日本初のデジタルサイネージ・コンサルタント、デジタルサイネージ総研(TM)が国内および海外の最新情報や市場の動向をお届けします
商品を売るために様々なマーケティング活動が行われているわけですが、近年ではTVに代表されるようなマスメディアの活用によって知名率や認知率を上げるだけではなかなか購買に結びつかなくなってきたと言われています。今日では商品の店頭での購入決定率が70~80%と言われており、そのような状況を背景としてインストアコミュニケーション(店頭におけるコミュニケーション)の考え方が生まれてきました。
デジタル技術を活用して店頭での購買行動を解析し、より効率的なコミュニケーションを図ろうというのがインストアメディアの考え方です。その中にはデジタルサイネージのような情報表示の仕組みも含まれるわけですが、今後は顧客の行動分析や購買実績などのデータといかに連携させることができるか、といった辺りが重要になってくるように思います。
ウェブの世界では、はじめにバナー広告が広まりましたが、やがてユーザーのオンラインでの振る舞いを分析して広告内容を動的に変化させるような行動ターゲッティング型の広告や、検索ワード連動型の広告に取って代わられました。それと同じ流れがリアルスペースにおける広告にも起こりつつあります。
現時点でどのような試みが行われているのか、AT RETAIL MEDIA 2.0 という展示会を見に行ってきました。出展社数は8社と小規模でしたが、以下のカテゴリーのそれぞれに該当する提案が見られました。今後は2〜3の部分がもっと強化されていく必要があるという印象を受けました。
こちらは防犯用の監視システムなどによく使われている全方位カメラを使って、指定した複数のエリアの人の動きを観測するシステムです。これを使って店舗内の客導線をモニタリングするという提案でした。
こちらは人の視線をトラッキングするシステムで、特殊なメガネのようなものを掛けることなく測定できるのが特徴だそうです。 消費者が棚のどの部分をどのくらい見たかといったデータを収集することが可能です。
こちらはいわゆる「スマートカート」と呼ばれるものだろうと思いますが、カートに発信器とタッチパネル PC が取り付けられており、顧客の移動をリアルタイムで把握しながら、商品検索や棚の案内などの利便性を提供し、さらに広告表示なども行うというものです。
機能の一例として、献立てを選ぶと必要な食材がリストアップされると同時に、店内のどこに商品があるか、現在地からどう行けばよいかなども表示されます。あとから POS のデータと照合することで、顧客が店内でどう行動し、何を買ったのかを分析することもできるそうです。
こうしたスマートカート自体は遅くとも 2005 年にはすでに登場していましたが、 広告配信の機能を持ったものは新しいということでした。
デジタルサイネージの主な用途は、いまのところ、広告用途と販促用途に大別されるでしょう(それ以外に、このいずれにも属さない用途として標識や案内表示のようなものがあります)。
現状ではデジタルサイネージが広告メディアとして成立している例は数少なく、販促のための利用の方が無理がないようにも見えますが、 私は近い将来、広告モデルの方が爆発的に伸びる可能性があるのではないかと思っています。
というのも、デジタルサイネージは近い将来、自動的にマッチングが行われてその場所(サイト)に適した広告が配信される仕組みに進化するのではないかと思うからです。技術的にはすでにその基盤が整いつつあるため、この流れはほぼ確実なもののように思われます。
インターネット広告においては、Google AdSense のような広告の自動マッチングの仕組みが登場して、ページの内容に応じた広告が自動的に配信され、ページ所有者とのレベニューシェアが行われています。デジタルサイネージの場合は、個々のモニターがどのような人々によって見られているかを常にモニタリングし、その視聴者層に向けた広告をマッチングして広告が配信されるようになるでしょう。
個々のモニターにカメラを取り付け、顔認識技術を使って画面を見た人の性別や年齢層のデータを解析し、常に配信サーバーに送るようにすれば、ほぼリアルタイムで広告のマッチングが可能になるでしょうし、音声認識技術を併用してモニターの周辺での会話から人々の関心事を推測するようなことも技術的に可能になるかも知れません。もちろん、モニターの置かれている場所などの情報が視聴者層の属性を推定するのに役立つ場合には、それらの情報も参考にされるでしょう。
