日本初のデジタルサイネージ・コンサルタント、デジタルサイネージ総研(TM)が国内および海外の最新情報や市場の動向をお届けします
米国Digital Advertising Technologies社がOOH分野に参入
アドネットワークがデジタルサイネージの領域にも広がりをみせているようです。
サンフランシスコにあるDigital Advertising Technologies社は、彼らが提供する広告プラットフォーム”Planning and buying Portal”のEntourageが近いうちに、広告主に50万以上のスクリーンへのアクセスと、各画面の人口統計や心理グラフ的なデータを提供するという。
同社は、既に20社以上のネットワーク (スタジアムやアリーナのテレビや巨大スクリーンで展開しているSportsMedia; Applebee’s、Chili’s、TGI Fridayなどのカジュアルレストラン店舗内のスクリーンで動作するTargetCast、医療施設内の待機室で使われているHealium等)と契約を結んでいるという。
また、 Entourageの利用リストにはHealiumと同様のサービスを提供するWaiting Room Promotions; 通勤電車で見る画面の4Gmetro; キオスクや”e-concierges”を提供している InstrideAdsがある。
Entourageが参入していく市場には、すでに市場を確立しているAdcentricityやSeeSaw Networksだけでなく、新規参入したNeo Advertising社のBookingDoohなどもあるが、同社は、的確な消費者グループにリーチするために各画面の潜在的な分析作業に時間を費やしている広告主の獲得を目指しているようです。
同社マーケティングディレクターNikos Acuna氏は、”広告主がより確実にリーチできるようになるために、現在は各ネットワーク内のすべての画面をプロファイリングしている”とSCREENS.tvに語った後、”我々は近いうちに、ポータル上で50万人以上の画面検索を可能にする”と付け加えた。
Digital Advertising Technologies社社は、EngourageがIPTV、モバイルプラットフォームや巨大な屋外スクリーンだけでなく、屋内のデジタルサイネージをも含む全米の家庭外のデジタルメディアの代表になることを計画している。
先行するSeeSaw Networks以外にも新興のアドネットワークの拡張意欲は更に活発になってきているようです。その広大なネットワークを活用して「デジタルサイネージ」ならではの企画やプロモーションがどのように実現されるのか、期待したいところですね。
スポーツファンが大きな市場を形成しているアメリカでは、スタジアムやアリーナ向けのクロスチャンネル・デジタルサイネージ広告ソリューションが登場してきています。
Sports Media 社はスタジアムやアリーナを運営するスポーツチーム向けにデジタルサイネージを使った広告メディアを提供するトータルサービスの提供を開始すると発表しました。
Sports Media 社ではデジタルサイネージの設置および下記の複数の広告媒体のバックエンド・サポートを提供し、スポーツチームが全国規模の広告ネットワークに参加することを可能にします。
これらのクロスチャンネルの広告媒体によって、スポーツチームはスポンサーに対して魅力的な広告の機会を提供できます。スポンサーは試合中にスポーツファンとインタラクティブに接触できるため、彼らの嗜好や消費傾向をより詳しく把握し、顧客データベースを構築することができるとしています。
Sports Media 社では試合観戦中のスポーツファンに対してブランドメッセージング、クーポンや試供品、着信音、壁紙などを提供していく予定です。
Sports Media Inc. announced that it will now offer sports teams a total turn-key digital advertising solution for their stadiums and arenas. Sports Media will provide installation and back-end technical support for the following five exclusive digital ad vehicles and will also include participating teams in its national advertising network.
