのかという事については結論が出ていません。CMだけでは面白くないのも事実なので、お客様に興味を持って頂ける情報コンテンツを挟みこむ形ですね。メインになるのは天気やその時々のイベントに合わせた情報やレシピといったものになります。
DSI 今後の方向性に関してお話いただけますでしょうか?
北澤さん お客様にもコミュニケーションツールとして認識して頂いて、レジに行った時は必ず見ますという状態に持ってかないとCMも見られない状況になってしまいます。来たお客様に当てにしてもらえるメディアにしていきたいですね。
DSI 他のお店への送客はいかがでしょうか?
北澤さん 他のテナントさんへ直接送客の取り組みは今のところは出来ていないですね。津田沼店のサイネージの実験では双方向型の取り組みもしています。タッチパネル端末を使って、クーポンをダウンロードするタイプのものです。ただ、コンテンツの鮮度を保つ管理面が大変ですね。
DSI 広告を出稿された広告主さんにはどのようにデータをフィードバックしていますか?
北澤さん デジタルサイネージを利用した店舗とそうでない店舗、デジタルサイネージを利用する前と後で売上がどのように変化したかを分析して広告主さんに提出しています。基本的には必ず効果は出ていますね。ただ、それがデジタルサイネージを利用した費用に見合うかどうかという指標がないのと、他の媒体でも宣伝はしていますので、デジタルサイネージだけで効果が上がったのかという事の計測が難しいという事が悩ましいですね。

DSI 現在の課題などはありますでしょうか?

北澤さん 現在は販促費を出す方達とはやりとりはしていますが、広告宣伝費を出す担当者さんとはあまり話が出来ていないですね。デジタルサイネージが販促の一つのツールとしてしか見られていないという状況があります。ターゲットメディアという特性があるのに販促ツールとしてしか認識されていないのはもったいないですね。
北澤さん 刷り込み効果を狙えるメディアなので、企業の理念や社会貢献をアピールする広告を出す事によって、企業のブランドイメージを上げて、商品が売れるという事も出てくると思っています。
DSI 私もコーズリレーテッドマーケティングやCSR活動とデジタルサイネージの関わりが一つのテーマになってくると考えています。今後は企業のブランドマネージャーさんにデジタルサイネージの可能性を知ってもらう事になってくるかもしれませんね。
北澤さん そうした事は以前から広告主さんに伝えてはいます。メディアとしての認知が高まれば可能性が広がってくると考えています。
DSI ローカルなクライアントさんの割合は如何ですか?
北澤さん 今のところは積極的にアプローチしていませんのでほとんどないですね。ローカルなクライアントの開拓は今後の課題だと認識しています。当てにされるイオンチャンネルにしていきたいですね。

DSI 投資回収に関してはどのようなシュミレーションをされていますか?

北澤さん 3年で回収というのが一つの区切りにはなります。市況がこれ以上悪くなる事も考えずらいので・・・私達もパブリシティを使ってこのメディアの宣伝をしていますので、広告代理店さんも含めて、広告宣伝費を使うメディアとして早く認知してもらいたいですね。
DSI 今後の方向性についてお聞かせください。
北澤さん 設置店舗については250 店舗位までは伸ばせると考えています。面数でいうと2500~3000面ですね。今後はジャスコだけではなくグループ会社の中で地域一番店舗に設置していく必要があると考えています。
イオンのインストアで展開するデジタルサイネージですので、そこに来られるお客様とのコミュニケーションツールにするために、どんな情報を流したらよいのかという事をさらに突き詰めていきたいですね。特に地域の情報などを含めて「あっこんな事があるんだ!」という気づきを提供できるように出来ればと思っています。CMがいいのか、地域のイベント情報がいいのか、今後は運営をしながら考えていかないといけないですね。
お店はデジタルサイネージを利用する事によってタイムリーに情報発信できると共に、紙の利用を削減することができます。プロモーションを告知する際のオペレーションコストや、紙資源の削減は期待できます。
DSI 今日はありがとうございました。
(インタビュー終わり)
簡単にまとめ
3年前のデジタルサイネージの状況と大きく変わった事として、イオンさんのような大手流通事業者さんが広告モデルの事業に参入された事があります。今後、実証実験を通じて得られた知見や運用の過程で蓄積してたノウハウを元に、更にサイネージの媒体として洗練されてくるのではないかと思います。北澤さんが仰るようにお客様に「当てにされるメディア」に進化していくのが楽しみですね。

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デジタルサイネージキーパーソンインタビュー 株式会社東急エージェンシー 寺園氏

2010-03-23 :, , , , , : DSI :

毎回デジタルサイネージ業界で先進的な取り組みをされている企業のキーパーソンにインタビューする「デジタルサイネージキーパーソンインタビュー」。第7 回である今回は、国内外のデジタルサイネージ事情に詳しい、東急エージェンシーの寺園さんにお話を聞いてきました。
DSI 東急エージェンシーさんの中でのデジタルサイネージの位置づけを教えていただけますでしょうか?
寺園さん 当社には広告会社としての立場と、東急電鉄のデジタル媒体を販売するレップとしての立場があります。広告会社としては、デジタルサイネージ媒体のセールスやデジタルサイネージを活用した事業開発などに取り組んでいます。デジタルサイネージ媒体の場合、他媒体に比べた値頃感や効果の問題もあって、マス媒体のプラスアルファとしてデジタルサイネージを提案するという事が多いのが現実ですね。
DSI 寺園さんはどういった形でデジタルサイネージに関わっていますか?
寺園さん 弊社の場合、クライアントに流通や消費財メーカーさんが多いという事や、東急グループに流通関連会社が多いこともあり、買場におけるお客様の心理に関するナレッジが豊富にあり、そのナレッジを集約して新しいものを生み出すという視点でプロジェクトチームが編成されました。その一つにデジタルサイネージのチームがあって、チームリーダーとして総勢10名で事業開発を行っております。他店さんではOOH局がメインになっていると思うのですが、私達は営業、インタラクティブ、OOH、マーケティング、クリエイティブといった色々な部署を横断してチーム編成をしています。それぞれの立場で、違う情報の得方や感性・感覚がありますので、それらを集めてプロジェクトとして発信していこうと考えています。

