日本初のデジタルサイネージ・コンサルタント、デジタルサイネージ総研(TM)が国内および海外の最新情報や市場の動向をお届けします
最近発表された4つの予測資料によると、デジタルサイネージのハードウェアおよび OOH ビデオ広告市場の先行きは明るく、2012年まで堅調な成長が期待できるとのことです。
今年の世界のデジタルアウトオブホーム市場は 12.8%の成長で 61.1億ドル(約6,000億円)に達する見込み。昨年の 22.6%よりは鈍化したものの、2007年から2012年までの平均成長率は 14.5%との予測です(PQ Media 調べ)。
The forecasts for digital signage hardware and out-of-home (OOH) video advertising sales recently issued by four independent research firms paint a bright picture for an industry that has emerged as the dynamic Fourth Screen in communications and advertising.
(Studies Forecast Steady Growth in Digital Signage Hardware and Advertising Sales より、一部引用)
世界の 40%近くを占める米国のデジタルサイネージ市場は、昨年比 11.2%の成長となる 24.3億ドル(約 2,300億円)で、今後はロシア、インド、中国、ブラジル、オーストラリアといった国々の成長により米国の比重は低下するものと予想される。
アメリカでは今年 8.1%の成長となるビデオ広告ネットワークが OOH 市場の中で最大の割合を占め、これにはデジタルビルボードやアンビエント広告プラットフォームも含まれるが、単体では 28.2% 成長のデジタルビルボードが最も高い成長率を示しており、2012年まで引き続き 20%台を維持する見込み。一方アンビエント広告プラットフォームや場所ベース(place-based)メディアは今年 6.8%の成長率となった。
景気減退の影響については、広告業界ですでに始まっているメディアシフトがさらに加速し、デジタル OOH への遷移が促進されるとの見方が出ている。広告主は広告への出費を控えるだけでなく、より効果的な方法を求めているため。
ヨーロッパ市場に関する別の調査(Goldmedia 調べ)では、2007年からの5年間でデジタル OOH 広告の売上高は 約 204百万ドル(約 200億円)から 797百万ドル(約 780億円)へと4倍増し、OOH 広告市場全体の1割程度を占めるまでになるとの予測。また従来の広告媒体のうち、今後5年間に広告費の増加が見込めるのは OOH セクションのみという予測結果となっている。
MultiMedia Intelligence 発表の調査によれば、今年のデジタルサイネージ用ディスプレイの出荷台数は 34%増の 110万台に上り、2012年までには 230万台に達する見込み。2009年には成長の鈍化が予想されるものの、2010年には二桁台の成長を回復すると見られる。今年はオリンピック需要の後押しを受けて中国がついに米国を抜いてトップとなった。業種別のトップ3はリテール、交通、レストラン&バーとなっており、教育や企業内コミュニケーション用も伸びているという。
ソフトウェア、ハードウェア、および設置や運用サービスまでを含めた包括的な調査(ABI Research 調べ)によると、2008年から2013年のアメリカ市場は 641百万ドル(約 630億円)から 14億ドル(約 1350億円)近くにまで成長する。今後12〜14ヶ月は経済不況が予測されるものの、新しい強力な広告媒体としてのデジタルサイネージにとってはむしろ成長の好機となると同調査では見ている。
いずれの調査でも、購買の現場で消費者にアプローチできる点や、従来メディアでは不可能だった高度なターゲティング、インタラクティビティを含めた コミュニケーションメディアとしての優位性といった、デジタルサイネージならではの特徴を高く評価しており、こうした新しい広告手段に対する広告主側の ニーズの高まりから、経済不況もむしろ追い風として作用するのではないかとの予測となっています。
イギリスから現代の世相を反映したユニークなデジタルサイネージのビジネスモデルをお届けします。
英 Media Metrica 社は、ロンドンの金融の中心である City 内に「爆弾テロ対応型リサイクルゴミ箱」100台を設置し「経済情報チャンネル」を放送する許可を得ました。
同社がロンドン市当局との間に交わした15年契約によれば、この特殊なゴミ箱を無料で設置する代わりに、同社はゴミ箱側面に設置されたデジタルサイネージを使って経済情報番組を表示することができるものとされています。
ロンドンでは IRA によるテロでゴミ箱が標的にされやすいことから路上や地下鉄駅のゴミ箱を撤去しており、新型のゴミ箱の設置を歓迎しています。Media Metrica 社では今後12ヶ月以内にデジタルサイネージ付きゴミ箱の設置を始めたいとしていますが、1台当たり 30,000ポンド(約550万円)ほどかかるためスポンサーを探しているそうです。
同社では、ロンドンを皮切りにニューヨークなどの金融街にも同様の爆弾テロ対応型ゴミ箱によるデジタルサイネージ・ネットワークを広めたいとしています。
今や世界中でテロが多発する世の中になってしまったので、こういうゴミ箱にも真剣な需要がありそうですね。ただしコストがかなりかかるので、ビジネスとして離陸させるまでがなかなか厳しそうな気もします。
A London start-up has clinched a deal to put 100 pairs of video screens broadcasting an “outdoor financial channel” on to the streets of the Square Mile.