現場で得られる情報を分析して配信サーバーに送り、同時にサーバーから送られてくる広告を画面に表示するソフトウェアは、インターネットのブラウザーのように無料で提供されるようになるかも知れません。デジタルサイネージを設置して広告収入を得たいと思うユーザーは、パソコンとモニター、ウェブカメラを用意し、無料のソフトウェアをダウンロードして初期設定を行えば、あとは配信サーバーが最適な広告を送ってくるような仕組みが用意されるのではないでしょうか。もちろん広告のマッチングは自動的に行われますし、配信にはインターネット網を利用するので、この仕組みは比較的少ない費用で賄うことができるでしょう。
インターネット広告は、パソコンを全く使わない人々に対しては影響力を持ちません。街のあらゆる場所に設置が可能なデジタルサイネージには、インターネット広告とは別の層に対するリーチの可能性があり、また、インターネット広告とは違った形で人々の行動に影響を与えることができます。
広告の本質とは、ものを買わせることだけではなく、人々の行動に影響を与えることですから、 デジタルサイネージには大きな広告効果が期待できると言えるでしょう。
日経BP社の、技術者を応援するサイト Tech-On! 内に、現地で取材協力させていただいた Digital Signage Expo 報道特設サイトが設けられ、ラスベガス EXPO に関する一連の記事がアップロードされています。
さすがに、めぼしいところはほとんど押さえてあります。素晴らしい記事ですのでぜひご覧ください(記事の閲覧には無料の会員登録が必要かも知れません)。
パイオニアがプラズマパネルの生産をやめるそうです。
デジタルサイネージがもう少し早く普及していれば、プラズマパネルももっと売れていてパイオニアも生産を続けていたのかも知れませんが・・。
デジタルサイネージの表示デバイスは今後、より薄く軽く、低消費電力のディスプレイ技術へと移っていくのでしょう。でもしばらくは液晶、プラズマ、LED が中心でしょうね。
以下、パイオニア、プラズマパネルの自社生産を終了へより引用。
パイオニア株式会社は7日、プラズマディスプレイパネルの自社生産から撤退する方針を発表。次期新製品に搭載するパネルを持って生産を終了し、外部調達に切り替える。
それより、このニュースについての小寺信良氏のブログの方が気になります。
「空間知能化」というキーワードをご存知でしょうか?
ロボティクスの世界ではいま注目されている考え方だそうで、私も門外漢ながら空間知能化の研究会なるものに参加させていただいています。
どういうことなのか簡単に説明すると、ロボットをひたすら賢くしていくよりも、そのロボットが働く空間の方にセンサーなどを埋め込んでやって、そのセンサーから得られる情報を逐次ロボットに知らせてあげた方が簡単なのではないか、という話です。
例えば、部屋の中に様々なものがあった場合、ロボットにその全てを自分で認識させてぶつからないように動作させるのは大変ですが、部屋のあちこちにカメラやセンサーが設置されていて、ロボットがなにかにぶつかりそうになったら知らせてやるようにすれば、ロボット自体はそのことから解放され、本来の仕事のための機能に集中させることができるでしょう。
一見デジタルサイネージとは全く関係がないように見えますが、行き着く世界は案外近いようにも思います。
というわけで、「空間知能化」に興味のある方々へのお知らせです。
慶応義塾大学田中浩也研究室 × 彼岸寺
Nature, and Beyond -アニミズムとサイエンスが出会うデザイン展- 開催のお知らせ生物・無機物を問わないすべてのものの中に霊魂、もしくは霊が宿っている=アニミズム。自然を科学的に分析の対象として捉えてみる=サイエンス。
田中浩也研究室では、先端科学の動向を参照しつつ、またそれと同時に個々人の自由な発想と感性によって自然を捉え、常に「自然を参照する」ことによって、昨今の「ユビキタス」と呼ばれる新興技術群を用いたデザインの試みを行って来ました。
当研究室の目的はこれらの技術を「機能」の問題ではなく「表現」の問題として捉え、新たな“見える価値”を提示することです。本展覧会は、寺院というまさに森羅万象と人間との深淵な対峙によって築かれた精神文化を担う場において、アニミズムとサイエンスはいかなる相補性を持ち、いかなる相乗効果を生み出すかを世に問う試みです。
