日本初のデジタルサイネージ・コンサルタント、デジタルサイネージ総研(TM)が国内および海外の最新情報や市場の動向をお届けします
NPO の運営するデジタルサイネージが JR 田町駅にあるのをご存知でしょうか?
5月末に新しく設置されたこの情報端末は「視覚障害者のための音声誘導ナビゲーション」であるという点が特徴で、デジタルサイネージの事例としては非常にユニークなビジネスモデルです。
[youtube:http://youtube.com/watch?v=yrlnTgQ9gI4]
NPO 法人 日本福祉環境協議会が運営するこのデジタルサイネージについて、システム構築と運用を受託されたコミュネット株式会社さんに詳しいお話を伺いました。
ビジネスモデルとしては、まず NPO 法人が端末を購入し、港区に寄付します。その後、NPO 法人は港区から運営の委託を受けて広告収入で運営をまかないます。
この端末のある田町駅芝浦口(東口)は東京都の管理下にあるため、都の景観条例など様々な条件をパスする必要があり、2006年冬から1年半がかりで設置にこぎ着けたそうです。東京都の許認可を受けるのに成功したポイントは、以下の2点だということです。
NPO 法人自体、音声誘導システムの普及を活動目的の一つとしており、自身の提供するカード型発信器に対応した音声案内システムに、デジタルサイネージを組み合わせて行政に提案したというわけです。これによって、関係者全員にメリットが生まれます。
最終的に住民の利益に還元されるというところがポイントでしょう。
現在のところ、広告枠はまだほとんど空いていますが、非常に安い料金設定になっているので近いうちに埋まるかも知れません。ちなみに広告枠は2種類あり、左上の32インチモニターをフルに使うものが月額26,250円〜105,000円、左下のタッチパネル式のカテゴリー分けされた周辺情報案内が6,300円〜21,000円(近隣の事業者のみ)となっています。なお、東京都の解釈では、周辺情報案内の部分については広告とは見なしていないそうです。
このような安い広告料がデジタルサイネージの標準価格になってしまうと、営利目的でデジタルサイネージを運営する事業者にとってはなかなか厳しいものがあるかも知れませんが、NPO 法人 日本福祉環境協議会では、1年間の試験運用の後、港区内のほかの駅前にも案内板の設置を進めたい意向だそうです。
また、筐体については、東京都の条例で奥行き20センチ以内と決められているため、冷却装置などは搭載せず、4つのファンによる強制排気だけとなっています。いちおう屋根がかかっているため直射日光はほとんど当たりませんが、屋外に近いので雨がかかる可能性があり、排気口にはキャップが取り付けられていました。

マルチメディア放送ビジネスフォーラム が新たに立ち上げたワーキンググループのひとつに「デジタルサイネージWG」というものがあり、ここでは「グーグルを超える広告ビジネスモデルの構築」を目指すそうです。
ラジオやテレビのデジタル放送の電波にコンテンツを乗せて送信するための技術としては、慶大、KDDI、FM東京の3者が共同で開発したもの(デジタル放送波でネットコンテンツを配信する技術 )があり、これの延長線上にあるものと思われます。
以下、3セグ放送推進のマルチメディア放送ビジネスフォーラム,新たに4つのWGを立ち上げ:ITpro より一部引用。
デジタルサイネージWGは,放送波をインフラとするインターネット環境を活用した新規ビジネスの創出を最終的な目標に掲げる。このWGの設立を提案したアイ・ビー・イー・ネット・タイムの関係者は,「グーグルを超える広告ビジネスモデルを構築したい」として,放送波を利用した電子新聞事業など,新たなビジネスの創出を目指すとした。
現在のところ、デジタルサイネージのコスト要因として大きいのは表示用ディスプレイやコンテンツ制作費などではないかと思うのですが、ネットワークインフラが放送波ベースになることでどのような利点が生まれてくるのかは興味深いところです。