株式会社東急エージェンシー トータル・メディア・ソリューション本部 クロスメディアソリューション局 クロスメディアPR部 寺園さん
DSI デジタルサイネージに関して、東急エージェンシーさんはどの部分に力を入れていかれる予定ですが?
寺園さん 当社の収益として考えていくと、クライアントの広告宣伝として機能できる新しいメディアを作っていく事が大切になっていきます。ただ、その前に広告媒体としての価値付けが重要になってきます。例えば交通広告ではポスタースペースがあって「このスペースが幾らですよ」という事でビジネスが成り立っている部分はあるのですが、仮にサイネージにリプレースした場合はプラスアルファのお金も掛かってきます。費用対効果の面で二の足を踏んでいるお客さんもいらっしゃいますので、ロケーションオーナーが実際に使ってみて、価値あるものとして認識してもらい、視聴する生活者が集まることで、デジタルサイネージ媒体に出稿する意味が生まれるくると思います。媒体から考えるというより、「そこにいる生活者が何を考えているか」という事を基点として、お客様にとっての理想のインフォメーション端末を考えています。そして生活者が欲しい情報とともに伝える広告はあり得るのではと思っています。単にはテレビなどのあり素材を入れるだけでなく、サイネージならではの仕掛け方も当然出てきますね。
DSI いわゆるスペースブローカーではなく、生活者の視点に立ってデジタルサイネージならではの展開を考えているという事でしょうか?
寺園さん そうですね。ブランドコミュニケーションをしていくとき、プロダクトアウトの発想ではなく、マーケットインの視点で、買おうとしている人がどんな気分で商品を手に取るのか、そのストーリーというかコミュニケーションをデザインしてあげることが凄く重要な事だと考えています。「店頭をどう作るから」→「CMはこうなり」→「WEBはこうなる」といった、お客様の最終接点からリバースしてコミュニケーションを設計するという発想もありますね。ですから、サイネージを通過点として捉えるのではなくて、基点や着地点として、意識をどう転換させるか、どう価値付けするかが大切になってきます。その視点を元に、ハード、ソフト、クリエイティブはこんなものがいいよねという事を考えていくのが私達の仕事になってきます。そこで説得力のあるストーリーを考えていかないといけないですね。
DSII デジタルサイネージを考えた時に東急グループということがアドバンテージになるのでしょうか? また、面数展開や広告販売など状況を教えてください。
寺園さん 当然、東急沿線でどんな仕掛けができるという事をクライアントに提案する時に、プラスの価値になります。お客様との接点で考えたときに、四マス、PC、モバイルに加えて、交通広告としてのTOQビジョンは動画が流せる媒体としては他に変えられない存在なります。TOQビジョンを基点に発想するという事もありますね。
DSI 首都圏では電車内ビジョンが拡大していますが、クライアントにその効果も評価されているという事でしょうか。
寺園さん もちろん評価していただいていますが、正直なところ、クライアントの宣伝担当の皆さんが接触し始めたから効果を実感いただいているという事もありますね(笑) 担当の方が生活者として実体験のなかで「みんな見てる!」という事がスタートに繋がったという事ですね。ロジックとしては、閉鎖された空間の中である程度の時間に情報を入れるという事の効果がありますね。
DSI デジタルサイネージの課題などはありますでしょうか?
寺園さん もう少し面白い使い方ができたらいいなとは思っています。ジョッキ生が、日替わりのコミュニケーションをやっていますが、ああいったものも面白いですよね。コンテンツによって接触者は同じでも、深さが違ってきますね。単にテレビCMを流すのではなく、コミュニケーションの深さによって、購買などのフックになると考えています。
DSI デジタルサイネージの媒体に出稿されるクライアントの特徴はありますでしょうか?
寺園さん ひとつは広告宣伝費があるナショナルクライアントさんで、新しい媒体にトライしながら成果を検証した上で継続頂いています。あとは、交通広告によく出稿されているクライアントさんですね。英会話の事業者さんなどになります。
DSI アメリカのSeeSawネットワークが「ライフパターンマーケティング」という生活導線に合わせたデジタルサイネージのタッチポイントを繋ぐ展開をされていますが、日本でもそうした展開が可能だと思うのですが?
寺園さん 例えば電車内ビジョンと売場との連動といった事例はありますね。デジタルサイネージではないのですが、街との連動という意味で言うと、渋谷の街でエリアワンセグを使って携帯電話などのワンセグ機能付端末へ向けて、地域情報やイベント情報などを配信する実験を行っています。それ以外にも東京・渋谷の街にさまざまな情報を付与できるiPhone用サービス「pin@clip ピナクリ」の実証実験を、2009年12月1日に開始しています。
DSI 「pin@clip ピナクリ」は分かりやすく言うとどんなものでしょうか?
寺園さん 渋谷用のARを使ったiphoneアプリです。渋谷で働く人、訪れる人が自由に書き込みできる、インターネットの掲示板に街ナカでコミュニケーションできると言ったイメージでしょうか。
Twitterなどでも話題になったりしていますね。街ナカでiphoneをかざしていると、「何やってるんだろう」というノイズを生む起点になりますね。これは新しいコミュニケーション生む事で、渋谷の中での回遊性を高め、滞在時間を伸ばす事をテーマにした実験です。以前に自由が丘で行った「盛り上がりマップ」という街の口コミをデジタルサイネージ表示する実験でも、滞在時間の延長への効果を検証しています。
DSI ネットの普及で、「調べて、買って、帰る」といった行動様式が増えているという事でしょうか?
寺園さん 情報を自分達で選別して、欲しい情報しか入れないという傾向になっているかもしれませんね。プッシュしても跳ね返すみたいな(笑)そこに、いかにスムーズに情報を伝えて、プラスアルファでより楽しく見せる、見せ方ってなんだろうという検証の例が「熱の可視化」(盛り上がりマップ)だったり、情報をARのエアタグで見せる事に繋がります。
DSI 若い方は外に出なくなってという事でしょうか?
寺園さん そういう訳ではなくて、新入社員の面接をすると意外と「趣味は散歩です」という人が増えていたりするんですね。昔みたいにマスで流行る物とかはなくて、小さなコミュニティが沢山あって、その中でしか情報を得ないといった傾向があるのではないでしょうか。渋谷という街でどういいコミュニティが作れるかという事ですね。
寺園さん 単にサイネージがタッチポイントでスクロールできますよというだけではなくてサイネージが立ち止まった時にどんな訴求ができるのか、その人の行動がどう変えられるのかという事を考えていけばよりチャーミングなメディアになると思っています。
DSI 他社さんのデジタルサイネージ絡みの動きで気になる事はありますか。
寺園さん CVSでの取り組みはいい媒体として成立すると思います。徒歩数分圏内の生活導線上で、ネットワーク力を持っていることが強みですね。弊社では、メディアビジネスとしてではなく、コンシューマー視点でのクライアントビジネスも考えていきたいと思っています。
DSI メディア開発においても東急エージェンシーさんの中では生活者の視点という事が重要になってくるのでしょうか?
寺園さん そうですね。最終的にはメディア開発につながっていくとは思うのですが、何れにせよ、何百万人にリーチして、商品の売上に何%貢献するという明確な方程式は出しにくいのですよね。各メーカーさんが視聴者の測定で「何人が見ています」といった事をされていますが、点で見る測定だけでなく、生活者の購買のストーリーをベースにより立体的に見れた方がいいかもしれませんね。
DSI これからのデジタルサイネージのあり方についてはどうでしょうか?
寺園さん 商品を買うにはそれぞれ理由がありますよね。スーパーマーケットなどで単品だけ買うという事はまれで、「あれを買って、これを買って、だから次は・・・」といった繋がりの中でお買い物をしているわけですよね。その文脈に如何にのせていくかという事がポイントだと思います。サイネージで商品をどーんと出すだけでは少し弱いかもしれません。商品の事だけを伝えるのではなく、簡単に言うとレシピかもしれませんが、お買い物のストーリーの中にメーカーさんの商品をうまくまぎれ込ませていくかという事ですね。
DSI 海外のデジタルサイネージも色々ご覧になっていると思いますが、日本との違いはなんでしょうか?
寺園さん 向こうが進んでいるのは、クリエイティブの見せ方だと思っています。四マスのあり方も海外は違うのですが、ウォルマートの「スマートネットワーク」などはメディアとして欠かせないものになっていますね。静止画とちょっと違う、何か違和感を感じさせるデジタルサイネージ専用のコンテンツの作り方が洗練されています。LAのステープルセンター向かいのnokiaプラザでは十数面あるLEDビジョンで様々なスポンサーのCMが流されているのですが、センターと両サイドに大きなスクリーンがあって真中からコンテンツが見れるレイアウトになっています。ステープルセンターはスポーツ施設ですので
それに合ったコンテンツをそれぞれのスポンサーが作っていました。コンテンツの見せ方に関しては進んでいると思います。
DSI 日本ならではのデジタルサイネージの見せ方・作法に関してはどうお考えでしょうか?
寺園さん 電車の中ではJR東日本さんのトレインチャンネルの見せ方が一つの答えだと思いますが、他の場所ではそれぞれ違ってくるのではないでしょうか。今後デジタルサイネージの広告出稿が増えれば、クライアントもクリエイターもより考えて、コンテンツの作法が生まれてくると思います。
DSI デジタルサイネージに関する御社の方向性はどういったものでしょうか?
寺園さん 最終着地はメディア開発になります。そこに至る取り組み方として「消費者視点」でのサイネージのあり方を、ストーリー立ててクライアントに提案していくという事ですね。サイネージの事だけ語っても仕方がないですね。スーパーであれば、チラシがあり、店内POPがあって、PCもモバイルもあるわけですよね。それを全体からみて、コミュニケーションをリストラクチャリングした上で、サイネージの新しい価値を伝えていかなければと考えています。そこは、弊社ならではの提案ができるのではと思っています。インストアに関しては、店内のお買い物を変えるといった視点で考えていきたいですね。
育てていく
DSI デジタルサイネージはどんなメディアになっていくと思いますか?
行動の起点になりえるメディアだと思っています。それをみんなで、水をやり肥料をやっている過程にあると思います。なかでどんな実がなるのかわくわくしながら育てていく感じですね。どう育っていくか仮説は色々あると思います、今はどんなものになるか考える起点のタイミングではないかと思っています。
DSI 今日は長い時間ありがとうございました。
インタビュー終わり
簡単にまとめ
寺園さんのお話をお聞きして、一番印象的だったのはデジタルサイネージ単体で何かをするのではなくて、あくまでも生活者の視点に立って考えられている事でした。東急さんは流通系の企業もグループに多く「買場」に関する知見が多いように感じました。デジタルサイネージというメディアに関しては、育てていく過程にあると語られているのも印象的でした。私もワクワクしながら、どんな実がなって育っていくのか、これからもウォッチしていきたいと思います。

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キーパーソンインタビュー 世界シェアNo1のデジタルサイネージソフトウェア SCALA株式会社のギヨム氏

2010-03-03 :, , , , , , , , : DSI :