The screens will be housed on the sides of bomb-proof recycling units for newspapers, cans and bottles, located near large employers, busy junctions and Tube stations.
Media Metrica has agreed a 15-year contract with the City of London Corporation to deploy the units free of charge in return for the right to operate the on-street information channel, which will be called Renew.
ウィーンのトラムにもデジタルサイネージが導入されることになりました。
Infoscreen 社の発表によれば、今後5年以内に1,000台のディスプレイをウィーンのトラムネットワークに設置するそうです。
同社では Graz や Innsbruck などオーストリア国内の数都市ですでにバスや地下鉄にデジタルサイネージ・ネットワークを持っており、現在はトラムネットワークの実証実験を行っています。第1段階として 2010年までに 100両のトラムに設置を完了する計画です。
どうやら近いうちに、世界中のバスやトラムのほとんどにデジタルサイネージが設置されることになりそうですね。
Austrian digital signage integrator, Infoscreen, has announced that over the next 5 years it is to roll out 1000 screens across Vienna’s tram network.
The company, which already has digital signage networks on the buses and subways of Vienna, Graz, Innsbruck and Klagenfurt is currently piloting its new tram network. The model sees 5 x 17″ screens installed in the tram carriages. Stage 1 of the plan is to hit 100 trams by 2010.
パリのフランス国立図書館(Bibliothèque nationale de France)の壁面をドイツのハッカー集団 CCC がデジタルサイネージ化したプロジェクトがあります。2002年にアートプロジェクトとして行われました。
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=2pjPapxUrx0]
元々はハッカーたちのユーモアがきっかけで、ベルリン市内のビルの窓を巨大なモニター画面に変えてしまった Blinkenlights というプロジェクト(2001年)が始まりです。
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=VYEBB-0CSiw]
その後ミュージックビデオにフィーチャーされるなどアートシーンにも多大な影響を与えたこのプロジェクトは、メディア・アーキテクチャーと呼ばれる一連の建築物や、メディア・ファサードと呼ばれるアート作品へと受け継がれて行きます。
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=vWL1QOXAcgM]
そして2008年10月にはカナダのトロント市で行われたオールナイト・アートイベント Nuit Blanche Tronto への招待を受け、市庁舎のツインタワーを使った Blinkenlights Stereoscope が実現しています。
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=jTZosieGhIQ&ap=%2526fmt%3D18]
デジタルサイネージが普及するつれて、一昔前にはビデオアートと呼ばれていたようなものが日常の空間に次々と出現している現実を考えれば、現時点ではアート作品と呼ばれているこれらのメディア・アーキテクチャーも数年先には広告や看板のように一般的な存在になっているのかも知れません。
デジタルメディアによって都市の空間にアプローチを試みるメディア・ファサードについては、またあらためて取り上げたいと思います。
交通広告の世界最大手 Titan Worldwide がいよいよ本格的にデジタルサイネージ化に乗り出しました。街中のポスターがデジタルサイネージに置き換えられて行くわけです。
今後3年間に 9,000万ドル(約 90億円)を投じて同社の保有する OOH 広告のデジタル化を進める計画で、まずは交通のハブとなるロケーションを中心に製品のテストを開始しています。
具体的にはロケーションに合わせて以下のようなデジタルサイネージの導入が進められています。
バス車体広告:12フィート(4m弱)の最新 LED パネルと GPS 技術。時間帯、街区、Zip コード、人口統計、人種によって広告ターゲットを分類。2008年末までにシカゴで開始。
プラットフォーム・ディスプレイ:鉄道駅のプラットフォーム広告を大型 HD スクリーンに。シカゴだけでも 1,200面以上になる計画。広告の他、鉄道会社が利用者全員に即座に情報を届けられるようになる。ニュース、スポーツ、天気、エンターテインメントなどのコンテンツも提供予定。
列車内ディスプレイ:GPS 装備の大型 HD ディスプレイを設置して通勤客などに広告やその他の情報を提供。場所と時刻に関連づけられた適切なコンテンツを表示。
街頭の広告パネル:シカゴの地下鉄地上部の広告枠は 2009年初旬にデジタル化。両面 HD スクリーンで時間帯に合わせた広告を表示。
英国内の鉄道駅など:すでに 6 x 4 フィート(約 2 m x 1.3 m)のデジタルディスプレイをロンドン市内に 100枚以上設置したほか、Transvision社と提携して主要17駅に 18面のネットワークを展開中。またロンドンおよびトロントのロードサイドにも大型デジタルパネルを保有。
By the end of 2008, brand new breeds of digital signs will start to change the way brands advertise to consumers and how consumers respond to advertising in the United States, United Kingdom and Ireland. Starting in the key U.S. markets and London (with Ireland and Canada to follow soon) Titan Worldwide will rollout digital signs across its bus, rail and subway portfolio.
