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「エンターテインメント」アーカイブ(デジタルサイネージ総研ブログ)


これから繋がるWEB企業インタビュー:株式会社サイバーエージェント

2010-02-23 :, , , , : Minoru Bando : 135 views

今回はアメーバピグやAmebaなうといった新サービスを矢継ぎ早にリリースされているサイバーエージェントの新規開発局 デベロップメントグループの渡辺さんと浦野さんにお話を聞いてみました。国内ネット系ベンチャーのトップ企業として数々のサービスやメディアを開発してきたサイバーエージェントさんはデジタルサイネージをどのように考えているのでしょうか?

DSI 簡単に新規開発局が取り組んでいるお仕事を教えてください。

渡辺さん:弊社のアメーバ事業にコミットしているのが新規開発局になります。自社メディアに関しては基本的に社内で開発するスタンスで取り組んでいます。代表的な取り組みとしてはアメーバピグがあります。最近はtwitter的なサービスといわれる(笑)Amebaなうをリリースしました。

DSI 最近の開発はどんなことに力を入れていますか?

渡辺さん;はい。モバイルへの対応ですね。現在はピグに関して進めており、その中でゲームの開発にも取り組んでいます。PCのサービスを順次使えるようにしています。Amebaなうに関してもまずはモバイルから先行してスタートしましたように、モバイルは大きなテーマですね。

浦野さん:今まではブログの広告がメインだったんですけど、ユーザー課金を盛り上げていこうということでピグやプーシュカのアイテム課金などに力を入れています。

DSI 課金型のモデルで一番うまくいっているのは何になりますでしょうか? どれぐらいの規模感がありますか?

今はピグですね。アバターが着せ替えをするバーチャルアイテムが比較的好調です。どこまで言っていいか今思い出しているのですが(笑)ユーザー数が2010年1月時点で200万人を突破しました。月額でPCピグとモバイルピグをあわせて1億円くらいの売り上げになっています。他の会社さんに比べるとまだまだなんですが。

株式会社サイバーエージェント 新規開発局 浦野さん 渡辺さん

DSI ピグに関してはいつぐらいから開発してどのくらいの期間がかかったんですか?

浦野さん:サービスの企画が立ち上がったのが2008年の7月ごろに「何かアバターサービスをやろう!」というのが弊社社長の藤田からあってスタートしました。そこからプロジェクトチームが作られてリリースしたのが2009年の2月になるので、開発期間は6ヶ月くらいになります。そこから今は新規サービスの開発や運用を続けています。

DSI 最初からサービスの全体像がはっきりしていたのでしょうか?
浦野さん:藤田からのオーダーは「Amebaで使えるアバターサービスを作ってくれ」ということで、今みたいにメタバース的に街中をあるくことは想定してませんでした。

DSI 開発で一番苦労したことは何ですか?
浦野さん:うちのAmebaユーザーさんはF1層が多くて、主婦の方などITリテラシーが高くない方もいるので、そういった人に受け入れてもらえるシンプルさなどを追求しました。一番大変だったのがアバターのテイストですね。似顔絵アバターというテーマがあって、似顔絵なんだけどみんなが適当に作ってもかわいくなるとか、「何か、似てるよね」と言ってもらえるテイストには気を使いました。

渡辺さん:テイストに関しては全サービスでチェックを厳しくしていて、1サービスだけテイストがかけ離れるといったことがないようにしています。どのサービスを見ても違和感のないようにつくっています。

DSI どういうテイストが求められているんですか?

渡辺さん:ブログとかが立ち上がった時期はそこまで意識がなかったんですが、先ほどもあったようにF1層の女性が多いので、女性受けするやさしいイメージや、かわいいイメージを大切にしています。

DSI ピグの開発の段階で「これはいけるな!」と思ったタイミングはありますか?

浦野さん:12月くらいですね。今までもプーぺガールのようにアバターのサービスはあったのですが、「動く」ということが一番の違いです。デザイン的にはアニメーションがあるので詰められなかった部分もあるんですが、実際にプログラミングとつながって実際のアニメーションになったときにめちゃめちゃかわいくて、これはいけるなと感じましたね。そのピグのかわいい世界観が認められて、今のユーザー数に反映しているんだと思います。

DSI 開発側が想定していないことなどはありますか?

渡辺さん:ユーザーがプログラミング上のバグを楽しんでいるというのはありますね。

浦野さん:昔のファミコン的な楽しみ方が出てきているんですけど、例えば、部屋を模様替えできるのですが、変な場所に家具を置くと、そのまま部屋を飛び出しちゃうといったものがあります。通称「セコム」とユーザーでは言われています(笑)、知らない人も部屋にくるので、知らない人を追い出すといった意味で使われています。その裏技を知っている人と知らない人の間で不平等が起こったりする場合はバグを修正するのですが、「これ面白いよね!」という時はそのままにしますね。こちらが用意したものだけでは限界があるので、ユーザーが自由に楽しんでもらえる余地を常に意識していますね。

DSI 今後の展開に関してはいかがでしょうか?
渡辺さん 先ほどもお伝えしたようにモバイルでの展開に力を入れていますが、ピグが他のサービスに登場したりといったことも進めています。なうやブログ上でもピグのアイコンが出るといった展開がありますね。

浦野さん 後は世界への展開ですね。Amebaは日本国内でのサービスですが、ピグに関しては海外の展開を準備しています。ピグの前にサンフランシスコにある支社で開発した「NinjaTrick(ニンジャトリック)」というオンラインゲームはアメリカで先行してリリースされていますし、「meromero park(メロメロパーク)」は台湾でも展開中です。

DSI 海外での展開も積極的に行うなど開発チームにプレッシャーはないですか?
渡辺さん 一般的なWebサービスと比べるとユーザーの反応が顕著に現れるので、それはうれしいですね。

浦野さん ピグの場合はチャットでリアルタイムに意見が言えるので、中には厳しい意見もあったり、本当に作っていただいてありがとうございますという言葉をもらったりできるのが面白いですね。

DSIサイバーエージェントさんの開発チームのカラーやスタイルを教えてください。

渡辺さん 開発のスタート時は、プロデューサーやディレクターやデザイナーでブレストをしていきます。チームで意識が共有できた上で、みんなが専門性を発揮して製作していくことになります。トップダウンの組織に比べると早いスピードで成果が出ていると思います。私達のチームの特徴としては「いいものを作っていこう」という気持ちを持った人が多いですね。またそうした気持ちがモチベーションに繋がっています。最終の着地がぶれなければ良いので、みんなが各自でブラッシュアップしたり、ちょっとぶれそうになったらチームのスタッフに相談をしたりといった形でトップダウンではない組織が特徴ですね。即戦力の中途採用のものが多かったので「新しいものをどんどん作っていこう!」という傾向があります。

浦野さん: 新規開発局で150名くらいの製作者がいるので、結構大きいほうだと思うんですが、組織的にはフラットで風通しも良いですね。社長とクリエイターが直に意見交換するといったこともありますね。

DSI 藤田さんのブログで事業プランコンテスト「じぎょつく」のお話のなかでデジタルサイネージというキーワードが出てきたりしていますが、御社がデジタルサイネージに関わる可能性についてはいかがでしょうか?