業界のキーパーソンにお話を聞く「デジタルサイネージキーパーソンインタビュー」8回目の今回はデジタルサイネージソフトウェアの世界的なリーディングカンパニー SCALA Inc.の日本法人SCALA株式会社のギヨムさんに、現在の取り組みと、今後の方向性についてお話を 聞いてきました。
DSI SCALAさんの会社の説明を簡単にお願いします。
ギヨムさん SCALA株式会社はデジタルサイネージ・ソフトウェアの世界シェアNo.1であるSCALA Inc.の製品を販売している日本の子会社という位置づけです。2006年 にスタートしたのですが、日本国内のマーケットリサーチを行い、それを本国にフィードバックして、日本に合わせた製品を販売していくのがメインの事業になりま す。日本は海外と違う部分もあります。そこで、単なるローカライズではなく、他の製品との組み合わせによる新しいサービスも行っています。

代表取締役のギヨム プルさん(Guillaume Proux )
DSI 設立の経緯はどうだったのでしょうか?
ギヨムさん 元々日本では、NECさんがSCALAの製品を扱っていたんですね。ただ、日本語対応もできていたかったため、協力してローカライズを行って、2004年からSCALAのInfoChannel(現「Scala」)を販売し始めました。その独占販売権が2005年に切れたのと、「やはり日本にある会社と取引をしたい」というお客様の声、また日本が持つ世界最高水準 のインフラや独自のハイテクノロジーシステムへの関心もあり、2006年に会社を設立しました。
DSI 日本のデジタルサイネージ業界の特徴はどんなことだと考えていますか?
ギヨムさん 2005年ごろに、日本のマーケットを調査していて特に感じたのは、デジタルサイネージに関わるほとんどの企業がファミリー(=系列)に属していることでした。シャープさん、ソニーさん、パナソニックさんの販売会社がそれぞれの製品を扱うというスタイルは、海外ではあまりないんですよ。海外は基本的に無色で、さまざまなメーカーの中から最適と思われるハードやソフトなどをおのおの選択して導入するというスタンスですね。
デジタルサイネージにおけるソフトウェアの役割
ギヨムさん 日立さんと弊社が取引をするようになって、大きな案件を獲得できるようになったことは業界では少し異変として捉えられていると思います。ネットワークやディスプレイの良さだけでなく、ソフトウェアの品質によってビジネスが広がっていくという例だといえます。現場のスタッフが毎日使うのはソフトウェアですからね。
デジタルサイネージの企画を考えるとき、みんな割りと簡単に考えていると思うんですね。「ディスプレイとコンピューターがあって、コンテンツを流せばいいんだよね」といった感じで。実際にはそんなに簡単ではなくて、ネットワークにしてもHSDPA、3G、ワイマックスなど色々と問題があります。配信に関しても、10台に送るのは簡単ですが100台、1000台となると難しくなってきます。また、全てに同じコンテンツではなくて、それぞれに違ったコンテンツを配信するフレキシビリティも重要になってきます。うちのソフトは50台以上のネットワークの場合、良さを感じてもらえると思います。
DSI SCALAさんのソフトが日本の市場でも理解されてきたと感じますが?
ギ ヨムさん 元々各メーカーは自社のソフトウェアソリューションを持っていますね。簡単な展開であれば、簡単に済ますこともできますが、複雑な案件ではソフ トウェアの良さが必要であるという事は理解されてきたと思います。特に入札案件では、求められる用件が非常に多くなりますが、Scalaの場合プラットフォームとして使われているので、基本的に全部OKになります。また、1000台以上のスケーラビリティがある事例も海外では沢山あるので、日本でもそうした大規模な案件が実現できるということがポイントになりますね。
DSI 日本での実績を教えていただけますか?
ギヨムさん お客さまとの契約で 言えないものが多いのですが、弊社の代理店である日立さんは千数百箇所への配信を毎日行っています。大手流通業の案件など事例は増えていて、お伝えできな いのが残念ですが、パソコンベースのデジタルサイネージのソフトウェアとしてはかなりの割合を取っていると思います。日本で大規模な案件は日立さんとパナ ソニックさんが50%ぐらい取っていますが、その内の20%程度ではないでしょうか。ただ、小規模な案件でどんなソフトウェアが使われているかは調査会社の調査などもないので、分からない部分が多いですね。社内コミュニケーションなどをデジタルサイネージに入れるかどうかなどによっても違ってきます。
御社の仕事を分かりやすく説明すると・・・
DSI SCALAさんの仕事を街にいる女の子にもわかりやすく説明するとしたら、なんて説明しますか?
ギ ヨムさん それがいつも大変だったんですが、最近は楽なんです。「東京駅とか品川でポスターが画面になったでしょ。その画面の内容を管理するソフトを作っ ています。」と説明しますね。また「家では、情報を携帯やインターネットで取り出すか、テレビがありますよね。家の外で、プッシュ型で伝える技術を扱って います。」とも言いますね。もう少し詳細を言うと、ネットワークとそしてコンテンツがあって、色々なところにディスプレイがあります。そして正しいところ に、正しい時間に見えるようにするためのソフトという感じでしょうか。一般の方も街中や駅などで見かけるようになってから、理解してもらいやすくなりまし た。
DSI 御社のサービスとターゲット顧客について教えてください。
ギヨムさん 弊社のサービスは3つに分かれています。一つ目はソフトのみの販売。そしてSaaSタイプのeasyLive。最後が、10インチワイド画面のオールインワンデジタルサイネージディスプレイ「Scalaデジタルサインボード」です。それぞれターゲットが違ってきます。
Scalaについて
ソフトのみの場合はシステムインテグレーターがメインになります。弊社の顧客リストを見ても分かるように技術のあるシステムインテグレーターが多いです。ソフトは基本的に、コンテンツの作成・編集が出来るDesigner,webブラウザで統合管理が可能な配信ツールContentManager、高機能なプレイバックエンジンを備えたPlayerの3つから構成されます。

easyLiveについて
SCALAを利用したSaaSサービスが「easyLive」になります。小規模・中規模のお客様が簡単にデジタルサイネージを導入できるように設計されたものなんですね。2008年に企画して、2009年 から販売をしています。複数のテンプレートに必要な文章や写真を置き換えたり追加するだけで、簡単にローカル情報の発信や広告・サービスが開始できます。 ローコストな月額料金で利用できるため、「これからデジタルサイネージを始めてみたい!」というユーザーさん向けのサービスです。
Scalaデジタルサインボードについて
どこにでも置くことができる10インチワイド画面です。Scalaの機能に基づいた高度なデジタルサイネージを実現できる製品です。今まではPCへのインストールや設置、それからコストの問題が多くのお客さんにとって導入のネックになっていたんですね。そうした問題を解決するために、簡単に設置できて、必要なメッセージを表示できるのがScalaデジタルサインボードです。ライセンス使用料込み本体価格は4万9350円で、easyLiveの月額利用料が9975円(※12ヶ月のファイナンスリース )になります。対象となる顧客は小規模な企業を想定しています。今まで導入の進んでいない、バー、ホテルのベッドルーム、銀行のサービスカウンターなども利用シーンとして考えられます。「今日のサービスメニュー」などアップセルに繋がるメッセージの配信ができます。