(Entertainment | Sports Media offers cross-channel DOOH media for stadiums, arenas より、一部引用)
日本国内では、球団を所有するソフトバンクが子会社のコメルを通じて福岡の街で大規模にデジタルサイネージを展開していますが、アメリカの球団にとっても広告収入は重要なはずです。Sports Media 社ではアメリカ中のスポーツチームにこのシステムを売り込む計画のようです。
米 SeeSaw Networks は、40のデジタルサイネージ・ネットワークをアグリゲートし、週あたり 5,000万インプレッションを誇る巨大な OOH メディアを構築するだけでなく、広告メディアの比較から広告枠の購入、リアルタイムでの効果測定までを一貫してオンライン提供しています。
広告主や広告代理店は、これらのツールを自由に使って、求めるターゲット層にリーチできる広告キャンペーンを計画し、すぐさま実行に移すことが可能です。全国規模からローカル広告までスケールも自在です。
カテゴリーは、バー&レストラン、書店、ホテル&カジノ、コーヒーショップ、コンビニ、医院、空港、ガソリンスタンド、食料雑貨店、ヘルスクラブ、ショッピングモール、スポーツバー、大学など 30以上に及び、これらのカテゴリーを横断してライフパターン・マーケティングと呼ばれる新しい広告手法を実践することもできるようになっています。
アメリカにはデジタルサイネージのネットワークが数百も存在すると言われており、これらのネットワークを個別に組み合わせて広告戦略を展開するのは非常に大変ですが、SeeSaw Networks ではそうした複雑な作業を簡単にこなせるような枠組みを提供しているわけです。
SeeSaw Networks では最近新たに4つのスポーツ系ネットワークを加え、月間 6,000万インプレッションを追加しましたが、今後もまだまだ拡大しそうな勢いです。
自らメディアを持つ以外にも、こうしたネットワーク・アグゲーションも有望なビジネスモデルになりそうですね。
With the addition of OnSite Network, ONTrack, The Bar Network and a national sports event network, SeeSaw has extended its network of places where people go to deliver nearly 60 million impressions a month to sports fans at bars, restaurants, sports bars, casinos, horse racing tracks, health clubs, college campuses or at large sporting events.
(SeeSaw Reaches Sports Fans With Four New Networks : SeeSaw Networks より、一部引用)
ニュージーランドのショッピングカートメーカー Cabco Group は TV Kart というユニークな製品を展開しています。

子ども2人が乗れる乗用車型のカートで、車内に装備された 7インチのスクリーンでは子ども向けのビデオが流れているというものです。このカートは買い物客が1ドルを支払って利用する仕組みで、店舗側は費用負担なしで導入できるため米大手小売業の Meijer などで採用されてきました。

現在はこれに加えて大人用の 7インチディスプレイを上部に搭載して広告を表示するタイプのものがあり、無料で利用できるようになっているようです。また店内のカートの位置によって広告内容を切り替えることも可能なシステムになっており、買い物客の 57% がここに表示される広告を参考にしているとの調査結果が出ています。
Cabco Group では5月に Premier Retail Networks, Inc. (PRN) との提携を発表しており、PRN が広告枠の販売を行うことが決まっています。広告配信のテストにはユニリーバなど5社が参加し、6歳以下の子どもを連れた買い物客にターゲットを絞った10カテゴリーで広告配信が開始されます。
以前、インストア・デジタルサイネージが満たすべき5つの条件というエントリーを書きましたが、リテールの現場でのデジタルサイネージの可能性はまだまだ広がっていきそうですね。
PRN and Cabco announced their strategic alliance to enhance the in-store media experience for retailers and shoppers in May 2008. As part of the alliance, PRN agreed to sell advertising for Cabco’s TV Kart™, which incorporates interactive display screens onto digital shopping carts designed to entertain young children who are sitting on the interior of the cart, while providing targeted information for moms and dads on monitors facing them while they shop.
全米 12,000の病院の待合室をネットワークし、年間1億4,000万人の患者へのリーチを持つアメリカ最大のヘルスケアTVネットワーク AccentHealth がプライベート・エクイティ・ファームに買収されました。
AccentHealth は 1995年から病院を訪れる患者向けの健康関連教育番組を放送しており、Point-of-Care の OOH メディアとして消費者向け製品の広告も流しています。
今回の買収は、デジタル OOH 広告メディアの急拡大を受けて、健康関連広告分野でのポジションを固めるためにネットワークのデジタルサイネージ化を急ぐ狙いがあり、病院の患者というセグメント化された広告媒体としての成長を見越してのものと考えられます。
旧来のマス媒体に変わる広告媒体として、セグメント化されたデジタルサイネージ・ネットワークが本命視されてきているようですね。
さらには、行政が Point-of-Care での教育を重視し始めていることもこの分野への投資の追い風になっているものと思われます。
Private equity firms M/C Venture Partners (M/C) and Banc of America Capital Investors (BACI) today announced that they have partnered to jointly acquire AccentHealth, the leading digital out-of-home media company providing patient health education in physician offices nationwide, from Ascent Media Corp., a subsidiary of Discovery Holding Company.