渡辺さん: 現在Amebaは芸能人のユーザーが多いので、ピグでも芸能人が登場したりといった形でリアルとの連携という事がちょっとづつ進んでいます。

浦野さん: 今はデジタルサイネージに関して具体的な事例はないですが、Amebaとしてはプラットフォームは選ばずに進めていくという目標があります。PCや携帯だけでなく、アクトビラなどにも対応しています。そうした方向性を持っていますので、エンジニア個人的に関心のあるものを作ったりしていますね。

DSI デジタルサイネージとWEBの技術は共有するのものが、多いので、開発力のある御社には是非参入してもらいたいところですね。特にAmebaは芸能人の方がユーザーに多いというのはひとつアドバンテージですよね。たとえばAmebaユーザーの芸能人がデジタルサイネージでランキングを紹介するといった形もありかもしれませんよね。

浦野さん: マイクロソフトのSurfaceのようなマルチタッチデバイスがもっと普及してきたら面白いですね。後はネット家電がデジタルサイネージに繋がってくる事もあるかもしれませんね。

DSI そうですね。最近、デジタルサイネージ業界ではデジタルフォトフレームの可能性が語られているんですね。御社のように非常にたくさんのユーザーを持つ企業が、ユーザーにデジタルフォトフレームを配布するといったことになると、新しいコミュニケーションが生まれてくるかもしれませんね。今日はありがとうございました。

簡単にまとめ
サーバーエージェントさんとデジタルサイネージ。正直、現在は全く結びつきはありません。ただ、ユーザーを沢山抱えるWEBサービスを持っている企業がデジタルサイネージに参入してくることになると、「ちょっと新しい展開が生まれるのでは!」とお話しながら感じました。特にサイバーエージェントさんは芸能人の方の利用なども多いので、Ameba meetsデジタルサイネージという展開があったら面白いかもしれませんね。エニグモさんがデジタルサイネージのサービスを始めているように、WEB系の事業者さんが今年どのようにデジタルサイネージに参入してくるのか、注目していきたいところですね。

おまけ
浦野さんと渡辺さんとはおばかアプリコンテストでお会いしたのですが、おばかアプリの活動がサイバーエージェントさんのリクルートサイトにも掲載されいて、やっぱりWEB系の会社さんが持つカジュアルな感じは素敵!って思ってしまいました。

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デジタルサイネージとOpenFrameworks

2010-02-09 :, , , , , , : Minoru Bando : 155 views

インタラクティブなデジタルサイネージに使われるツールとして王道なのはやはりFLASHですが、FLASH以外でのアプローチをするクリエイターさんが増えてきています。そんな中注目したいいのがzachary liebermanさん達が作ったopenflameworksです。最近出来た日本語版のサイトによれば

openFrameworksは、C++をベースにしたインタラクティブデザインやメディアアートを制作するためのフレームワークです。2次元や3次元の 図形の描画、アニメーション、サウンドの録音と再生、動画のキャプチャーと再生、マウスやキーボードによるインタラクション、ネットワークの活用など、マ ルチメディアコンテンツを制作するための様々な機能をすぐに利用できるフレームワークとして提供されています。

ということです。英語版のサイトにはデジタルサイネージ的な作品もいくつか紹介されています。

Big Screams
電話番号を入力して自分のキャラクターを作って、一番大声を出した人が勝つという感じのゲーム(ざっくりした説明ですいません)外人さんはめっちゃ楽しそうです。


Hand from Above
大型ビジョンをAR的に使って街行く人がイタズラされてしまう企画(80年代の街角イタズラ系テレビ番組を思い出させますね)解説には巨人兵士ゴリアテなどの神話にインスパイアされたと書いてありますが、理屈ぬきに面白い感じです。

日本でそのままやろうと思うと色々と難しい事(日本人はシャイボーイが多い、著作権の問題)が想像されますが、ともかくユニークで実験的な取り組みが色々と生まれていますね。先日メディアアート系の友人に「openflameworkってどう?」と聞いてみたら「動きも早いんで、結構みんな使ってるんじゃないですか」との事でした。日本では筋電を使った作品で有名な真鍋大度さんがzachary liebermanと親しいみたいですね。メディアアート界隈で生まれたアイディアや実験がちょっぴり遅れてデジタルサイネージ業界に入ってくるのはよくある事ですので、openflamework周りの動きもこれからチェックしていきたいところですね。

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おまけopenframeworksを使ったマジックプロジェクション

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デジタルサイネージに関わるWEB企業インタビュー:チームラボ株式会社

2010-01-15 :, , , , , , , : Minoru Bando : 774 views

現在のデジタルサイネージについて、クリエイティブの部分では、カジュアルに表現が展開されているか、というと、そうでない気がします。産業として、一兆円規模になるといわれているデジタルサイネージ市場。表現は多様であっていいと思っています。次世代動画検索サービス「サグールテレビ」の開発や独自のトータルデジタルメディアプロデュースで知られるチームラボさんの取り組みをお聞きしてきました。
チームラボ_オフィス

Q:まず、どのような経緯でチームラボに入ったんですか?

山本さん:入社する前は、大学院で文字認識や音声認識の研究をしていました。大学、修士そして博士課程。でも実は、3年ほどやったあたりで、研究に飽きてしまいました。僕は興味がころころ変わってしまうんですが、研究で食べていこうとすると、あまり自由に目先を変え続けることができません。アカデミックな研究って、人から求められているからというよりも、自分が純粋にやりたいからという理由で、一人でやるものだと僕は思っています。それは素晴らしいと思うんですが、万が一に飽きてしまった時「人から求められているかは微妙だし、自分もやりたくない、けどやらないと食べていけない。しかも一人でやらないといけない。」という救いがたい状況になるリスクがあります。飽きっぽい僕にはそのリスクは大きすぎて無理だと。ある意味でリスクヘッジのために、人に求められるものを、他の人と作る方向を選びました。ウェブの業界に入るのには、抵抗はありませんでした。もちろん言語は違いますが、もともとプログラミングはやっていましたし、ある程度、ウェブのことも知っていました。そう意味では、新しい世界へのハードルはほとんどありませんでした。だから、入社してすぐに案件をやらせてもらいました。チームラボでは、3ヶ月くらいでプロジェクトも変わります。そこに魅かれたというのがあります。

Q:入ってみてチームラボをどう思いましたか?