Ad Managerについて
デジタルサイネージやポスター、看板など、あらゆる広告を一元的管理できるソフトウェアになります。元々カナダの広告管理ツールを開発する会社を買収したところから始まっています。海外ではCBSアウトドアーやクリアチャンネルといった大手に採用されています。運用自体はアウトソーシングされることが多いので、広告代理店から運用を受託する事業者が顧客になります。広告業界では「コカコーラ後にペプシを流したらダメ」「車のCMの後にお酒のCMを出してはダメ」などといったルールがあります。そうしたルールを守って広告配信する仕組みや、リアルタイムに広告の空状況を把握したり、外注先を含めたワークフローの管理など、広告ERPといえる統合管理システムですね。
DSI 今後の方向性や目標は?
ギヨムさん 現在の代理店は大規模な案件の獲得なども出来るようになっているので、現在アプローチできていない地方のマーケットを開拓していきたいですね。また、easyLiveやScalaデジタルサインボードに力を入れていきます。これらの商品を扱う代理店の数はまだ少ないので、「これからデジタルサイネージのサービスを提供していきたい」という代理店営業も必要だと思っています。SCALAは海外に多くの実績がありますので、そうした情報をエンドユーザーにダイレクトに発信してくことを考えています。そうすることが、代理店の営業支援に繋がると考えています。また、Scalaデジタルサインボードは年間3000台ぐらいの販売を目標にしています。
DSI それらの目標に向けて、一番がんばっていることは何でしょうか?
ギヨムさん 一番難しい問題でもあると思うのですが、海外から来た企業として日本の会社に認めていただくということに力を注いでいます。日本の市場のなかでは、デジタルサイネージのソフトはパネルに付いてくるものという認識でした。私達は5年前から、自由にパネル、PC、ソフトウェアを選ぶというオープンな組み合わせを提唱しています。それからIPV6への対応も積極的に進めています。
DSI 他社とのアライアンスはどうでしょうか?
デジタルハリウッドさんとは良い関係を持っていて、Scalaの利用方法を学んでもらうテンポラリーな講座を2010年2月から開設します。メーカーの中では、契約ベースのアライアンスではありませんが、三菱さんと良好な関係を持っていますね。PCに関しては,台湾のメーカーですね。彼らはデジタルサイネージ専用の組み込みOSを積んだPCを持っています。ディスプレイの裏に付けられる薄さのものです。価格もこなれてきたので、お客さんには積極的に紹介していますね。コンテンツに関しては、現在多くの会社さんからアプローチ頂いています。
DSI 最近ギヨムさんは日本以外のアジアの国へ商談にいくことが多いそうですが、反応はどうでしょうか?
ギヨムさん 弊社は極東が販売圏ですので、中国、台湾、韓国などが日本以外の展開先になります。中国や台湾ではデジタルサイネージのソフトはPCに無料でついてくるものという認識があります。そこで、メンテナンスの簡便性やスケーラビリティ、などソフトのバリューを伝えていかなければなりません。現地に支社はまだあまりないので、代理店の数を増やしていきたいですね。デジタルサイネージに関しても中国はマーケットも多きく、高い成長が見込まれていますが、許認可の問題など課題も多いですね。
SCALAの考えるデジタルサイネージ
ギヨムさん デジタルサイネージはスマートなシステムでなければと思っています。単にメディアプレーヤーにコンテンツを入れて流すだけではDVDプレーヤーと同じですからね。その上で、エンドユーザーに出来るだけ簡単で使いやすいサービスを提供していきたいと考えています。それを実現するために、エンドユーザーに直接サポートをする機会も増やしています。また、弊社はAPIも公開していますので、お客様の要望に合わせてインターフェースをカスタマイズすることもできます。私達はどんなシステムでもオープンになっていたらウェルカムなんですね。ベンダーに依存せずにAPIをもつシステムが増えていくと良いと思っています。また、日本の市場もメーカー系列で閉じるのではなく、エンドユーザのニーズをメインに考え、それぞれの企業が情報交換を行って更にシナジーが生み出せればよいのではないでしょうか。
DSI 今日はありがとうございました!
OPENなデジタルサイネージの世界へ~
SCALAさ んがマーケティングリサーチをした当初はパネルメーカーさん主導な、垂直統合型の産業構造であり、デジタルサイネージのソフトはある意味おまけ的な扱いで あったといえます。マーケットが成熟していく過程で、最近は徐々にソフトウェアの重要性がユーザーにも理解されてきたということです。ギヨムさんが何度も 口にしていたのは「オープン」というキーワードでした。デジタルサイネージもBtoBビジネスゆえのクローズな側面が多かったですが、オープンなまなざしを持つことで変わってくることもあるかもしれませんね。
※スカラさんの「SCALA社名の際は大文字で」、製品名の場合は「Scala」となっています。

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キーパーソンインタビュー トレインチャンネルを運営 株式会社ジェイアール東日本企画 交通媒体本部 媒体開発部 部長 山本氏

2010-03-01 :, , , , , : DSI :

業界のキーパーソンにお話を聞く「デジタルサイネージキーパーソンインタビュー」7回目の今回は日本のデジタルサイネージにおいて成功事例として語られる事の多い「トレインチャンネル」を運用する株式会社ジェイアール東日本企画(以下jeki)の山本さんに、現在の取り組みと、今後の方向性についてお話を聞いてきました。
JRグループでのjekiの役割とトレインチャンネル
DSI JRグループにおける、jekiさんの立場と、デジタルサイネージの位置づけを教えてください。
山本さん JRグループの中で広告を管理・運用をしている唯一の会社がjekiです。jekiには二つの側面があって、一つはJR東日本グループの広告代理店という役割、もうひとつはJR東日本の媒体を預かって広告を販売、運営する媒体社の役割になります。最近特に話題になるのはJR東日本でのデジタルサイネージ事業なのですが、ゆりかもめ、つくばエクスプレス、りんかい線の媒体も管理・運営させて頂いています。弊社としては、交通広告のデジタル化という大きなトレンドがあって、それがたまたま、デジタルサイネージというトレンドと合致しているに過ぎないと考えています。デジタルサイネージという言葉は2006年ごろから業界で使われ始めたのですが、トレインチャンネル自体は2002年からスタートしています。その当時は車内映像モニターという呼び方をしていましたね。
DSI 媒体社としての役割はどんなものですか?
山本さん 私どもの契約代理店が160社程あるのですが、そこへの広告の販売という形になりますね。
DSI よく聞かれるのですが、トレインチャンネルのディスプレイはjekiさんの所有物になるんですか?
山本さん JRになります。通常、駅にあるポスターやコルトン看板はjekiの資産なんですが、車両の中はJRの資産です。そこに送り込むサーバーや通信インフラはjekiの設備になります。
DSI jekiさんの売り上げの中でデジタルサイネージはどれぐらいの規模になりますか?
山本さん 広告全体の売り上げの8%程度ですので、金額的にはまだまだ小さいですね。従来からある、中吊りや窓上など弊社が取り扱う広告の中の1ユニットという位置づけになります。ただ、広告市場の冷え込みによって他のユニットが15%~20%減するなか、トレインチャンネルは落ちていないんですよ。そういう意味ではクライアントからの評価が高いユニットになりますね。
トレインチャンネルの現状
DSI トレインチャンネルはデジタルサイネージの成功事例として語られる事が多いですが、現状についてもう少し教えて頂けますか?
山本さん 現在、ディスプレイの面数としては16000面程度になります。国内で1万面以上のサイネージの媒体が少ない中で、規模があるという事と、広告媒体として高い稼働率があるという事で業界の中では注目されています。
DSI 広告の入稿状況はいかがでしょうか?
山本さん ほぼ満稿という状態ですね。一昨年頃までは、半年先までいっぱいという状況でした。昨年頃からは、ほぼ満稿という状態で、ずっと先まで埋まっているという程ではないですね。昨対比で言うと微増という状況です。なぜかというと、2008年12月から京浜東北線の面数を増やしていて、2010年の2月に全ての編成に入るようになって、値上げもさせて頂いていたんですね。
DSI 大型ビジョンなど他のデジタルOOHが苦戦する中で、好調さを維持されているという事ですね。
山本さん こうした市況のなかで、前年をクリアしてプラスになっている媒体というのは珍しいのではないでしょうか。今年の夏には新たに京葉線にもモニターが入ってきますので、ある程度は右肩上がりで動いていくのではと思っています。
DSI 従来の中吊り、ポスター、コルトンに比べるとデジタルサイネージは初期投資が重いビジネスですが、その点についてはどうお考えでしょうか?
山本さん そうですね。確かにイニシャルのコストは大きいですね。今までは駅にサーバーを置いて、ホームと電車を無線で繋いでいたんですね。ただ、先ごろ、導入した成田エクスプレスからはWiMAXを利用して、サーバーから直で電車に送れるようになったので負担は少なくなりましたね。今年の京葉線もwimaxを使用します。イニシャルコストの中で大きな割合を占めるのが工事費ですので、設置のハードルはずいぶん下がります。
コスト回収のシミュレーション
DSI コストの回収のシミュレーションはどのように考えていますか?
設備の耐用年数が5年ですので、5年以内での回収を目指しています。ただ、5年経つといろいろな施設が古くなってしまうので、3年で償却を含めて回収するのがベストですが、こうした市況では少し厳しい部分があります。
DSI デジタルサイネージの媒体事業で3年回収する事が可能なところは少ないですよね。
小型のモニターならば可能かもしれませんね。30インチ以下になるとモニターのコストが劇的に安くなって、それに併せて、工事費も安くなります。50インチ以上のモニターは導入コストに比例して、工事費も高くなるのがネックになります。