(M/C Venture Partners and Banc of America Capital Investors Acquire AccentHealth - FOXBusiness.com より、一部引用)
月額 50ドルの最低広告収入が保証されるデジタルサイネージ付き自動販売機のビジネスモデルが登場しました。
デジタルサイネージ付きの自動販売機を購入し適切なロケーションに設置した自販機事業者に対し、広告費として1台あたり月額 50ドル以上の支払いを保証するというもので、アメリカの自動販売機専門企業である AVT 社 とソフトウェア企業の UDM 社が出資するジョイントベンチャーが行うサービスです。
デジタルサイネージとの親和性が非常に高いとして期待されながらも、自販機ベンダーや運営事業者、ロケーションオーナーに製品ベンダーと、多くの事業者が絡むためにこれまでなかなか導入が進まなかった自動販売機業界ですが、初期投資の費用を誰が負担するのかという問題に対して AVT社が魅力的なサービスを投入したことで、自販機が新たに有望な広告ネットワークとして成長するものと期待されています。
AVT 社では、今後ネットワークの拡大に伴いナショナルクライアントの広告が取れるようになれば、大きな収益が期待できるとしています。
AVT, Inc. (formerly Automated Vending Technologies) (Pink Sheets: AVTC), announced today that it has formed a joint venture with UDM (United Digital Media), located in Palm Springs, Ca., to guarantee monthly payments to vending operators who have purchased and placed AVT digital signage equipped vending systems at qualified locations.
(AVT, Inc. Announces Guaranteed Monthly Payments on Digital Signage Based Vending Systems より、一部引用)
リテール系のデジタルサイネージでは最も有名な事例のひとつであるウォルマートのインストアTVですが、近く「ウォルマート・スマートネットワーク」と呼ばれる新システムを導入するそうです。
詳細は未発表ですが、関係者の話として、これまでよりもアイレベル(目線の高さ)に近い位置にモニターを移動すること、インタラクティブな「バーチャルアシスタント」による商品情報の検索やお薦め商品の紹介機能の追加などが明らかにされています。
こうした動きの背景にあるリテール系デジタルサイネージの現在のトレンドを挙げてみましょう。
最後に、第1世代のウォルマートTVに関する金銭面の情報をまとめておきます。
ウォルマートのインストアTVは2005年に仏トムソンに買収された PRN(Premier Retail Networks)社が提供していますが、2003年のウォルマートTVからの収入は 6,100万ドルであり、ウォルマート側から運用費として支払われた3,900万ドルを合わせると PRN のビジネスの 89%をウォルマート関連が占めていました。現在の PRN の収入は BestBuy や Costco などに提供しているネットワークを合わせて 2億5,000万ドル程度と見られ、そのうち 1億〜1.5億ドルがウォルマートTVからの広告収入であると推定されています。
一方、昨年の米国のTV広告費は640億ドルに上っており、1億3,000万人/週というウォルマート店舗の来客数を考えれば、未だそのポテンシャルのごく一部しか活用できていない状況だと言えます。最大の課題は広告効果の証明であり、Nielsen 社が6月に開始したインストアメディアの効果測定サービス PRISM をウォルマート社も採用します。
とはいえ、インストアメディアによる広告収入の伸びが期待したほどではなかったとしても、ウォルマート社にとっては大きなメリットがあります。ウォルマート社は広告収入の8%を PRN 社にマージンとして支払う一方で、100万人を超える同社の従業員とウォルマートTVを使ったバーチャル会議を行うことができます。こうした企業内ネットワークをタダで手に入れた上、広告収入も得られるというわけです。もちろん、こうしたサプライヤー側にだけ費用負担を押し付けるような形での事業展開はデジタルサイネージの発展にとって望ましくないという意見もあります。
Despite growing talk about and investment in shopper marketing in recent years, relatively little money has flowed into in-store media. Now, Wal-Mart Stores is looking to change that as it readies a second-generation in-store digital TV and signage network.
(Wal-Mart Preps Next Phase of In-Store TV - Advertising Age - News より一部引用)