山本さん:よく思うのは、好きなことをやっていても怒られない(笑) 度が過ぎたらもちろん怒られるんだと思いますが、「なにこんなものを会社に持ち込んでるんだ!!」みたいなやり取りはない。やっていいことと悪いことの、グレーな部分について寛容だと思いました。だから、やりたいことがバッと簡単にできる環境。そこが好きですね。会社全体として、自由で、寛容で、合理的。自由というのは、そのまま自由という意味です。寛容は、直接的に迷惑でなければ、それを受け入れてしまう雰囲気があるということ。合理的というのは、理系が多いせいか、理屈に合わないことは嫌ということです。逆に言えば、理屈が通っていればok(笑) 例えば、良く分からないから受け入れたくないな、ということが少しでもあれば徹底的に議論しています。その議論をすることで、分かる。その上で判断するんです。

Q:アクトトイレはどのようにして形にしたんですか?

山本さん:東京芸術大学のVVVV(インタラクティブコンテンツの開発環境)の講座を受けたんですが、最終日の三時間くらいが自由制作だったので、アクトトイレを作りました。もともとアイデアはありました。マウスを使えばセンサーの部分もなんとかできそうだし、これはアイデアを完成させるチャンスじゃないか、と前日の夜に思い立ったんです。で、家からトイレットペーパーをはずして、持って行ったわけです(笑) 実際に作ったものを即Twitterに、写真と動画で上げてみました。そうしたら次の日にある社員が、昨晩のTwitterにインスパイアされてこんなの描きました! ってマウスがハムスターになっているイラストを持って来てくれたんです。そのイラストを観て、マウスにぬいぐるみみたいなカバーを着けたら、見た目もかわいくなるし面白いなあ、ってどんどん想像が膨らんでいきました。それで細かい部分をチューニングしていった感じですね。仕事が一段落ついた夜中に、スクリーン上のハムスターが過労死する機能とかを作り込んでいきました(笑)

Q:『アクトトイレ』の他にも色々と作られていますよね?

山本さん:『アクトトイレ』を作る前に、Firefox用のアドオン『らぼかへ』を作りました。これは、社内コーヒーメーカーのコーヒー残量が分かるというものです。あと最近作ったのは、、、今、オフィスには、トイレの個室ひとつに対して、男が3、40人いるんです。やっぱりトイレに行ったり戻ったり、うろうろしたりとかしたくないじゃないですか? それで、『らぼかへ』と同じ仕組みですが、人がいるかどうかを分かるアドオンを作ったんです(笑)個室の扉閉まるとクリックされるようにワイヤレスマウスをつけて、外部PCで拾うという単純な仕組みです。

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【動画インタビュー】山本さんに「アクトトイレ」について語って頂きました。
※音声レベルが小さいです ボリューム大きめでお聞きください。

Q:モノづくりができる環境が社内にあるということですか?

山本さん:窓口になってくれたマーケティングチームの高須さんをはじめ、画像処理の方法とか、おばかアプリに向けたプレゼンの練習とか、色んな人が毎晩協力してくれました。色んなタイプの人がいるので、色んなタイプの意見が聞ける。忙しい仕事の合間をぬって、手助けしてくれるんです。例えば、あるときサーバーが重くなったので、もしかしたら『らぼかへ』アドオンのせいじゃないかな、とコードをメールで投げたら、高度に添削して戻って来たりとか、そういう反応があります。そもそも『らぼかへ』を作ったのも、オフィスに突然コーヒーメーカーを置いてくれた社員がいたことが、そもそもの始まりですしね。
あと、koress projectの方がうちに遊びにいらしたときに、『らぼかへ』をお見せしました。そのあとTwitterで、mixiの「萌香たん」のライバルキャラクターのようなノリで『らぼかへ』も擬人化させよう! って決まったんです(笑) そのTwitterを見た社内エンジニアさんが次の日、「らぼかへたん」を描いてみました、と。その『らぼかへ』を擬人化してくれた方が、『アクトトイレ』のハムスターのイラストも描いてくれました。僕はその方の描くイラストが、何かツボなんです。「らぼかへたん」を、Pixivに何枚か上げてもらっているうちに、他の社員とか、知らない人とかも描いて上げてくれたりするようになってプチブーム、みたいな(笑) そういうリアクションが起きるのも、面白いです。

Q:仕事と遊びの違いは、どういう仕組みで分けているんですか?

山本さん:もちろんクライアントワークに支障があるのは、絶対にNGです。明確に仕組みがあるわけではないのですが、基本的には、僕の場合は、つまりまあ、今日はこのぐらいの時間を使っても大丈夫だなあ、という時にやっています。時間管理は自分ですから、それについて、人に色々言われることは基本的にありません。自分のやるべき仕事を終らせれば、そのあとはどのように時間を使うかはその人次第です。それと、もうひとつ上の部分で、そういう「遊び」の部分をお客さんに提案しているというのがあります。チームラボではみんな、びっくりするようなものを作ろうよ、という気持ちがあります。

Q:普通の会社のように、パキっと別れているわけではないんですか?

山本さん:簡単に流れを説明すると、あるプロジェクトを受けたとします。そうするとまず、マーケティングチームの人たちが、お客様にヒアリングしにいきます。それを元に、社内のエンジニアたちも含めた会議をして、それをマーケティングチームが紙などにまとめて、先方に持って行きます。チームラボにおけるマーケティングは繋ぐ仕事。言ってみれば、触媒のような存在です。チームラボは、エンジニアが7割か、それ以上ですから。エンジニアが苦手な部分を、マーケティングチームがしてくれる、という感じです。本当、感謝しています。プロジェクトが動き出せば、普通の会社と同じような流れになると思います。プロジェクトマネージャーを選んで、管理し、進めていく、という流れですね。ただ企画を出すときに、びっくりするようなものも、クライアントに提案しています。チームラボの場合、びっくりするようなものを作りたい、という気持ちがあります。

Q:ある意味、デジタルサイネージとは、外に出たインターネットだと言えると思います。デジタルサイネージについて思うところをお話いただけますか?