株式会社ジェイアール東日本企画 交通媒体本部 媒体開発部 部長 山本氏
DSI 最近、面数が増えてきたデジタルポスターに関してはいかがでしょうか?
山本さん 現在、首都圏で70面程度ですので、稼働率に関してはまだまだです。これから面数を増やして200台から300台になった時の稼働率がどうなるか、という事がポイントですね。
DSI 想定している顧客層はどんなところになりますか?
山本さん デジポに関しては駅によって全くちがいますね。東京や品川はナショナルクライアントが多いですが、秋葉原や五反田はローカルなクライアントが圧倒的に多いですね。秋葉原は地元のショップさんやネットカフェなども広告を掲載頂いています。そうしたエリアのクライアントからするとデジタルサイネージというよりは画像が変えられる看板として買って頂いているんだと思います。
トレインチャンネルとコンテンツ
DSI トレインチャンネルらしいコンテンツとはどんなものでしょうか?
山本さん まずひとつに、「音がなくても理解できるもの」という事があります。純広ではなくてインフォマーシャル的な、情報提供も含めたコンテンツも特徴のひとつです。今だったら、サッポロさんのお店紹介や、任天堂さんの一口雑学まめ知識などです。それ以外に私どもが独自に提供しているコンテンツ枠があります。ニュース、天気予報、占いが定番で、それ以外は上期、下期でコンテンツを入れ替えています。今は刑事ドラマ風タッチで、気軽に経済を楽しく学べる『ケーザイ刑事』などが公開されています。今は終わってしまいましたが『ダーリンは外国人』なども人気のあったコンテンツですね。ただ、定番のニュースや天気予報以外に何が良いのかという問題の結論は出ていないです。アニメや雑学などいろいろなコンテンツを出してお客様の反応をみているところですね。
DSI パブリックな空間におけるコンテンツのあり方についてはいかがでしょうか?
山本さん 交通広告は基本的にトーン&マナーが厳しいものになります。特に電車の中では見たくないものにも、目を背けることができないので、ある一定以上のグレードは維持しなければならないと言えます。
DSI 山本さんが個人的にいいなと思うコンテンツはありますか?
山本さん ニュースや天気は基本的に読んでしまうコンテンツですので、アニメのように肩肘はらずに楽しめるコンテンツもいいかもしれませんね。また、twitterやAR のように双方向性のあるコンテンツも可能性があると思います。ただ、プロモーション・メディアとしてアイキャッチにつながるのですが、アドモデルではどのように価格に転嫁していくかという問題がありますね。
トレインチャンネルとデジタルポスターの今後
DSI 今後の目標を教えて頂けますか?
山本さん トレインチャンネルに関してはJRの車両計画に基づいて、今年の夏から京葉線に1年程度をかけて入っていく形になります。今16000面程度ですので、その導入が進めば2012年頃には20000面位になっていきます。デジポに関しては今年度末には150面程度に増やすことを予定しています。来年度も百数十面増やす予定がありますので、2010年度末には250面程度は視野に入るのではと考えています。また面数の増加に併せて、ネットとの連動などコンテンツの拡充も図っていきたいですね。
DSI 面数に関しては順調に増えていくという事ですが、それ以外の目標はありますでしょうか?
山本さん やはり「連携」ですね。昨年から、弊社のトレインチャンネルとJR西日本さんのWESTビジョンを共同で販売しています。今後は他の媒体社さんとの接点を増やしていくことになりそうですね。他社さんと共同の企画を立てるときには「お互いの媒体の稼働率を上げていきましょう!」という事がテーマになりますね。
現在のように広告が売れていない時だからこそチャンスかもしれませんね。共同で企画商品をたてることなどに可能性があるかもしれませんね。
今後、デジタルサイネージが成熟期に入って、電鉄系同士の結びつきや、電鉄系とコンビニ系が組んでいくという議論が生まれるかもしれませんね。他社さんとのコラボレーションもそうですが、電車と駅のつながりやグループ内でのネットワークなど、連携がキーワードや課題になっていくのは間違いないですね。
DSI 最後に、デジタルサイネージの今後とjekiさんの目標をお聞かせください。
山本さん デジタルサイネージコンソーシアムが発足した2007年から少しづつ盛り上がってきていますね。去年は景気も低迷して、伸び的には鈍くなりましたが、今年になってローソンさんとADKさんの新会社やファミリーマートさんなどコンビニ系のデジタルサイネージの動きが出てきましたね。
駅や商業施設に限らず、数が増えていくことは間違いないです。問題はロケーションが増えていったときにメディアとして認知されるかどうかという問題ですね。また、顔認証などの効果測定やクリエイティブの問題もあります。ここ1~2年でメディアとしてのポジションが確立できるかどうかという正念場になるでしょう。jekiのデジタルサイネージとしては、同じように増えていくのですが、看板やポスターがなくなるわけではないので、よりベストな組み合わせというもの考えた上で、増やしていかないといけません。駅全体の広告の中で、メディアミックスとしてのサイネージの位置づけをしっかりと見出していくのが当面の目標になりますね。
DSI 今日はありがとうございました。
―インタビュー終わり
「連携」がキーワードに
広告市場が非常に冷え込んでいるなかで、トレインチャンネルは面数や販売実績、共に堅調とのことでした。今回は広告サイドからのお話がメインだったのですが、公共空間におけるデジタルサイネージとして、ユーザーに「便利なもの・役に立つもの」として認知があるからこそ、広告媒体として成立があると感じました。世界的にみても、車両内のデジタルサイネージのコンテンツとしては既に完成度が高いと思うのですが、「これからも色々と試していきます」という姿勢にはちょっとびっくりしました。また、グループ内や他のデジタルサイネージ媒体との連携がキーワードになっていくというお話も印象的でした。リテールの事業者さんとのコラボレーションが始まれば「電車の中でも、コンビニでも」という複数のタッチポイントが生まれるので、新しいコミュニケーションや体験を喚起することができるかもしれませんね。JRをいつも利用する一ユーザーとしては、生活導線上にあるメディアとしてリラックスしながら見れて、ちょっぴり役にたつコンテンツが増えるといいなと思います。トレインチャンネルは公共性の高いメディアですので、今後の更なる発展に期待したいところですね。

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日本初のデジタルサイネージ・コンテンツアグリゲーター登場!

2010-02-22 :, , , , , : DSI :

先日、NTTさんが発表されたネットワーク型デジタルサイネージのパッケージシステム「光サイネージ」は、業界の中で反響を呼びましたね。今回のリリースには3つのポイントがあったと思います。お客様のニーズや規模に合わせ。「松」「竹」「梅」のサービスラインナップを用意して、選びやすくしたという事が一つ。二つ目は丸紅さん、PDCさん、ニューフォリアさんといったパートナーとアライアンスを組んだこと。3つめが配信プラットフォームへの取り組みが発表されたことですね。今回のリリースのパートナーとなっているニューフォリアさんなのですが、実はデジタルサイネージ業界初のコンテンツアグリゲーターになります。今回は株式会社ニューフォリアの清水さんにお話を聞いてきました。



1.まず、コンテンツプラットフォームとはどのようなものでしょうか?
コンテンツプラットフォームは、コンテンツプロバイダー様から頂いたテキストや画像等の素材をサーバー上でテンプレートと自動的に合成し、さまざまなデジタルサイネージに最適化されたコンテンツを生成するサービスです。ロケーションオーナー様は、コンテンツポータルサイトのコンテンツ一覧からお好みのコンテンツを選んでご利用頂けます。先日、発表されましたNTT様がご提供される「ひかりサイネージ」への採用も決まり、これから本格的にコンテンツプラットフォームのサービス展開を進めて参りたいと考えております。

2.なぜコンテンツプラットフォームを作ろうと思ったのですか?
これまで、デジタルサイネージのディスプレー設置がかなり進んでまいりましたが、ここへきてコンテンツ不足の声が上がってきたこと、またさまざまなコンテンツをお持ちの会社がありながら、デジタルサイネージ市場に十分に流通させることができていないことから、コンテンツプラットフォームを構築することを考えました。
コンテンツをお持ちの会社とデジタルサイネージ事業者様の架け橋となり、少しでもコンテンツ市場の拡大に貢献できればと思っております。