とはいえ、今後もディスプレイパネルの価格低下はますます進行すると予測されていますし、もしかしたら電子ペーパーが普及するころのタイミングを睨んだ戦略なのかも知れません。
関連記事:
“逆YouTube”の携帯端末向け「IP over デジタル放送」、福岡で実験開始 - ITmedia +D LifeStyle
デジタルサイネージの主な用途は、いまのところ、広告用途と販促用途に大別されるでしょう(それ以外に、このいずれにも属さない用途として標識や案内表示のようなものがあります)。
現状ではデジタルサイネージが広告メディアとして成立している例は数少なく、販促のための利用の方が無理がないようにも見えますが、 私は近い将来、広告モデルの方が爆発的に伸びる可能性があるのではないかと思っています。
というのも、デジタルサイネージは近い将来、自動的にマッチングが行われてその場所(サイト)に適した広告が配信される仕組みに進化するのではないかと思うからです。技術的にはすでにその基盤が整いつつあるため、この流れはほぼ確実なもののように思われます。
インターネット広告においては、Google AdSense のような広告の自動マッチングの仕組みが登場して、ページの内容に応じた広告が自動的に配信され、ページ所有者とのレベニューシェアが行われています。デジタルサイネージの場合は、個々のモニターがどのような人々によって見られているかを常にモニタリングし、その視聴者層に向けた広告をマッチングして広告が配信されるようになるでしょう。
個々のモニターにカメラを取り付け、顔認識技術を使って画面を見た人の性別や年齢層のデータを解析し、常に配信サーバーに送るようにすれば、ほぼリアルタイムで広告のマッチングが可能になるでしょうし、音声認識技術を併用してモニターの周辺での会話から人々の関心事を推測するようなことも技術的に可能になるかも知れません。もちろん、モニターの置かれている場所などの情報が視聴者層の属性を推定するのに役立つ場合には、それらの情報も参考にされるでしょう。
現場で得られる情報を分析して配信サーバーに送り、同時にサーバーから送られてくる広告を画面に表示するソフトウェアは、インターネットのブラウザーのように無料で提供されるようになるかも知れません。デジタルサイネージを設置して広告収入を得たいと思うユーザーは、パソコンとモニター、ウェブカメラを用意し、無料のソフトウェアをダウンロードして初期設定を行えば、あとは配信サーバーが最適な広告を送ってくるような仕組みが用意されるのではないでしょうか。もちろん広告のマッチングは自動的に行われますし、配信にはインターネット網を利用するので、この仕組みは比較的少ない費用で賄うことができるでしょう。
インターネット広告は、パソコンを全く使わない人々に対しては影響力を持ちません。街のあらゆる場所に設置が可能なデジタルサイネージには、インターネット広告とは別の層に対するリーチの可能性があり、また、インターネット広告とは違った形で人々の行動に影響を与えることができます。
広告の本質とは、ものを買わせることだけではなく、人々の行動に影響を与えることですから、 デジタルサイネージには大きな広告効果が期待できると言えるでしょう。
デジタルサイネージには、「テレビに代わる新しい広告媒体」とか、「販促の手段としての店頭 POP の進化形」とか、 「紙のポスターのデジタル化」、「最新情報を必要な場所に即座に伝えるリアルタイム情報掲示装置」などなど、様々な用途が考えられているわけですが、そのひとつである「次世代広告媒体」としての側面に注目した記事です。
広告媒体としてのデジタルサイネージのメリットを、
デジタルサイネージは、従来看板が持っていた、「極めて限られた地域のターゲットへ」「何度も閲覧させる」メリットを活かしつつ、「柔軟な変更が難しい」デメリットを払拭したものである。
とわかりやすく説明するなど、とてもよい記事だと思います。また、インターネット広告とデジタルサイネージとの違いを、