山本さん:ウザくない、というのが重要だと思います。トイレはプライベートなスペースなので、自分の価値観にあわない広告を見たときの拒否反応が顕著になると思います。『アクトトイレ』は今は広告の機能はないですが、だからこそ「全くウザくない」必要があると思って作りました。何も宣伝しない状態でウザかったら、何か宣伝したらもっとウザくなっちゃいますから。そういう理由で今は絵柄を人畜無害なハムスターにしています。
新しい場所に広告が進出する場合、この「ウザさ」は無視できない問題になると思います。テレビでCMが流れたり、渋谷のセンター街で大画面のCMが流れたりするのは、僕らはそういう景色だと思って了解済みですが、今まで何もなかったところ、特に個人性の強い場所については、新しい見せ方、新しい方法論が重要になってくるんじゃないかなあ、なんて思います。
広告ってお金を払って置いてもらうじゃないですか。つまり広告はその場所にとってはマイナスな話ですよね。基本的にないほうがいいみたいな。そういう方向に進化しても面白くないと思いました。逆に、サイネージを置くことで環境がよくなるもの、という視点で考えたかった。その上で最後に宣伝したいことを少し主張する、みたいな方法論の方が合っているんじゃないかなと思ったんです。
それと、デジタルサイネージについては、「インタラクティブ」とか「外界との同期」ががとても重要だと思います。環境に単にディスプレイを置いて動画を映すと、それだけでウザいと思うんです。その中だけ周りの世界と全く違う物理法則で動いてしまうからです。見る人は、ディスプレイの中を見るか、外を見るかで視点を変える必要があって、一度にどちらか一方しか見ることができない、「同時に見る」ことができないと思うんです。『アクトトイレ』はそういうディスプレイのウザさを軽減する試みでもあります。紙と同期してディスプレイ内の映像を動かすことで、周りの世界の物理法則を取り込んでいるので、その分環境に溶け込みやすいんじゃないかと思っています。
環境と自然なインタラクションがあって、ディスプレイの中の法則が周囲の法則と関連があると、ディスプレイ内外の境界が薄まって、ウザくなくなるはず。ディスプレイの内外を自然に同時に見られる、そういう環境に溶け込めるサイネージが良いと思います。

Q:何か新しいアイデアとか考えているんですか?

山本:下の画像はコンセプト動画なんですが、次はこんなものを作りたいと思っています。
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アクトバッグ[動画]

バッグについているディスプレイとディスプレイ内の世界とを同期させて移動させることで、他の世界を覗く「窓」のように見せられないかという試みです。これも『アクトトイレ』と同じく「ディスプレイのウザさ軽減」の一環です。こういう環境と同期するような枠組みの中に、売りたいもの、価値があると思うものを放り込んでいけば色々と面白いデジタルサイネージが作れると思うんです。今回の例は、他の世界にペットを放り込んで、バッグと一緒に散歩できるようにと考えてみたものです。

Q:では、最後に今後の目標を一言よろしくお願いします。

大きな目標としては、ITを駆使した超インテリジェントな動作をして、かつアナログな世界にものとても自然に溶け込むようなものを作りたいと思っています。

簡単にまとめ

チームラボの皆さんにお話を聞いたなかで印象的だったのが「自由、寛容、合理的」という言葉です。通常のクライアントワークとバランスをとりながらエンジニアの「もの作り」を支援する環境が整っているように感じました。ネット系の企業ではgoogleの20%ルールのような自由な活動が新たな開発につながるケースがよくありますが、すぐに業務につながるものでなくても「「びっくりするようなものを作ろうよ!」というマインドを共有したチームが快く制作に協力してくれるスタンスが純粋にいいなと思います。デジタルサイネージに関しては、なかなかカジュアルに作品をつくるシーンは生まれていませんが、WEBのテクノロージーとクリエイティブを共にもった企業や個人がこれからのデジタルサイネージ産業を引っ張っていくことになるかもしれませんね。それから「ウザくないサイネージ」ということもこれからのサイネージを考えていく意味では重要ですね。今後もサイネージに関わりそうなWEB系の事業者さんを積極的に紹介していきたいと思っています。

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デジタルサイネージに関わるWEB企業インタビュー:面白法人カヤック

2009-12-01 :, , , , , , , , : Minoru Bando : 736 views

これからのデジタルサイネージのコンテンツ制作にはWEBプロダクション系の企業が参入してくることが想定されます。そこで今回は通常のWEBサイト以外へ向けてもコンテンツを製作されているユニークな企業ということで、面白法人カヤックの片岡さんと瀬尾さんにお話を聞いてきました。

Dsi まず簡単にどんな会社なのか教えていただけますでしょうか?

片岡さん 創業して11年目の会社になります。事業形態はカヤックオリジナルの自社サービスとクライアント様からWebサイト構築を請け負う制作の受託サービス、その他、鎌倉本社の1Fで運営しているカフェ「DONBRI CAFE DINING bowls」(http://bowls-cafe.jp/ )や、自社サービス「ART-Meter」(http://www.art-meter.com)と連動しているギャラリーなど、リアルショップも展開しています。

Dsi カヤックさんの仕事に対する取り組みはユニークだと語られる事が多いですが、普通のWEB制作会社さんとどんなところが違いますか?

瀬尾さん Web系の会社はmixiのように自社サービスを持つ会社、キャンペーンサイトやコーポレートサイトを作る会社、そしてSIを行う会社と大きくは3つに分けられていて、それぞれに特化している企業が多いのですが、弊社は3つ全てを行っているのがひとつの特徴です。自社サービスをやりながら広告案件にも取り組んでいるので、見せ方に気を使うといったことができます。またゴリゴリと開発もしているので、技術があるからできる表現なども可能になります。また飲食事業やアートメーターというWEBと連携したギャラリーを運営していますので、そういった意味では多角経営ですね。

Dsi 御社は自社サービスにも特徴がありますが、そのあたりについてお話いただけますか?

片岡さん 自社サービスはアートメーターやコミュニティサイト的なものを含めていくつか持っているのですが、基本的なテーマとして「つくる人を増やす。」という経営理念があります。その理念の元、作る人を応援するサービスを中心に自社サービスを展開しています。最近ですと「こえ部」( http://koebu.com )という音声をつかってコミュニケーションをはかるサービスや「wonderfl build flash online」( http://wonderfl.net )というWEB上でフラッシュを作るサービスなどもあります。そして、そういった自社サービスのコアエンジンとなる、つまり企画が面白い、技術が面白いといった点でいち早くWebサービスに取り入れる「BM11」(ブッコミイレブン)(http://bm11.kayac.com/ )という新規事業を専門にしたラボチームがあります。一昨年に始まったのですが、1年目は77個、去年は88個、今年は99個のサービスの開発に取り組んでいます。そこで目がついたものを大きくするというスタイルです。新規のサービスというよりは、1アプリであったり、ブログパーツのようなものもあったりします。

Dsi 「BM11」のスタッフの方は受託の開発の仕事はしないのですか?

