日本初のデジタルサイネージ・コンサルタント、デジタルサイネージ総研(TM)が国内および海外の最新情報や市場の動向をお届けします
日本ではまだ見られないデジタルサイネージのジャンルにモバイル連携型(mobile-driven digital signage)というものがあります。
携帯電話の「万能リモコン化」が進行する中、デジタルサイネージすら携帯からコントロール可能になりつつあり、これまではタッチスクリーン技術などを使って行っていた操作が、もっと離れた場所から携帯でできるようになります。
例えばカフェに居合わせた複数の人が携帯を使ってデジタルサイネージのモニター上でチャットをしたり、スクラブルのようなゲームを競い合ったり、という具合です。これによって画面へのアテンションが上がり、引いては広告を見る時間も長くなるのだそう。
さて、ここまでなら以前にご紹介した MegaPhone とも似ていますが、この LocaModa の場合はこれをさらにソーシャルネットワークと結びつけ、モバイル、インターネット、デジタルサイネージの3つの媒体を一体化することで、インタラクティブなマーケティングキャンペーンが実施可能なプラットフォームを提供しています。
例えば、全米のバー3万店にデジタルジュークボックスのネットワークを持つ TouchTunes 社と共同で、Beck のニューアルバム “Modern Guilt” のプレリリースキャンペーンを行った際には、携帯から SMS でテキストメッセージを送ると発売前の新曲が聴ける最寄りの TouchTunes のロケーションを知らせるというサービスを実現しました。キャンペーンの情報は Facebook、iLike、MySpace などの SNS で告知され、オンラインとリアルワールドの両方でコアなファン層にリーチすることができたそうです。(原文:Beck Pre-Releases New Album “Modern Guilt” to TouchTunes Network より一部を要約して引用)
モバイルと SNS を取り込むことで、デジタルサイネージに口コミのパワーを付け加えることができます。確かにこういう使い方であれば大きな効果が見込めそうですね。実際の調査でもよい結果が出ているそうです。
ほかにも、ユーザーが携帯から送ったテキストや写真をデジタルサイネージの画面上に表示する技術としてこんなものがあります。
たいへん面白いデジタルサイネージの事例が出てきました。わたしは2つの点で面白いと思います。
明日、7月19日から8月31日までフジテレビが開催する「お台場冒険王ファイナル」というイベントで、来場者の性別や年齢層を顔認識技術で識別し、15種類の広告を属性に合わせて配信するシステムが稼働します(NEC のプレスリリース)。
前述の通り、今回の試みが面白いといえるポイントは2つあると思うのですが、ひとつは顔認識技術が実際にコンテンツの切り替えに連動するという点、もうひとつは Felica を使ったクーポンを発行し、それが実際に使われるかどうかまでデータを取って広告効果を測定しようとしている点です。
デジタルサイネージの普及のためには広告効果をはっきり示す指標の確立が欠かせないと言われており、これまでに検討されてきたものとしては、TVと同様の視聴率などがあります。ただ、デジタルサイネージは購買の現場に近いところで広告を見せることができるため購買行動に直接的な影響を与えられるという点をメリットのひとつとしており、それを実証するためには実際にデジタルサイネージを見た人が商品を買ったのかどうか測定してみる必要があります。
今回の事例ではイベント内の店舗で利用可能なクーポンを配ることから、クーポンを使うとすればその場で使う以外にはないと考えられます。そういう場合には視聴率のような指標ではあまり意味をなさないでしょうから、効果を実際に測定して確認することができるデジタルサイネージのメリットは大きいと言えそうです。
おそらく、広告の効果は実際に画面に表示されるコンテンツによって大きく左右されるでしょう。今まではどのようなコンテンツがどのような層にどの程度の効果を上げているのかを直接測定する手段がなかったわけですから、それが可能になる意味は大きいと思われます。
また、今後 POS レジでの効果測定がリアルタイムで行われてデジタルサイネージのシステムにフィードバックされるようになれば、数パターンのコンテンツを実際に流してみて最も効果のあったコンテンツを自動的に採用するとか、効果の上がらない時間帯の広告掲出は減らすか取りやめるといった使い方も可能でしょう。実はこうした機能はインターネット広告の世界ではすでに実現しているので、デジタルサイネージに適用されるのもそれほど先の話ではないものと思われます。
ところで、今回のイベント「お台場冒険王ファイナル」はフジテレビ本社屋向かいの「冒険ランド」内で行われるそうです。その中の「ゲゲゲの鬼太郎妖怪ツアーズ」というアトラクションに NEC 体験コーナーとして設けられる目玉おやじの「おい鬼太郎!わしには見えるのじゃ」で、このデジタルサイネージ・システムが見られるそうですので、現場に行かれた方はコメントやトラックバックなどしていただけると嬉しいです。
大画面であり、多人数が同時参加できるエンターテインメントコンテンツという意味で、デジタルサイネージのヒントになるかも知れません。
技術的には、画面の下に設置されたカメラで人の動きを捉えてリアルタイムに映像に反映させる仕組みのようです。
アメリカ各地の映画館で行われたものだそうですが、参加者はずいぶん楽しそうですね。
こちらも合わせてご覧ください:
建物の外壁全体をデジタルスクリーンに変えてしまうような建築物が登場し始めています。
しかも商業施設のみならず、国立図書館なども含まれています。
すでに 2007年9月にはロンドンでカンファレンスも開催されました。
mediaarchitecture:メディア・アーキテクチャー
現時点では奇抜さだけが目立つ感もありますが、近い将来、こういったものが当たり前にならないとも限りません。 今のところ LED などの発光体を使ったものがほとんどのようなので夜間にしか見えないだろうと思われますが、電子インク(electric ink)のような反射型ディスプレイの技術が一般化すれば昼間にきれいに見えるものも実現できます。


ただ、こうした新しい試みも、一方的に映像を表示しているだけでは単に電飾が大型化したものに過ぎないのかも知れません。ところが、これにインタラクションを加えるとちょっと面白いものになりそうです。
以前に紹介した MegaPhone もそうでしたが、インタラクティブなものに人は興味を惹かれる習性があるように思います。
「空間知能化」というキーワードをご存知でしょうか?