ネットワークというとインターネット広告も大きな市場になっていくことが見込まれているものの、デジタルサイネージは “リアルに存在する” ため、リーチできるユーザー層のセグメントをインターネットとは分けて考えることができる。
と、これまた簡潔に説明してくれています。さらに、こんな興味深い記述もあり、デジタルサイネージへの期待感を煽ってくれています。
電通によれば、屋外広告と交通広告を合わせた市場で約5千億円以上、展示・映像ほかは3500億円程度の規模と試算されており、これがすべてネットワーク 対応のデジタルサイネージに変わることがあれば、「渋谷ジャック(渋谷の交差点の広告をすべて同じ商品などで統一すること)」どころか「日本ジャック」が TV程度の広告費で可能になることも予想される。
昨今製品のライフサイクルは短命化の一途をたどっており、その中でより早い情報のインターネット広告が注目されている。しかし、リア ルに存在する広告媒体が同様のスピード感で情報を発信できれば、TVCM以上に多くの人々の目に触れつつ、Googleの検索連動型広告以上にニッチな広 告活動を展開できる。デジタルサイネージはその可能性を秘めているのである。
記事中でさりげなく取り上げられている、デジタルサイネージ福岡「街メディア」を運営する COMEL(コメル)という会社は、実はソフトバンクテレコムの子会社で、同じソフトバンク系列の会社だったりするのですが、それはご愛嬌といったところでしょう。
売上アップ≫通信/ネットワーク-ITとの融合が進み、次世代広告媒体として導入の進むデジタルサイネージとは:ソフトバンク ビジネス+IT
デジタルサイネージとアートが出会うとこういうものができるんですね。これは素晴らしい!
やはり人を楽しませるコンテンツがデジタルサイネージに最も求められているものだと思います。
その意味で、こうしたアート的な試みには無限の可能性があるように感じられます。
電通が、短期間のうちに巨大メディア企業となった中国のフォーカスメディア社と手を組んだそうです。
中国のフォーカスメディア社と言えば、世界のデジタルサイネージ業界でもっとも成功した企業として有名ですが、創業社長がもともと中国の大手インターネット広告会社の出身ということもあり、インターネット広告にも強いわけです。
今回の電通との合弁はインターネット広告分野での話であり北京オリンピックを睨んでの動きでしょうが、今後ますます広がると見られるデジタルサイネージビジネスの方でも、両者の関係が強まる可能性が出て来たのではないでしょうか。
電通、中国のフォーカスメディア社と北京市にインターネット広告事業の合弁会社を設立:日経プレスリリース
余談ですが、フォーカスメディア社は本社がケイマン諸島に登記されているんですね。節税対策でしょうが、よほど儲かっているんでしょう。
中国に新しいデジタルサイネージのビジネスモデルが登場 しました。
中国のデジタルサイネージといえば、フォーカスメディア社がなんと言っても有名ですが、北京オリンピックに向けて、他のソリューションを提供する会社が出て来た模様です。
空港や航空機内での放映権を有する中国企業とアメリカのデジタルサイネージ業者との共同運用らしく、かなり本格的なものになるようです。デジタルサイネージのビジネスモデルとしては広告モデルこそが本命だろうと言われながら日本国内ではまだ実例が少ない中、中国でのこの動きは要注目です。
米DTリサーチは、8月の北京五輪に備え、両社共同で看板システム「WebDT Signage System」を北京首都国際空港に配備した。広告主は時間帯をエアメディアから購入することで、DTのWebDT看板システムの高精細液晶ディスプレーにより、旅客・空港訪問者向けに常時更新される最新の広告や情報を掲示できる。既に538枚の電子看板が同空港に設置されている。エアメディアは今後数カ月間、他の主要空港にも追加設置する。北京首都国際空港の2006年の利用旅客数は5千万人近くに上った。エアメディアは、中国主要30空港の28カ所を含む計52空港でのデジタルTVスクリーン放映認可を受けているほか、中国の航空会社の最大手3社を含む9社の機内でのプログラム放映権を有している。