展示予定作品:
Plantio (日本グッドデザイン賞2007新領域部門受賞等)
Oto-Shigure (WISS2007最優秀デモ発表賞受賞等)
Ene-Geomatrix (学生CGコンテスト2007インタラクティブ部門最優秀賞等)
石のイシ (CHI2007発表、日本科学未来館「予感研究所」出展等)
SKYLIGHT (JWDA日本ウェブデザインアワード・ニューフェイス賞等)
Bogs (SIGGRAPH2007アートギャラリー出展等)
および新作日程:2008年3月7日〜8日 17時〜22時
*法要等が入った場合は、展覧会が中止となる可能性があります。
中止の場合は当日朝までにWEBページにてお知らせします。会場:梅上山 光明寺
営団日比谷線 神谷町駅から徒歩1分
※車でのご来場はご遠慮ください
入場無料お問い合わせ:田中浩也研究室
TEL:090-7224-5231主催:田中浩也研究室×彼岸寺
トークシンポジウム出演予定者:
渡邊淳司(NTT/さきがけ)
石若裕子(SoftBank)
福原志保+Bradley Fraser (バイオメディア)
松本圭介×松下弓月(彼岸寺:http://www.higan.net)詳しい日程・内容・アクセス方法はウェブサイトをご参照ください
http://mountain.sfc.keio.ac.jp/NatureAndBeyond/
以前の記事(ポータブル・プロジェクターはデジタルサイネージをどう変えるか?:2007.11.26)で書いた超小型プロジェクターですが、さらに小型化が進んでいるようです。
それにしても、最近は YouTube でもジャーナリズムが展開されているんですね。まさかこんなニュースが載っているとは思いませんでしたが。
まあ、まずはご覧ください
[youtube:http://youtube.com/watch?v=EJy6D-_LM4s]
いかがでしたか?ソースが YouTube なので裏を取る必要があるかなと思い検索してみましたが、確かに 3M の開発した超小型プロジェクターというのは存在します
[youtube:http://youtube.com/watch?v=7YOjhYKpSEk]
このビデオインタビューの中に出てくる米Microvision社、イスラエルExplay社についても確かに試作品を発表しています。
やはりプロジェクターはこれから面白くなりそうですね。
参考リンク:
小田急新宿駅で2月22日から実施されている「香る新宿駅プロジェクト」が、イベント終了まであと1週間を切りました。
これは、NTT コミュニケーションズが開発した香りを発生させることができるデジタルサイネージディスプレイを使用したもので、小田急線新宿駅西口地上改札口に設置されているデジタルポスターからさまざまな香りを噴霧するというものですが、今回は資生堂の新製品「ばら園」と「世界らん展日本大賞2008」の告知のために、「ばら」と「カトレア・ドウィアナ(熱帯に咲く原種ランの1種)」のフレグランスを噴霧しているそうです。
この「香るデジタルサイネージ」に関しては、昨年末にもビールが飲みたくなる香りを発生させて集客効果を測定するという実証実験が行われていましたが(NTT Com ニュースリリース)、香りを発生するタイプのデジタルサイネージというのは世界でもほかに例がありませんし、どんな香りが出ているのか気になりますね。
開催時間は10時〜17時。3月6日までですので、体験してみたいという方はお急ぎください。
以下、「香る新宿駅プロジェクト」−デジタルポスターが香りのプレゼント - 新宿経済新聞より引用します。
同イベントは、小田急電鉄、NTTコミュニケーションズ、資生堂、ナイアガラソリューションズ(港区)のコラボ企画。小田急百貨店の中央口を入って右奥にある小田急線西口地上改札口の手前に設置されているデジタルポスター(液晶画面を中心に据えた壁掛け型の広告媒体)にNTTコミュニケーションズが開発した技術「香るデジタルサイネージ」をインストールし、クライアントが提供する「香り」を特殊な香りディフューザーから噴霧することで、改札通路の歩行者に「香りをプレゼント」(同イベント担当者)するもの。