ロボティクスの世界ではいま注目されている考え方だそうで、私も門外漢ながら空間知能化の研究会なるものに参加させていただいています。
どういうことなのか簡単に説明すると、ロボットをひたすら賢くしていくよりも、そのロボットが働く空間の方にセンサーなどを埋め込んでやって、そのセンサーから得られる情報を逐次ロボットに知らせてあげた方が簡単なのではないか、という話です。
例えば、部屋の中に様々なものがあった場合、ロボットにその全てを自分で認識させてぶつからないように動作させるのは大変ですが、部屋のあちこちにカメラやセンサーが設置されていて、ロボットがなにかにぶつかりそうになったら知らせてやるようにすれば、ロボット自体はそのことから解放され、本来の仕事のための機能に集中させることができるでしょう。
一見デジタルサイネージとは全く関係がないように見えますが、行き着く世界は案外近いようにも思います。
というわけで、「空間知能化」に興味のある方々へのお知らせです。
慶応義塾大学田中浩也研究室 × 彼岸寺
Nature, and Beyond -アニミズムとサイエンスが出会うデザイン展- 開催のお知らせ生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っている=アニミズム。自然を科学的に分析の対象として捉えてみる=サイエンス。
田中浩也研究室では、先端科学の動向を参照しつつ、またそれと同時に個々人の自由な発想と感性によって自然を捉え、常に「自然を参照する」ことによって、昨今の「ユビキタス」と呼ばれる新興技術群を用いたデザインの試みを行って来ました。
当研究室の目的はこれらの技術を「機能」の問題ではなく「表現」の問題として捉え、新たな“見える価値”を提示することです。本展覧会は、寺院というまさに森羅万象と人間との深淵な対峙によって築かれた精神文化を担う場において、アニミズムとサイエンスはいかなる相補性を持ち、いかなる相乗効果を生み出すかを世に問う試みです。
展示予定作品:
Plantio (日本グッドデザイン賞2007新領域部門受賞等)
Oto-Shigure (WISS2007最優秀デモ発表賞受賞等)
Ene-Geomatrix (学生CGコンテスト2007インタラクティブ部門最優秀賞等)
石のイシ (CHI2007発表、日本科学未来館「予感研究所」出展等)
SKYLIGHT (JWDA日本ウェブデザインアワード・ニューフェイス賞等)
Bogs (SIGGRAPH2007アートギャラリー出展等)
および新作日程:2008年3月7日〜8日 17時〜22時
*法要等が入った場合は、展覧会が中止となる可能性があります。
中止の場合は当日朝までにWEBページにてお知らせします。会場:梅上山 光明寺
営団日比谷線 神谷町駅から徒歩1分
※車でのご来場はご遠慮ください
入場無料お問い合わせ:田中浩也研究室
TEL:090-7224-5231主催:田中浩也研究室×彼岸寺
トークシンポジウム出演予定者:
渡邊淳司(NTT/さきがけ)
石若裕子(SoftBank)
福原志保+Bradley Fraser (バイオメディア)
松本圭介×松下弓月(彼岸寺:http://www.higan.net)詳しい日程・内容・アクセス方法はウェブサイトをご参照ください
http://mountain.sfc.keio.ac.jp/NatureAndBeyond/
プロジェクターの話題はデジタルサイネージからは少し離れますが、脱線ついでにもうひとつ。
ハンドヘルド・プロジェクターと言って、プロジェクターとレーザーポインターのようなポインティングデバイスを組み合わせたものに、3D トラッキングシステムを組み込んだ装置を使って、部屋の壁や机の上など、リアルに存在する物体の上に情報を書き込んだり、それをほかの人とシェアしたりすることが可能になる、という驚きの世界です。
まさに近未来サイエンスフィクションという感じなのですが、研究室レベルではすでに実現されているようです。ともかく、百聞は一見に如かずですので、こちらのデモムービーをご覧下さい
どうでしょう?5年後、10年後には、こんなものが普通に手に入るようになるんでしょうか?ワクワクします。
プロジェクターはますます面白そうですね!
基本的な使い方を説明したムービーがあるので、こちらも合わせてどうぞ
デジタルサイネージと携帯電話が連動したら、面白いことが実現できそうですね。しかも携帯電話から何らかの操作が可能だとしたら・・?
こちらは三菱電機株式会社情報技術総合研究所の方が情報処理学会で発表された論文です。有料で公開されているようです。一部抜粋します。
当社はアイキャッチ効果の高い大型映像表示機器と,操作が可能な携帯電話を連携したインタラクティブデジタルサイネージシステムを開発している.情報ポータルとしての大型映像表示機器の魅力的な広告コンテンツによって街を歩く人を集客し,更にそこから広告の店舗や会場に誘導することで街の様々なスポットに人の流れを作る街づくりプラットフオームとして提案している.しかし,携帯電話による歩行者誘導サービスを実現するためには屋内における様々な課題を解決した実現方式を検討する必要がある.今回,我々は屋内における携帯電話での歩行者誘導を実現するための方式について検討を行った.本稿では,この検討結果について述べる.