株式会社ニューフォリア デジタルサイネージ担当 清水さん
3-1.コンテンツプラットフォームを作るには色々とご苦労があったかと思いますが、どのような点が大変でしたか?
デジタルサイネージのディスプレーの画面比率や解像度がそれぞれ違うため、すべてに対応することに苦労しました。最終的には、サーバー側で自動的にほぼすべての画面比率と解像度のパターンに合わせてコンテンツ生成出来るようになりました。
また、価格設定にも相当悩みました。今までの大型ビジョンだと1ディスプレイに毎月3~10万円でコンテンツが販売されておりましたが、その金額ですと小規模サイネージを導入されるロケーションオーナー様には負担が大きく、多くの方々に導入して頂くことが困難になります。さまざまな方々と議論した結果、今までの1/5~1/10という価格帯をターゲットに設定しました。
今後も課題が出てくることもあるかと思いますが、サイネージを導入されたロケーションオーナー様が気軽にコンテンツを購入してご利用いただけるようなプラットフォームにすべく努力を重ねたいと考えております。
3-2.現在、配信されているコンテンツはどのようなものがありますか?
現在、ご参画頂いているコンテンツプロバイダー様は30社程度であり、ニュース、天気予報、占いなどを始めとして、レシピ、クイズ、株価や為替などの金融情報、家電ランキングなどをご提供頂いております。ラインナップに入れる基準としては、唯一挙げるとするならば、ロケーションオーナー様から必要とされるコンテンツであるかになります。もちろん、私共も自ら進んでロケーションオーナー様のご意見をお聞きして、魅力的なコンテンツをご提供できるようコンテンツプロバイダー様のサポートをさせて頂くつもりです。
4.それでは、今後の展開を教えて下さい
当面の目標は、コンテンツプロバイダーを100社にすることです。むやみやたらに100社にするのではく、実際に現場に出てニーズを収集して、さまざまな業態業種のご要望にお応えすることが出来るコンテンツをラインナップしてまいりたいと思っています。
デジタルサイネージのコンテンツ表現手法の確立は、まだまだこれからであると思っていますので、新しいコンテンツの演出に積極的にチャレンジしていくと共に、日々リリースされる新たなデバイスに対応したコンテンツを提供していきたいと思っております。
5.最後になってしまいましたが、ニューフォリアさんのご紹介をどうぞ
当社は、代表の多田が今のニューフォリアの前身となる会社からインターネット事業をMBOし、2008年5月に設立いたしました。
設立後、すぐにデジタルサイネージ事業への進出を決め、2008年10月にデジタルサイネージコンソーシアムに入会、コンテンツ関連の会員の皆様が所属しておりますプロダクション部会の幹事会社を務めさせて頂いております。現在の事業は、WEBの制作・開発がメインとなっており、教育業界や金融業界、通信業界のクライアント様とお取引をさせて頂いております。ここ最近では、モバイルサイトの制作や開発も強化しており、WEB、モバイルとデジタルサイネージを絡めたメディア展開のご提案を進めていきたいと思っております。
株式会社ニューフォリア
担当:清水
東京都渋谷区恵比寿南3丁目7−3
TEL 03-5724-3111
MAII shimizu@newphoria.ne.jp
簡単にまとめ
すでに、インターネット業界におけるコンテンツアグリゲーターの役割は明確になっていますね。デジタルサイネージに関してはまだそうした動きがなかったのは「モッタイナイ」事実だったのですが、ニューフォリアさんがNTTと組んで新しいサービスに取り組むのはチャレンジング且つ可能性のある事だと思います。当初はコンテンツプロバイダーさんの数はさほど多くないですが、今後はクオリティを保ちつつ、100社程度まで増やしていくそうです。こうした取り組みのなかから、デジタルサイネージにふさわしいコンテンツのあり方が議論・検討されていくといいですね。

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デジタルサイネージとAR ナレッジワークス株式会社 亀山氏

2010-02-17 :, , , , , , : DSI :

最近デジタルサイネージとAR(Augmented Reality)が共に語られる事も増えてきましたね。先日、 社団法人日本印刷技術協会(JAGAT)さんが主催するPAGE2010の「デジタルサイネージとAR(拡張現実)の動向 」というカンファレンスのモデレーターをさせて頂きました。そのセッションでパネラーをされていたナレッジワークスの亀山さんにデジタルサイネージとARについてちょっぴり記事を書いて頂きました。



拡張現実(AR=Augmented Reality)の2010年が始まり、1ヶ月が既に経過しています。日々のプレスリリースを見ていると相当な盛り上がりを見せていることが分かります。2009年の前半はARの事例が少なく、特にARがデジタルサイネージで活用される事例はしっかり探さないと見当たらないくらいでした。しかし1年経った今は、状況を把握するのが大変なくらい事例が溢れてきています。
これまでのARの大きな流れを振り返ってみると、下記のような経緯を辿っています。日本では既に2年前以上前から一部の方たちの間では話題になっていました。
研究開発 ⇒ マニア達の遊び(この時期が重要!) ⇒ ベンチャー企業がニッチな市場で製品を公開 ⇒ 新しもの好きの一部の人に認知される ⇒ 技術基盤が整う ⇒ 大企業の参入(実は水面下で進められていた…) ⇒ ビジネス活用へ ⇒ 普及が始まる
最近、様々な業種の方々と面識を持つことが多くなり、ARを紹介する機会が増えています。ARを初めて見た時の「驚き」は相当なものだといつも感じます(もちろん自分もそうでした)。一般的なPC+Webカメラ、カメラ付きの携帯端末を使って実現しているということ、紹介記事を見ただけでは何がどのように飛び出してくるのか分からないことが大きな理由だと思います。ARは実際に体験していただくのが一番です。
しかし、「驚き」や「感動」はそう長くは続きません。「驚き」の次は、「今度はどうやってビジネス化したら良いのだろう?」「で、どうやったら儲けられるの?」という模索が始まります。そういうことを考えさせるARですが、それが逆に今後の可能性を感じさせるのだと思います。
さて、ARはデジタルサイネージと非常に相性が良いソリューションのようです導入費用が高額、大掛かりな仕掛けや高度な技術が必要であったため実現きなかったことでも、ARの技術を使用することで比較的安価に行えるようになりました。簡単に行う場合は、モニター、WEBカメラ、パソコンだけでも実現出来ます。
従来のデジタルサイネージの多くは、ただ見られることが目的でした。しかしARは、そこにインタラクティブな要素を付加することができます。例えば下記のような事例がすでに海外では実現されています。
1. 顔認識技術により、歩いている人の頭に帽子をかぶせる、メガネをかける洋服を着せる
例)Atlantic Lottery launches Canadas Augmented Reality Campaign.
モニターに向かうと、サングラスとパラシュートが自動的に合成されて表示されるキャンペーン
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=uLh3rxflYkU&feature=player_embedded]
2. 店頭で販売している商品のプロモーション
例)Lego Augmented Reality
店頭に置いてあるレゴのパッケージを店頭のモニターにかざすと、組立完成図が表示された上、アニメーションも行われる。
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=PGu0N3eL2D0&feature=related]
3.カードを自宅に送付し店頭に誘導し購入に結び付ける(キャンペーンに参加してもらう)  
 例)Hugo_Boss_Simon & John
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=bag1HdO2fQY&feature=player_embedded]
ARの技術を利用したデジタルサイネージのソリューションは、設置型スクリーンの枠にとらわれず、携帯端末を利用した移動型端末との連携サービスも出てくるでしょう。一方だけを使用することもあると思いますが、連携ソリューションが、より効果が高いと思います。昨年までは単なるBuzz(バズ)と言われることも有りましたが、どうやらそうではない大きな「うねり」を感じます。一年後には、きっと様々な場面で普通に使われていることでしょう。
ナレッジワークス株式会社  RIAソリューション事業部 亀山 悦治
e-mail:kameyama@knowledge-works.co.jp
AR Blog: http://development.blog.shinobi.jp/Category/47/



簡単にまとめ
ARに関しては、昨年の半ばごろから広告業界で引き合いや案件の話がとても増えたように思います。弊社にも「ARできますか?」といった問い合わせがいくつかありましたが、先方が考えていたのは概ね「流行のネタをうちのプロモーションにも使いたい」といった事でした。ARが単なる演出手法の一つではなく、新しいインターフェースとしての可能性を持っている事はセカイカメラやlayerなどの例からも感じる事ができます。kiosk端末などのPublic Computingの世界から、Context-aware Computing(いつでも、どこでも、空気を読んで反応してくれる)の世界へとデジタルサイネージを増強させる技術としてARは存在するのではないでしょうか。今年も事例がたくさん出てくると思うので、ARとデジタルサイネージの動向については注目していきたいですね。

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キーパーソンインタビュー 新たなASPサービスを提供開始 ソニー株式会社

2010-02-12 :, , , , , , : DSI :

毎回デジタルサイネージ業界で先進的な取り組みをされている企業のキーパーソンにインタビューする「デジタルサイネージキーパーソンインタビュー」。第6回である今回は、先日デジタルサイネージASPサービス「ASP pro」、「ASP Entry」をリリースされたソニーの相澤さん、坂尾さん、植田さんにお話を聞いてきました。
DSI 液晶テレビやノートパソコンなどのコンシューマー向けの製品を多く扱っているメーカーであるソニーさんはどのようなスタンスでデジタルサイネージ事業に取り組んでいらっしゃるのでしょうか?
坂尾さん デジタルサイネージはこれから成長が期待される分野です。 デジタルサイネージのビジネスは、ソニーのB2B事業の中で、サービス&ソリューション事業部に位置づけられ、ソニーの持つディスプレイなどのハードウェアとサービスを組み合わせお客様のニーズにあわせたソリューションを提供していきたいと考えています。これまでの取り組みの中ではアドバタイジングサービスとしてソニーが運営する専用チャンネル「ミルとくチャンネル」が比較的大きくとりあげてられていますが、広告配信サービスだけでなく、ソニーとしてお客様の様々なご要望にこたえられるようトータルなサービスを提供させていただくというスタンスになりますね。