瀬尾さん 新規開発が専門のチームなのですが、「BM11」でつくられたものは、自社サービスだけでなく、受託サービスにも展開します。その中には他の企業の方とコラボレーションしたりなど、ラボ委託というラボに丸ごと委託される仕事を承ったりもしていますね。「●●をテーマに開発をしてください」といったお題があってそれに基づいてラボが取り組んでいきます。デジタルサイネージに関しても「このような環境で何かできないか?」という問い合わせが着始めています。

Dsi カヤックさんの方向性を作っていくことが「BM11」に求められているということですね。どういう方が「BM11」に参加されているのですか?

瀬尾さん そうですね。基本的に新しくものを作りたいという人が集まりますね。自分で企画を持っている人が基本的に選ばれています。

Dsi 普通に考えるとみんな「BM11」に入りたいって思うのではないでしょうか?

瀬尾さん そうですね。色々やりたいことにも段階があって、すでにあるサービスを伸ばしたい人もいれば、自分は受託の案件で開発を効率化させたいという人もいます。または、企業と一緒に広告サイトを作りたいという人もいます。そのなかでどちらかというと、新しくサービスを作りたいとか、オープンソースで何かしたいという人が集まっています。

Dsi 今は何名体制でしょうか? 

瀬尾さん 11名です。実は弊社のCTOがオーシャンズ11を見ながら決まったんですね(笑)

Dsi 「BM11」の取り組みのなかでPCやモバイルから飛び出して、リアルを関わるものはどんなものがありますか?

瀬尾さん この会議室は閃考会議室と言うのですが、会議でアイデアを活性化させるために2つのシステムを装備しています。一つは、音声認識。会議に参加する人の発言を音声認識で抽出して、発言内容に関連した情報を机の上に投影するシステムです。そうすることで会議の流れを妨げず、アイデアを活性化させることを狙っています。 もうひとつの仕組みが、LEDの照明をコントロールし、会議室の色調を調整することで、人の想像力を誘発することを目的にした空山水という仕組みです。これは2008年にグッドデザイン賞を受賞しました。デジタルサイネージは画面がベースになっていますが、LEDの光の変化なども可能性があるのでは、と考えています。また、「世界初!? ブログを書く植物」( http://plant.bowls-cafe.jp/ )ということで、植物の表面電位の変化を元に自動でブログを更新するというものもあります。植物を触ると表面電位が変わるので、それから相性占いをやったりしています。その緑さんはオフィス1Fのカフェにあってブラウザと店舗のコンテンツを繋げる取り組みです。これは話題になってロイター通信から取材が入り、BBCで放映もされました。自分の中ではこれもある種の広告だと思っていて、第七回の東京インタラクティヴアドアワードに応募をしたところインテグレーテッドキャンペーン部門 クロスメディア入賞ということになりましたので、こうした路線もありかなと思っています。
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Dsi リアルと連動した事例も色々とあるんですね。

瀬尾さん はい。いくつかあるのですが、アートメーターという絵の測り売りショップにプロジェクションするコンテンツ「ARTWall Project」(http://artwall.kayac.com/ )があって、3つほどバージョンがあるのですが、スクリーンの前に立った人を油絵風に見せるものや、キャラクターが登場する、触って遊べるインタラクティブアニメーションなどがあります。

Dsi かなりメディアアート的な取り組みですよね。

瀬尾さん そうですね。これはかなりメディアート寄りですね。これらも「BM11」のメンバーが制作しています。他にも表参道ヒルズにあるセレクトショップBEYES店内のクリスマスキャンペーン用に作った「twinkle tree」(http://www.beyes.jp/christmas08/ )という大型スクリーン向けコンテンツなどもあります。これはスクリーンの前に立ってもらってWEBカムで画像を取り込み、自分の体に電飾に電飾がリアルタイムに合成されるという、ちょっと遊んでもらう仕掛けになっています。

実績紹介ページ
http://www.kayac.com/service/client/492

サイトURL
http://www.beyes.jp/christmas08/

Dsi  Webサービスを展開する会社さんとは趣きが異なりますね。

瀬尾さん はい。キャンペーン路線で面白いことをやってみようというものと、実際にプロダクトを作ってみようというもの(閃考会議室)やiPhoneアプリの開発なども最近は多いですね。

Dsi 作る人は表現の領域は意識せずに仕事をされているということでしょうか?

瀬尾さん そこは躊躇しないですね。楽しかったらやってみようというスタンスですね。ブラウザの外のことも色々面白いと思っていまして、最近はつくる側の仕組みも整備されているので、今後は是非ともやってみたいと思っています。

Dsi 以前おばかアプリ選手権でお聞きしたのですが、WEBサービスも1週間ぐらいで作ってしまうのものあるそうですね。

瀬尾さん 3日ぐらいでつくってしまうものもあります。「BM11」はある意味、有象無象ですね。それぐらい短期間で作る小さなコンテンツから、長期間にわたって開発するコミュニティサイトまで玉石混合です。

Dsi 「BM11」が多くのWEBサービスを開発することは、どのような理由があってなのでしょうか?

瀬尾さん 数をこなすと技術がついてくるということがまずあって、例えば一つ作るとそこで得た技術をもとに、さらに作りたいものが思い浮かんでより深堀できるようになったりします。また一個だけ作れと言われると悩んでしまうと思うのですが、100個作れと言われたら悩まずに「とりあえずやってみよう!」という気持ちになれるのが良いのかなと考えています。

Dsi この3年間ぐらいでWEB業界でメジャーになったという意識はありますか?

瀬尾さん それはないですね。ただ同業の方から「BM11」を知ってます」と言われることは多くなりました。

Dsi  Webサービスの開発は一人でも出来てしまうこともありますが、一人でつくることとチームでつくることの違いについて教えていただけますでしょうか?

片岡さん カヤックはコミュニケーションを取ることを最も重要視しています。社内環境もその一環なのですが、基本的に仕切りを付けず、パーティションも置きません。職種もディレクター、デザイナー、プログラマーの3職種しかありません。ですので、何らかのタイミングでプロジェクトメンバーを入れ替えることも可能です。いつでもチームを組んで解散してというフレキシブルな体制になっています。その他、複数の人間でアイデアを出し合う「ブレインストーミング」というアイデアのネタを出すことも、会社全体で推奨しています。

Dsi カヤックのスタイルが苦手な人も入ってくることがあると思うのですが、すぐに馴染んだりするのでしょうか?

