日本初のデジタルサイネージ・コンサルタント、デジタルサイネージ総研(TM)が国内および海外の最新情報や市場の動向をお届けします
今年に入ってから流通系のデジタルサイネージ媒体事業が立て続けにスタートしています。イオンの場合2010年までに250店舗規模に導入、ローソンの場合2012年までに首都圏2000店舗に設置するとの事です。先日の日経新聞にも日本のセブン&アイ・ホールディングスがデジタルサイネージを開始する事がリリースされました。イトーヨーカ堂とセブン-イレブン・ジャパンの東京都内の12店に導入を行い、効果を見ながら全店への導入を検討されるようです。全国規模のチェーンストアが店舗網を生かした媒体事業を行う場合、店舗数やディスプレイの面数が媒体の力を計測する大きなファクターになります。
新興国のように、これからチェーンストアがあらゆる業態で店舗数を拡大させていくのなら、サイネージの媒体事業化も比較区取り組み易いでしょう。店舗の拡大に合わせて、ある意味大雑把な形でも端末自体のインストールが進んでいきます。しかし、日本の場合は既にチェーンストアの業態が成熟しており、海外のメディアの言うところの「洗練された消費者」が多いため、マーケティング、店舗デザイン、VMDの観点からも検討に検討を重ねた上でなければ導入は進みません。日本のリテールサイネージの導入過程を関係者に聞くと、どちらの事業者も実証実験にはかなりの時間をかけています。そうした意味でも大規模な事例が進んでいくスピードは海外に比べると遅くなってしまいます。
日本型のデジタルサイネージを考えた場合、面数規模の大きさだけで価値を図るのは現実的でないように思います。そのことを感じさせる事例がひとつあるので紹介します。都内にお住まいの方であればご覧になった事がある方も多いかと思いますが、山手線の池袋駅ホームにあるJR東日本ウォータービジネスさんが設置されている「mediacure(メディアキュア)」という媒体です。


これは飲料のベンディングマシーンとデジタルサイネージを一体化させた広告媒体です。池袋という山手線の中でも乗降客数が非常に多い駅で、反対側のホームからも視認性が高まるように高輝度の46インチの液晶ディスプレイを2台設置しています。広告で興味を持った人がすぐに自販機で飲料を購入できるのが、シンプルですが良くできた仕掛けです。またブース内に設置された携帯端末リーダーを使って特定のURLに誘引するキャンペーン施策も可能です。
システムを導入したのはPDCさんで、駅ホーム内には光ファイバー等の回線を引くことが困難だったため、3Gの回線を使ってサーバーと接続をしています。
JR東日本ウォータービジネスさんの行った池袋駅を利用する100名に行ったアンケートによると57.2%の方がブースの存在を知っており、12.3%の方が実際に飲料を買った事があると回答しているそうです。(日経MJより引用) 非常に認知度も高く、コミュニケーションの設計もしっかりとしている事例ではないでしょうか。広告枠としては2ヶ月毎に広告主が変わる形になっていますが、販売も順調で媒体として採算ベースに乗っているようです。このようにロケーション数が少なくてもデジタルサイネージ媒体として成り立つ形のものが、ある意味日本的なデジタルサイネージと言うことができるのではないでしょうか。
こうした局所的なサイネージ媒体が、渋谷や新宿、東京といったターミナル駅で連携していくスタイルとスケール感のあるリテールサイネージの住み分けがポイントになってくるかもしれませんね。
ヨーロッパでは日本よりもデジタルサイネージの導入が進んでおり、様々な事例が見られます。
以下のムービーはロンドン・アムステルダム・ドイツ各地で撮影したデジタルサイネージの事例をまとめたレポートです。
今後は生活のあらゆる場面でデジタルサイネージが使われるようになるだろうということがわかると思います。
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=-PVad4zP8o8&ap=%2526fmt%3D18]
モスクワでもいよいよ地下鉄の広告媒体が全面的にデジタルサイネージ化されるようです。
モスクワの公共交通機関の広告媒体を取り扱う代理店 Olympus は、紙のポスター、LED、その他の既存媒体をすべて最新のプラズマディスプレイによるデジタルサイネージに置き換える計画です。
新たなディスプレイは、同市の地下鉄にすでに設置されている総計 5,000 枚のインフォメーションディスプレイ・ネットワークに追加されます。
同社では現在行っている静止画像による広告も新しい動画コンテンツに切り替える作業を進めているそうです。
Olympus, the media agency in charge of advertising on public transport in Moscow, plans to replace all paper posters, LED screens and other older advertising media with a new generation of plasma screens.