サイネージビジネス部ソリューション事業統括課長 坂尾さん
DSI デジタルサイネージに関する取り組みはいつ頃からスタートしているのですか?
相澤さん 2002年からネットワークプレーヤーという製品をリリースしています。当時からデジタルサイネージという言葉を使い、製品ラインナップを展開する企業としては早い取り組みだったのではないでしょうか。その当時は「デジタルサイネージ」に関する認知度がまだ低く、なかなか理解いただけないこともありましたね。現在は、お客様の認知も高まり、おかげさまで多くの事例に取り組ませて頂き、社内でノウハウも蓄積されるようになってきています。

サイネージサービス部サービス事業企画課ビジネスプロデューサー植田さん(左)サイネージビジネス部メディア事業課統括課長 相澤さん
DSI 現在御社の手がけているデジタルサイネージに関する製品やサービスを簡単に教えて頂けますか?
植田さん ソニーではこれまで大きく分けると3つのソリューションを提供してきました。従来から取り組んでいる、自社でデジタルサイネージを運用されるお客様向けの機器販売、弊社が運用を手がける「マネージド(運営受託)サービス」、デジタルサイネージの広告出稿を希望されるお客様向けの「アドバタイジングサービス」になります。そして今回、新たにASPサービスを発表させていただきました。
DSI 3つのソリューションがある中で、新しいASPのサービスはどういった位置づけになりますか?
坂尾さん 今まで機器販売で提供してきたデジタルサイネージプレーヤー「VSP-NS7」は数台から200台までの配信に対応した製品なります。2008年からは最大10,000台までの広域・多拠点にコンテンツ配信が可能なデジタルサイネージプラットフォーム「BEADS」を開発し、運営受託サービス、アドバタイジングサービスを提供開始しました。
これまでサーバー構築費などの初期導入コストがデジタルサイネージの導入の大きな導入障壁になっていましたが、ネットを活用しながらセキュアなコンテンツ配信が可能な「BEADS」のテクノロジーをベースに、より簡単・スピーディに運用していただくために今回新たにASPタイプのサービスを提供する運びになりました。
DSI 確かにデジタルサイネージの可能性に興味を持っていただいても、初期導入コストの高さで導入を躊躇されてしまう企業も多いですからね。
坂尾さん はい。本来であればデジタルサイネージを利用すれば、もっと効率的な情報配信や販促が行える企業様が、導入に踏み切れていないという問題を解決するために生まれたのが今回の「ASP Pro」と「ASP Entry」なんですね。
DSI 「ASP Pro」の特徴はズバリどんなことでしょうか?
相澤さん 広告媒体としてのデジタルサイネージ運用に関しては、編成担当者、広告代理店、コンテンツ制作会社といった様々な方が携わる事になります。現場のオペレーションやワークフローの最適化に徹底的に拘ったことが大きな特徴です。「ASP Pro」では、Webブラウザー経由で、離れた場所にいるそれぞれの担当の方が効率的に業務を行える仕組みになっています。編成を決めたあと、制作会社が制作したコンテンツを登録し、広告代理店が承認して、最終的に入稿をチェックするといった一連の流れを「ASP Pro」を使って行うことができます。また、広告配信を意識し、広告主の競合CMが並ばないようにしたり、自動車CMのあとにアルコール関連CMが流れないようにするなど、コンテンツのメタデータを活用することにより、ヒューマンエラーを回避できるようにしています。

ASP_Pro管理画面
DSI 「ミルとくチャンネル」で御社が広告媒体事業を行って蓄積したノウハウが詰まっているということですね。
坂尾さん そうですね。現場でデジタルサイネージに関わる方がより効率的に作業を行える事をテーマにしていますので、ASP Proを交通広告や放送関連の事業者様などにご利用いただければと考えています。
DSI もうひとつの「ASP Entry」はどんなサービスなのでしょうか?
植田さん 流通チェーンや飲食店、文教、金融向けのサービスで、「コンテンツクリエイター for BEADS」を使って簡単にコンテンツ制作・配信ができることが最大の特徴ですね。最初から業種や用途に応じたテンプレートが用意されていますので、デジカメで撮影した商品写真などを選択して、コメントを記入するだけで配信の準備ができてしまいます。時刻設定→パターン選択→コンテンツ入力→確認という短いステップで、パソコン操作が苦手な方でもデジタルサイネージを利用することができます。

実際に「コンテンツクリエイター for BEADS」デモ画面を見せていただく
DSI ホントに簡単ですね!特に流通の現場では「うちのスタッフはワードしか使えないからデジタルサイネージのソフトを覚えるのは無理」といった事や配置転換が頻繁にあるのでこの簡単さは現場向きですね。あとテンプレートに店員さんの顔写真が入るものはいいですね。
植田さん チェーン店の場合、全店で統一的に配信しないといけないメッセージと、例えば、雨が降ってきているから「雨の日サービスを告知しよう!」といったローカルなメッセージの両方が必要になります。デジタルサイネージの特徴であるタイムリーな情報配信に、ツールの使いやすさは必須ですね。

「コンテンツクリエイター for BEADS」で作成したサンプル画像
相澤さん 実際に利用している店舗でも、使っていただくうちに写真撮影なども含めて、訴求内容が分かりやすくなり、さすがだなと感心させられました。スタッフの方も自分の写真が掲載されることで、責任感も出てくるといった話も聞こえてきます。簡単に操作できるからこそ通常業務の一環としてデジタルサイネージを活用いただけるのだと思います。
坂尾さん 簡単に使えることと高度な機能は常にトレードオフの関係にありますが、「ASP Entry」は名前の通りこれからデジタルサイネージをはじめて頂く方向け、「ASP Pro」は広告事業をされているプロフェッショナルな向けと利用用途を想定しています。
DSI リリースを発表されてからの反響や今後の目標を教えてください。
坂尾さん はい。おかげさまでリリース直後から引き合いを頂いております。富士キメラ総研の調査によれば2012年のデジタルサイネージの市場規模は829億と予測されていますが、弊社としては市場の拡大に合わせて2010年中にASPのサービスを利用するデジタルサイネージが1000面程度になることを目標としています。弊社の3つのサービスの柱に新たな「ASP Pro」、「ASP Entry」をあわせてお客様のニーズにマッチしたデジタルサイネージを提供していきたいですね。
簡単にまとめ
前回は「ミルとくチャンネル」についてお話を聞かせて頂きましたが、そこで実際に広告事業を媒体主としてオペレーションされる中で蓄積されたノウハウが今回のASPサービスに活きているように思いました。現在多くの事業者さんからASPタイプのデジタルサイネージサービスが提供されていますが、そのことがソニーさんのひとつの強みになっていると思います。どんなITのツールでも実際に使うスタッフの方が「面倒だなぁ・・・」と思ってしまうと途端に使われなくなってしまいますので、「現場で使ってもらう」ことを意識したサービスは大事ですね。エントリータイプは月額7,560円とお求めやすい価格になっているので、流通系のチェーン店さんなどにも受け入れられやすそうですね。
<サービスに関するお問い合わせ:>
ソニーブロードバンドソリューションOfficial Web:http://www.sonybs.co.jp/beads/
業務用商品相談窓口:0120-788-333

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世界で2番目に大きい屋外広告会社JCDecauxによるTitan Outdoor社買収

2010-02-10 :, , , , , , , : DSI :

世界で2番目に大きい屋外広告の会社であるJCDecauxがちょっと前にライバルであるTitan Outdoor社を買収しましたね。 JCDecaux’s UK のCEOであるJeremy Male氏はTitanが持つ鉄道と小売の広告は、我々が持つロードサイドと空港の広告ビジネスを発展させるポテンシャル持っていると語っています。 Titan Outdoor社はNetwork Rail’と年間 £26mにのぼる広告の取り扱いをはじめメジャーな契約をたくさん保有しています。今回の買収によりJCDecauxはイギリスの屋外広告の市場の3分の一近くのシェアを取ることになり、CBS OutdoorやClear Channel Outdoorとのライバル争いが益々激化しそうですね。

JCDecaux buys Titan Outdoor
JCDecaux, the world’s second largest outdoor advertising company, has completed the acquisition of rival Titan Outdoor.
Titan, which has a number of major contracts in the UK including Network Rail’s £26m-a-year ad deal, was forced into administration yesterday after failing to secure financial backing to continue operations.