片岡さん もし、ブレストが苦手な人が仮にいたとしても、強制的に参加させるということはありません。それも、その人なりのコミュニケーションの取り方ですから。ただ気を付けているのは、それをしない代わりに何をもってブレストに参加しない事のケアしていくのかということですね。反対意見を述べることもNGではないですし、何かをするのに、必ず参加しなければいけないという会社ではないんですね。ただ、何か反対意見を述べた時は、そこで立ち止まるのではなく、次の手を考えて動くことを推奨しています。

Dsi どういうことがチームに対する貢献になりますか?

瀬尾さん たとえば、いいものを作るというアウトプットですね。ブレストが苦手な人でも凄いものを作ったり、技術があったりすることでチームに貢献するということになりますね。逆に技術がなくてもアイデアが出る人がいたり、貢献の形は様々です。

Dsi アイデアを出すのはディレクターの方の仕事になるのですか?

瀬尾さん ディレクターもそうですが、デザイナーやエンジニアももちろんどんどん出します。アイデア自体は全員でどこからでも出す形ですね。受託案件が来たときはチームで集まってブレストをしたり。最近流行りの表現でいうところのエンジニアドリブンという技術力を持った人が「これで何ができる?」ということを提案していく部分もあります。

Dsi カヤックさんを見ていると営業はいらないなと感じますね。

瀬尾さん そうですね。いわゆる「営業」という職種の人はいません。

片岡さん 「BM11」の場合「瀬尾が作って、瀬尾が宣伝する」ということもありますね。開発したものが、いつ同じネタで他者とかぶってしまうかわからないので。要所要所ポイントを押さえつつ、作ったらすぐにリリースします。ポイントを押さえるだけでもヒットするサービスもありまして、ある一定の規模まではディレクター不在で運営していくケースも多々あります。
面白法人カヤック 技術部 瀬尾さん
面白法人カヤック 技術部 瀬尾さん

Dsi 組織がシンプルな故、フレキシビリティが高く仕事ができるということですね。

瀬尾さん 基本的にベンチャーなんで、やれることは全部やるというかたちですね。自分でやるしかないというか(笑)

Dsi そういったスタイルが優秀な方を集めているのではと思します。ぜひカヤックさんのような優れた開発力をもったWEB会社さんがデジタルサイネージの業界にも参入して欲しいと思うのですが・・・

瀬尾さん 是非、挑戦してみたいですね。

Dsi デジタルサイネージのフィールドでこんなことをしてみたいというものはありますか?

瀬尾さん いくつかあります。この会議室(閃考会議室)でもLED(空山水)を使ったものがありますよね。アンビエントメディアという言い方をしていて、身の回りになんとなく存在しながら情報を出しているというものにも関心があります。今あるデジタルサイネージはモニターがあって、情報を流しているというスタイルですが、それをもう少し日常に入り込む形にするのも面白いかなと思っています。例えば、影を投影して、その影に情報がでるとか、影の表現で何かを知らせるとか、やってみたいなと思います。あとモバイルとの絡みもやってみたいですね。

Dsi デジタルサイネージ業界でもアンビエントディスプレイはひとつのテーマになっていますね。ただ、そこに結びついたコンテンツのあり方はまだまだ、模索中というところだと思います。

瀬尾さん デジタルサイネージの場合、ハードウェアやソフトウェアの話から、流通をどうするかといった問題までいろいろと考えなければならないことがありますね。

Dsi モバイルとの連携はどうでしょうか?

瀬尾さん デジタルサイネージは公共の場の表現なので、一番分かりやすいのはQRコードで情報を取ったり、セカイカメラのように公共の情報からパーソナルな情報を紐付けるといったことが考えられますね。ちょっと抽象的なんですが・・・iPhoneなどを使ってみるとマーカーが現れて、情報にアクセスすると環境情報や個人情報を元に展開される表現などやってみたいですね。ただ真面目にやってしまうと、その場所にいくとパーソナライズされた商品案内が来ますよ、お勧めのお店が出ますよ、といった形だとまだちょっと硬い印象がありますね。もう少しエンターテイメントよりの表現で見る人に情報を渡してみたいと考えています。情報をプッシュするだけだとユーザーの気持ちをなかなかつかめないのですが、ここで何か事件が起きているということがあると、急にユーザーは興味を持ち出しますよね。そういったポイントとしてデジタルサイネージの可能性に興味があります。

Dsi 確かに街中で事件が起こると見ざるを得ないという状況にはなりますよね。デジタルサイネージは一般のユーザーからすると、テレビにしか見えないわけで、そこで何か新しいことが見れると想像はしないですよね。

瀬尾さん デジタルサイネージをつかった表現は、ある意味ギミック的(もしくはマジック的)な要素も必要で、伝えたいことをどうプレゼンするのか、視聴者をどう驚かせられるのかということは常に意識していて、やってみたいことでもありますね。

Dsi アクシデンタルな事柄でユーザーに便益があって、しかも、うっとうしくない形で表現されるものが求められているのかもしれませんね。カヤックさんのように技術力もあってアイデアもある事業者さんには是非サイネージの領域に取り組んでいただきたいなと思っています。Webに関してはこの10年くらいの間で、表現の作法が確立してきたところがありますよね。これからデジタルサイネージの表現に関しても色々な試行錯誤を経た上で、そういったものが生まれてくるのではと思っています。そうした流れの中にカヤックさんのようなWEB系の企業さんが参加していだけると、何か新しいことがうまれるのではと思っています。今日はお忙しいところありがとうございました。

簡単にまとめ

カヤックさんにお話を聞いてみて一番に感じたことは「つくる人を増やす。」という経営理念が皆さんに浸透しているなということでした。その上でコミュニケーションの重要性を意識した、組織のあり方や仕事の進め方がユニークなコンテンツ開発に繋がっているように思います。デジタルサイネージの場合は基本的にロケーションがあって、そこに流すコンテンツは場所に依存することが多くなります。Webのように思い立ったらすぐにサービスを立ち上げるというカジュアルなスタンスは多くはありません。先日、美人時計のコンテンツがデジタルサイネージに利用された事例のように、WEBのコンテンツとデジタルサイネージはより関係性を深くしていくことになるでしょう。そうした際にカヤックさんのようにリアルと連携する眼差しをもったWEB系の事業者が活躍していくのではないでしょうか。

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キーパーソンインタビュー ストリートメディア 大森氏に聞く 「神田商店街から発信する地域型デジタルサイネージの可能性」

2009-10-08 :, , , , , , : Minoru Bando : 650 views

神田の商店街で地域型デジタルサイネージに取り組んでいるストリートメディア株式会社 大森さんに、この夏に実施した「ラーメンバトル」のお話や今後の事業展開をお聞きしてきました。