(Moscow metro goes all-digital より、一部引用)
ドバイ空港の利用者は今年 4,000万人でしたが、2012年までには 6,000万〜7,500万人にまで膨れ上がると予測されています。
フランスの屋外広告メディア大手 JCDecaux と現地企業の合弁会社 JCDecaux Dicon がドバイ空港のデジタルサイネージに関して 10年間の独占契約を交わしました。
JCDecaux の今年の大型契約としては、以前にご紹介したロンドンヒースロー空港ターミナル5の件もありますね。
The airport (pictured) will see 40m passengers pass through this year, but that figure should increase to 60m by 2012 and eventually to 75m annually as expansion continues.
(JCDecaux plans interactive screens in Dubai airport より、一部引用)
今後、新しく建設される空港では、広告媒体がデジタルサイネージオンリーになるのだろうと思います。なぜなら今年3月にオープンしたロンドンのヒースロー空港ターミナル5では、従来のポスターが姿を消し、美しくデザインされた高精細のデジタルスクリーンが設置されているからです。
この空港では、建物の設計段階からデジタルサイネージの導入が考慮されているはずで、広告枠の配置計画も含めてデザインされているため、非常に心地よい空間になっています。
表示されるコンテンツもクオリティが高く、見ていて気分のいいものが多いです。いわゆるコマーシャルというよりは、コミュニケーションあるいはインフォアートとでも呼んだ方がしっくり来るような内容です。これからの広告はこのような方向に進んで行くのではないでしょうか。
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=Nyb4OB0qlFI&ap=%2526fmt%3D18]
ちなみに、このターミナルの大型 LCD モニターには全て Samsung と JCDecaux のロゴが入っていました。
巨大建設プロジェクトが目白押しの中東ドバイで、まもなく完成の人工島を結ぶモノレールに日本製のデジタルサイネージが採用されました。
このモノレールシステム(全長5.4km、駅数4箇所)は丸紅が建設を請け負っており、デジタルサイネージの導入はドバイ企業の Adventure Digital 社が担当、シャープがハードウェア納入して 2009年4月にオープンの予定です。完成後は毎日4万人の乗客に運行状況などを表示することになります。
それにしても、この人工島のデザインはすごいですね。上空から見るとヤシの木の形をしています。海岸線の総延長は 520キロにも及ぶそうです。
Plans call for a total of 24 screens, all of them 52-inch LCD units, to be installed at the four main monorail stations (Atlantis, Trump Tower, Retail Plaza and Gateway Towers) on the Palm Jumeirah complex. They will be linked into a network running through the monorail tunnels.(Dubai monorail screens will reach visitors to new island より、一部引用)
アメリカではすでにこんなデジタルサイネージを搭載したタクシーが街を走り回っているようです。

広告主は好きなときに映像を変更でき、GPS で指定した場所にだけ広告を出すことも可能。広告費は15秒の広告表示1回あたり $0.2 以下で、タクシー1台あたり月間 13万本の広告を表示できます。
32インチの LCD 2枚を両面に搭載し、広告コンテンツの入れ替えは無料。いつどこでどの広告を表示したかのレポート付きです。
米 Clear Channel outdoor では、このタクシー上のデジタルサイネージ 300台と全米のデジタルビルボード 250カ所で大統領選挙の開票速報をリアルタイム配信するそうです。更新は RSS を使って行われます。
その他にも FBI の犯罪者情報の掲示、児童誘拐情報(Amber Alert)などの公共的媒体として利用されています。
単なる広告枠ではなく、市民の役に立つ情報掲示板にもなるところが、これまでの看板とは大きく違うと言えそうです。
Electronic LCD Tops allowing the utmost in client control. Send text and graphics to the top when you want it. The GPS system allows ads to run in specific areas of the city, or just on a specific street. The client controls the vibrant graphics, vibrant flash animation and vibrant copy capabilities.
(Digital Smart Tops | Clear Channel outdoor digital networks より、一部引用)