guardian.co.ukより引用
日本の屋外広告市場には超大手と呼ばれる媒体会社はありませんね。デジタル化の浸透に併せて事業者が集約されていくという考えと、レガシーな屋外広告は変わらないであろうという二つの考え方が広告業界にありますが、いずれにせよ海外で起こっているダイナミックな動きは何年かすれば必ず日本の市場にも影響を与えていくことになるのではないでしょうか。
デジタルサイネージの広告媒体事業者もこうした市況の中でも好調さを維持している企業と、そうでない企業の差がかなり出ているようです。今年は何か合併、吸収といった動きが起きるかもしれませんね。

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FPD International 2009から見る未来のデジタルサイネージ

2009-11-05 :, , , , , , , , , : DSI :

先月末に開催されたフラットパネル関連の展示会FPD International 2009を見に行って来ましたので簡単に報告致します。同じく先月開催されたCEATEC JAPAN 2009でも各パネルメーカーが3D対応のディスプレイを発表していましたが、FPDにおいてもこれでもかという程3D関連の製品が多く展示されていました。技術的な詳細なレポートは日経テックオンさんなどのサイトに譲るとしてデジタルサイネージのこれからを考えながらいくつかの展示を見てみました。

  • トレンドとして
  • ディスプレイ産業の傾向としてひとつのトレンドが形成されると各社が軒並み類似する製品をリリースするというものがあります。現在のトレンドとしては「3D」「薄型から電子ペーパー」「マルチタッチの高度化」があげられます。

  • 3D
  • 国内や韓国・台湾など多くのメーカーから様々な形式の3D技術が紹介されていました。レンチキュラーレンズ方式・視差バリア方式・アクティブシャッター方式などそれぞれの技術的な差異はそれぞれあるのでしょうが、一般のユーザーからするとどれもそんなに違いがないように感じます。現在は飛び道具的な表現として利用される事が多い3Dですが、この数年以内にあっという間にコモディティ化していく事は間違いないでしょう。価格が下がり一般化してゆく事とヒトの目が慣れてしまう事は急激に進んで行きます。

    AUOのレンチキュラーレンズ方式ハイビジョン3D
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    LGの47インチユーザートラッキング3D
     AUOの展示ブースに電車の運行案内への利用をイメージさせる3Dディスプレイがありましたが、パブリックな空間で展開される3Dの表現がどんなものが適切なのかはこれから検討していかなければいけない課題ではないでしょうか?製品の写真や社名のロゴが飛び出して見えるという事はユーザーに特に便益をもたらさないですからね。

  • 薄型から電子ペーパー

  • LGの世界最薄をうたう5.5mmのLED液晶TV

    確かにとっても薄い!

    E INKの電子ペーパー端末
    「うちが世界で一番薄いです!」という事でこちらも各社が競って製品を展示していました。薄型のディスプレイの技術的進化には終わりがなさそうなのは、ここ何年かのFPDの展示会をを見て感じる事です。液晶パネルの薄型化も極限まで進んでいくでしょうが、今後の表示技術としは電子ペーパーが大きな存在感を表す事が考えられます。静止画であれば電力も消費しませんので、エコな視点からみても優位性があります。以前、電子ペーパーコンソーシアムの方と意見交換をさせて頂いたのですが、電子ペーパーの技術的な可能性や社会に与える影響を検討している彼らが提唱しているのは「ラッピング革命」です。

    電子ペーパーによってあらゆるモノの表面が覆われ,モノの表面が表示体として情報を提示することで,電子ペーパーが物理空間と情報空間という,私たちの生きる二つの生活空間の接点となる世界——。そのような世界への変化を,電子ペーパーコンソーシアムは「ラッピング革命」と名づけた。それはモノがモノであると同時に情報メディアとなる世界であり,私たちが情報を取得するたびごとに鞄やポケットから「そのために作られた特別な機器」を取り出す必要のない世界である。

    電子ペーパーによって“ラッピング”された世界より引用
    [youtube:http://www.youtube.com/watch?v=0B28SHBmMNI]
    電子ペーパーになった新聞の未来
    [youtube:http://www.youtube.com/watch?v=iAU_ZLbVcXA]
    イノベーションとハイテクによる未来像
     私たちの暮らす物理空間と情報空間が電子ペーパーというメディアでシームレスに繋がる、平たく言うとマイノリティリポート的な世界感、アカデミックな人たちが言うところの空間知能化された世界、ディスプレイ産業からするとアンビエント・ディスプレイが未来の姿になってくるでしょう。しかし、そうした時代がくるまでしばらくの間、デジタルサイネージ業界としては大きな筐体に入ったモニターとお付き合いしてゆかなければならないのは事実です。今使える技術とディスプレイの価格と格闘しながらビジネスを作っていくためには解決しなければならない問題がまだまだありそうな気がします。
     

  • マルチタッチなどの高度化

  • AUOのインセルタイプのマルチタッチ技術

    こんな感じでディスプレイに書く事ができます。
    タッチパネルもマルチタッチタイプのものが多く見られました。ここ数年、色々な国のデジタルサイネージ関連の展示会でマルチタッチのデモを様々見てきましたが、画像をきゅーっと大きくして、クルクル回すという展示ばかりで、正直食傷気味です。普通の暮らしの中でそうした事を行う必然性があまり感じられません。マルチタッチでどんなアプリケーションが展開されるかが重要とつくづく感じさせます。今年のシーグラフで発表されたMedia Interaction Lab.のような生活シーンを想像できるような展示をパネルメーカーさんにも期待したいところですね。
    [youtube:http://www.youtube.com/watch?v=Tio5OvIqToc&feature=player_embedded]
    マルチタッチのテーブルによってリビングルームの家電製品がコントロールできるというデモ
     
    「3D」「薄型化」「マルチタッチ」といったディスプレイ産業の近未来を見据えたトレンドはある程度は明確になってきています。ただし、デジタルサイネージという事業を考えた場合、あくまでも現在メーカーのカタログにある製品を選んで、営業マンと商談して、見積もりを取って、トラブルなく設置を行い、各方面と調整を行い、ビジネスとして成立させなければなりません。新しい技術を取り入れる事が、単なる担当者の自己満足やクライアント受けをよくするための演出ではなく、ユーザーのベネフィットにどうつなげられるのかをもう少し考える必要がありそうだということをちょっぴり教えてくれた展示会でした。

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    アイティア 世界3大広告賞「ONE SHOW INTERACTIVE 2009」Other Interactive Digital Media部門 Merit受賞

    2009-09-09 :, , , , : DSI :

    以前、弊社のデジタルサイネージ親睦会にも参加して頂いたアイティアさんがカンヌ国際広告祭、クリオ賞と並ぶ世界三大広告賞の一つである「ONE SHOW INTERACTIVE 2009」のOther Interactive Digital Media部門 Merit受賞を受賞いたしました。
    Sony Interactive Mega Gallary
    作品は六本木ヒルズメトロハットで実施された「Sony Interactive Mega Gallary」という作品です。最近はカンヌなどで日本のWEB系クリエイターの作品が数多く賞を獲得していますが、デジタルサイネージやOOHの関連の作品が入賞したというのはデジタルサイネージ業界としては喜ばしい事だと思います。
    早速、アイティアの中原さんにインタビューしてみました。
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    • デジタルサイネージ総研

    ありきたりな質問ですが、受賞のご感想は?

    • アイティア株式会社 取締役 中原淳氏

    嬉しいです。

    だた、制作会社としてアイティアがすごく優秀かというと、そんなことはなくて、
    どちらかというと、代理店のクリエーティブディレクター(そしてその先のクライアント)
    へのコミュニケーションに力を入れたというのが感想です。(GT内山さんはすごいです。)
    結局、あたらしい表現手法への理解がえられないと実現しないので、まだそのプレゼン
    が大変です。
    一般化すると具体的な手法の優劣になるんですけど。
    もう、そろそろ画像処理技術だけを指して、
    「これと何が違うの?」という比較への対応はやめられるかなあと思ってます。
    WEBキャンペーンだって、httpを使っているだけで、同じってわけじゃないですし。
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    との事でした。技術がある会社さんの場合は、どうしてもその技術だけにフォーカスされてしまう事に難しさがあるようですね。
    日本のデジタルサイネージの事例が海外に紹介されたケースとしてはNTTの香るサイネージなどがありますが、これからはクリエイティブなシーンからも取り上げられる事が増えてくるのではないでしょうか。高い技術力のディスプレイ産業と優れたクリエイティブが日本のデジタルサイネージをドライブする両輪になっていくと良いですね。

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