西澤(以後—で表記)今日は、この夏、神田商店街のラーメン店が参加しデジタルサイネージと携帯電話で、人気を競ったイベント「ラーメンバトル」が話題になりましたね。今日はそのあたりを伺いたいと思います。
ラーメンバトル

大森(以後・)はい。まずこれまでの経緯なんですが、ストリートメディアは昨年4月に神田で生まれた会社なんです。そして、地元の商店街の皆さんと協力しながら、また、経済産業省の援助を受け、昨年12月から、神田駅周辺の商店街に弊社の高機能デジタルサイネージ「Touch!ビジョン」を40台以上設置しました。
 そして、東京MXテレビの番組と連動したコンテンツ配信という、放送波でデジタルサイネージに配信すること。また、このサイネージに流れる映像、例えば、傘屋さんの情報が放映されている時に、携帯電話(FeliCaリーダ付き)でサイネージにタッチすると、携帯にこの傘屋さんの情報が取り込める、そんな実験に成功しました。

—実験の反響はどうでしたでしょうか?

・おかげさまで、生まれたばかりの会社にしては過分の評価をいただき、そのテレビ局等からの問い合わせが殺到して嬉しい悲鳴の年末でした。
 そして、その後も商店街の居酒屋さんをはじめ飲食店情報等は特に評判がよく、特にあるラーメン屋さんなどは、サイネージでこの店の映像が流れる際に携帯電話でタッチすると、携帯に「ラーメンのトッピング100円分サービス」と言ういわゆるケータイクーポンを発行したところ、毎日10人近いお客様が携帯画面をかざしながらお店にはいっていらっしゃったんですね。これはお店にとって、ひいては商店街にとっても大いなる「成果」だったんです。
海人

—なるほど。この「成果」がラーメンバトルに結びついたと。
・はい。そんな中で商店街の会長から、神田、特に西口商店街はラーメン店が軒を並べたまさに「ラーメン激戦区」なんだよと。そして、先ほどのラーメン屋さん達ともお話しする中で、各ラーメン店とお客様が参加し、盛り上がるイベントを、このサイネージや携帯電話で出来ないか、と言うことになったんです。

—そして、この夏に実施になったんですね。真夏の暑い時期になぜ。
・おっしゃるとおり。人気のラーメン店でもさすがに7月後半から8月は売上が落ちる。その打開策としても期待されたわけで、その意味でも価値ある成功事例になったと思います。

—具体的には、どのように「ラーメンバトル」はおこなわれたんですか。
・まず、7月21日から8月7日までの約3週間に、神田西口周辺のラーメン店6店舗が参加。それぞれのお店に行って「おいしい」と思ったら、店に設置された、ラーメンバトル専用のタッチパネル「Pico!タッチ」にお客様が携帯でタッチします。そうすると自動的に1票が入ります。同時に、携帯画面にはアンケート画面が現れ、そのお店で「何ラーメンを食べましたか」から、具体的に「このラーメンの総合評価」「スープ」「麺」「サービス」等の評価が星で3段階で出来るようにしました。ここでも、お客様の評価した星の数が自動集計される、そんな仕組みをつくったんです。
 さらに、スタンプラリー的に、一店毎にお客様の携帯画面に印がついていき、6店全店制覇すると「ラーメン1杯サービス」と言う特典を、お店の協力で付けることができたんですね。

—それは楽しい仕掛けですね。

・また、イベントを盛り上げるために、ちょうどこの時期にアルバムをリリースした新進歌手の伊達晃二さん、この方はラーメン王子とも言われている、まさにラーメンフリークで、彼にも参加してもらったり、いろんな方面から盛り上げました。おかげさまで日刊ゲンダイ等にも取り上げられ、神田、大手町のサラリーマン、OLたちの間でも話題になっていたようです。

—表現しにくいかもしれませんが具体的に、どれくらいの「成果」があったのでしょう。
・まず、参加(タッチして下さった方)人数は1868名です。さらにアンケートからわかるのですが「はじめてこの店に来た」つまり新規のお客様が三分の一近くにもなったことです。つまり、約500名の方が、このイベントで「新規顧客」となったわけですね。この「送客力」については、プロの皆さんも驚いておられ、我々自身も予想以上で、心強く思いました。
タッチビジョン

—アンケートの回収率はどうでしたでしょうか?

・何とおよそ9割です。すごい数字でしょう。もちろんスタンプラリーで全店制覇するとラーメン1杯、と言うおいしい魅力もあると思いますが。(笑)やはり、自分が参加し、それが投票結果に即反映する、という事が大きいでしょうね。
 街に設置されたサイネージ「Touch!ビジョン」では、毎日「ランキング」が流され、これも大いに盛り上がった理由だと思います。つまりランク1位から6位まで毎日のように入れ替わり変化するわけです。それを見てますます参加者が増えたり、応援団が出来たり、そんなプラスのスパイラルがおこったと思いますね。おかげさまで、他の地域からも「同様のイベントをしたい」と言うお話が数件きております。単なる街の情報ボードが、楽しく役に立ち、さらに街にもお客様にも、そして我々にも利益を頂戴出来る、そんな関係が構築出来ればと思っています。
ピコタッチ

—なるほど。具体的に数値が出ると説得力が違いますね。また、この「Touch!ビジョン」には、現在どのようなコンテンツが流れているのですか。また、神田以外の展開は・・

・はい、まずは地域の情報ですね。飲食店を中心にしたお店の情報。神田祭りの時には祭りの情報を提供し、大いに喜んでいただきました。
 それから、サッカーのセリエAの映像や、ハーレクインロマンスと言った、大げさにいえば「世界的コンテンツ」も流しているんですよ。そして、セリエAの映像が流れている時に携帯をかざすと(タッチすると)、携帯のセリエAの公式ページに飛びます。ハーレクインならハーレクインロマンスの携帯小説のページへ飛び、1話が無料でダウンロード出来ます。そして気に入った方は有料会員になる、ということですね。
 ご承知のように、今は携帯サイトがものすごい数であり、その中からお客様に選択していただくのが大変な苦労ですよね。これは、まさにデジタルサイネージがトリガーになり、ワンタッチでサイトへの誘導が可能なわけです。アフィリエイトのビジネスモデルといえるでしょうか。
 また、外神田、つまり秋葉原にもサイネージの設置をはじめました。大手の電気店やアニメの専門店の店頭や店内で「Touch!ビジョン」を既にご覧になった方もいらっしゃるかもしれませんね。
 秋葉原は、特にお客様層がセグメント化されており、新商品の販売促進や話題づくり等にジャストミートしているようで、アニメやゲーム、パソコン関連等、このサイネージでCMや情報を流したいという引き合いも、結構いただいております。
 これまでのお客様の反応から実感するのは、デジタルサイネージのコンテンツに必要なのは「サプライズと安心の共存」だと確信しています。
 他の地域や市区町村からも、街づくり、街おこし等にデジタルサイネージを一つの核としたプランを何カ所かで進んでいるのですが、ちょっとまだ申し上げられないのが残念です。