With a $90 million investment in digital signage over the next 36 months added to their existing static inventory, Titan’s ambition is to have one of the most seen, flexible and relevant advertising networks in the world.
9月12〜16日までオランダのアムステルダムで開催されたヨーロッパ最大の放送機器展 IBC 2008 のレポートをお届けします。
今回の IBC 2008 では相反する2つの技術トレンドが出てきたところが特徴的でした。つまり、HD や 3D というリッチな映像体験を目指す流れと、IPTV やモバイルTV などのように画像サイズや画質を犠牲にする代わりにインタラクティビティやオンデマンド性などの別の価値をもたらす流れが見られたことです。
そのような技術的トレンドの中で、 IBC 2008 では今年から新たにデジタルサイネージの専用ゾーンが設けられました。放送の世界でもフィルムからファイルベースへの移行が急速に進行しており、デジタルサイネージとの境界もある部分ではなくなりつつあるように感じますが、そのせいかデジタルサイネージ関連の出品も必ずしもデジタルサイネージ専用ゾーンに限ったわけではなく、会場内のあちこちのブースに散らばって展示されている状況でした。
以下では、デジタルサイネージの観点から目を引いたものをいくつかご紹介します。
NOKIA のブースでは場所ごとに広告を設定する「ロケーションベース広告」を提案していました。これはバス・トラム内のデジタルサイネージや携帯型の端末を想定したもので、 端末がその近辺に来ると広告内容が自動的に切り替わるというもの。
Cisco ブースではコンテンツの中央管理とローカル管理を自動的に切り替えられる、新しいタイプのデジタルサイネージを提案していました。これは、指定の時間になるとコンテンツの制御権がローカルに委譲され、セットトップボックスに付属のリモコンなどで自由にテレビを見たり好きなコンテンツを流したりできるというものです。複数の拠点にデジタルサイネージを設置する場合、時間帯によっては表示するコンテンツをそれぞれの拠点の責任者に任せたい場合があり、そのようなケースに対応できるとのこと。
また、3D関連でも面白い製品が展示されていました。よくあるタッチパネル式の情報キオスクですが、 VisuMotion 社のこの製品では上の画面が裸眼3Dモニターになっています。
このほか、IPTV の展示の中にもデジタルサイネージの広告配信に使えそうなものがありました。
MediaFLO のブースでは、携帯電話などの小型端末向けの放送を使って TV 番組以外にもゲームやアプリケーションなどの様々なデータを放送できることを見せていましたが、端末ごとの視聴履歴をサーバー側で把握できるためユーザーの属性を推測でき、ターゲットに合わせて広告を切り替えることが可能になるそうです。
また、USB 端子に接続するタイプの超小型受信機もあり、セットトップボックスなど携帯電話以外の端末にも配信が可能です。
MediaFLO はワンセグによく似たサービスですが、日本国内ではすでに狭い範囲にだけ放送するエリアワンセグを使ったデジタルサイネージの実証実験などが行われています。どちらも QVGA(320×240)と低画質ですが、小型のデジタルサイネージ用などの可能性がありそうです。
最後は展示物ではないのですが、会場内に設置されていた携帯電話用充電スタンドです。各メーカー用のアダプターがあって無料でチャージが可能になっています。日本ではカギ付きのものをよく見かけますが、ヨーロッパではカギの付いていないものがほとんどなので、近くにいる必要があり、その人たちに広告を見せるためのモニターが付いていました。これもデジタルサイネージの一例ですね。
博物館などでも展示内容にデジタルサイネージを組み合わせることで学習効果を高める取り組みが行われています。
ノルウェイ科学博物館の地球温暖化に関する展示では、温暖化による海面上昇を体感するため 10cm の深さに水を張った展示室があり、長靴を履いて中に入ると床に埋め込まれたフットスイッチでクイズに答えるというコンテンツが用意されています。クイズの答えと参加者の正解率がリアルタイムで集計されて前面に設置されたスクリーンに映写されるようなインタラクティブな仕掛けが施されており、楽しみながら学習できるように工夫されています。
広告媒体や販促ツールとしてだけでなく、博物館や企業内などの教育現場にもデジタルサイネージの活用される領域が広がっています。
Spectacular effects are used in this exhibition to show the causes and effects of global warming. The exhibition raises questions about our political choices, consumer behavior and technology development.
(The Norwegian Museum of Science and Technology Uses Interactivity to Engage and Teach Visitors より、一部引用)