—最後に、ホームページ等を拝見していますと、神田のような「エリアキャスティング事業」と、もう一つ「カスタムメディア事業」が、事業の2本柱とありますが、こちらの方はどういったビジネスなのでしょうか。

・はい、これはある企業や業態で、独自のメディアとなるデジタルサイネージを展開していこうと言うものです。
 例えば、アメリカではガソリンスタンドでセルフで給油するとき、目の前にデジタルサイネージがあり、ドライブ情報や、車関連商品情報、周辺のお店の情報等が流れる、そんな仕組みが、いわば「常識」のようになっているようです。
日本でも、同じ事がおこってくると思われ、そんな実験を、はじめています。
 また、書店の店頭であれば、お客様は書籍や雑誌、CD等に興味のある方が当然いらっしゃるわけで、この書店をネットワークして独自のデジタルサイネージを置いていく。サイネージには、地域情報等は定番として、新刊本、本日発売の雑誌等等の情報を流していくと言うメデイアで、これまた間もなく実験をはじめる予定です。
 いずれも、映像情報を流すだけでなく、その情報を携帯電話に取り込む、いわばアフターサイネージのマーケティングも実現していきたいと考えています。
 このように、ターゲットに、そして場所にピンポイントではまるコミュニケーションを我々は考え、また、携帯との連動を常に念頭に置いて、より効果的な、まさに集客や販売に直接結びつくメディアにしていきたいですね。
大森さん
ストリートメディア株式会社 大森さん
東京都千代田区鍛冶町2-2-2 神田パークプラザ5F
TEL. 03-5209-8811 FAX. 03-5209-8812
http://streetmedia.co.jp/
mail:info@streetmedia.co.jp

—本日は、有難うございました。

商店街の地域活性化にデジタルサイネージを活用するという実験は今までも様々行われてきましたが、実際に新規の顧客の開拓に直接繋がった事例はさほど多くないように思います。そうした中でストリートメディアさんの取り組みは、街の商店主さんときっちりと向き合って数字を出している稀有な例ではないでしょうか。広告モデルのデジタルサイネージに関してはロケーションの数が広告価値を生むと考えられていますが、狭小なエリアで事業者さんのニーズにあった展開というのは日本型のデジタルサイネージのひとつのモデルだといえます。

また、大森さんのお話のなかで印象的だったのがサイネージに必要なのは「安心とサプライズ」という言葉です。非接触型のカードリーダーを設置した事例では、思ったようにユーザーがタッチしてくれない事例もありますが、やはりユーザーに安心してもらえるコミュニケーション設計が重要なのではないでしょうか。そして、ユーザーの肩をポンと押してあげられるサプライズの用意がデジタルサイネージに必要であるというお話には納得させられるものがありました。

他のエリアへの展開や「カスタムメディア事業」の今後の展開などもウォッチしていきたいと思います。

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プロジェクターはデジタルサイネージをどう変えるか?

2009-05-08 :, , , , , : Minoru Bando : 1,082 views

以前の記事で(ポータブル・プロジェクターはデジタルサイネージをどう変えるか?)書いたプロジェクターの可能性ですが、中型や大型のデジタルサイネージにも活用の場が増えてくるのではと思っています。画面サイズの自由さによって可能になる表現は、ストレッチLEDやマルチディスプレイが与える印象とは違ったものになります。短焦点タイプの登場や高性能なフィルムの利用によって、街頭に面したロケーションで日中でも視認性の高いサイネージを実現する事が出来るようになっています。

街角に設置されている一般的なデジタルサイネージのディスプレイはユーザーにとって限りなく「テレビでしょ・・・」という認識しか与えていないのではないでしょうか。家庭であまりにも馴染んだベゼルに囲まれたスペースが街中に設置されただけでは、印象に残る体験を提供するのは難しいと言えます。そういた意味でもスクリーンサイズを限定されないプロジェクターは可能性があります。

またプロジェクターは今までイベント用の大型映像などで活用されて来た実績があります。普段見慣れたサイズの映像から離れたスケール感がどんな体験を与えるのかという意味で、いわゆる「イベント映像」の表現から学べる事も多いのではないでしょうか。

下記に紹介する映像はカナダのケベック・シティが市制400周年を迎えた際の映像です。海岸の巨大なサイロをスクリーンに見たてて、20000ルーメンの高輝度なプロジェクターで映像を投影しています。映像はケベック出身の演出家ロベルト・ルパージュによるものです。

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よりきれいな映像とプロジェクトの経緯はこちら

プロジェクターはウシオ電機が92年に買収したクリスティ・デジタル・システムズ社のものです。こうした大掛かりなイベント映像とデジタルサイネージを同列に語る事はできないと思いますが、コンテンツを考える時のヒントになる部分はありそうです。

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メディア・ファサード:デジタルサイネージが景観をつくる

2008-12-29 :, , , , , , , , , , : Minoru Bando : 1,595 views

巨大なデジタルサイネージを用いて、ビルの壁面が巨大な映像装置になったような建物が世界各地にでき始めています。すでにタイムズスクエアだけの話ではなくなっているのですね。

以前、サイネージ建築(Media Architecture)の可能性という記事でメディア・アーキテクチャー(Mediaarchitecture)についてご紹介しましたが、ヨーロッパではこうした建築物の表面を使ったビデオ映像による表現が「メディア・ファサード」いうひとつのジャンルを形成しており、アートフェスティバルも開催されているという状況です。

> Mediaarchitecture » Media Facades Festival 2008

今後は、建築の一部としてデジタルサイネージが組み込まれ都市の景観を形作っていくというのが当たり前になるのかも知れません。

これはオーストリアの Graz という街の美術館に設置されたもので、蛍光灯のサークル管を使ってうねうねとした建物の壁に沿って取り付けられています。

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こちらも蛍光灯を使ったシステムで、ドイツのものです。

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次は東京の銀座にあるシャネル・ビルの壁面です。雨に合わせたコンテンツが表示されています。

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最後はマカオのカジノのビルです。ラスベガス以上に派手ですね。上の事例に比べると「電飾」的な色合いが濃くなります。メディア・ファサードというよりは看板建築という感じでしょうか。

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