日本初のデジタルサイネージ・コンサルタント、デジタルサイネージ総研(TM)が国内および海外の最新情報や市場の動向をお届けします
世界中の地下鉄、バス、空港などのデジタルサイネージ・ネットワークを使ったフィルム・フェスティバルが開催されます。
来年5月に開催される Art By Chance はアメリカ、カナダ、トルコ、オランダ、ドイツの 15都市で同時開催され、通勤客などに 30秒間のサイレント・ムービーによるアートを提供します。
現在作品を募集中で、応募期限は 2009年3月20日です。30秒間の無音のムービーで、広告やプロモーション以外のコンテンツであれば応募できます。
今年9月にもトロントでデジタルサイネージ・ネットワークを使った映画祭が開催されていますが、日本はまだ参加できる状況にないのが残念ですね。
デジタルサイネージが受け入れられるためには、広告だけではなくアートイベントでの活用など市民にエンターテインメントを提供するような仕掛けも有効だと思います。
Organisers of the Art By Chance festival, scheduled to take place in May in 15 cities across the U.S., Canada, Turkey, the Netherlands and Germany, say it “will present urban dwellers with stimulating content, thus colouring the time slices that are usually considered dead”.
米ポーツマス市(写真)ではデジタルサイネージを使ったカーディーラーの看板が急増しており、同市計画局では条例の見直しを進めています。
新しい条例では住宅地区、商工業地区など複数の広告ゾーンを設けてそれぞれに規則を定める計画で、来年3月に施行されるまでの暫定措置として、複数のデジタルビルボードに対してコンテンツの表示切替えの頻度を下げるよう要請が出されました。
先日もテネシー州 Knoxville でのデジタルビルボード差し止めを巡る裁判の事例についてお伝えしましたが、デジタルサイネージや屋外ビジョンに関する法律の整備が必要です。
一方で、デジタルサイネージ・ネットワークの利点を活かして、犯罪抑制のための情報など公共性の高いコンテンツを表示することで存在意義を持たせる事例もいろいろと出てきてます。単なる広告媒体ではなく公共性の高い媒体にすることができれば、闇雲に禁止・規制されることは避けられるのではないでしょうか。
The latest U.S. row over the proliferation of advertising signage has broken out in the city of Portsmouth, New Hampshire, where authorities are now reviewing regulations after an explosion in the number of out-of-home promotions operated by car dealers.
(Car dealers have too many ads, city says より、一部引用)
先日もテネシー州 Knoxville での市と広告会社との裁判の事例をご紹介しましたが、ロサンゼルスの街でもデジタルサイネージによる広告公害の問題が持ち上がっているようです。
住民側は、スカイラインに並ぶ多数のデジタルビルボードにより居住者の視覚環境(visual environment)が損害を受けているとしてロビー活動を展開し、市当局も環境に関する州法に照らしてデジタル看板に関する規制を見直す必要があると発表したようです。ロサンゼルスでは現在、6ヶ月間に渡り新たなデジタル看板の設置が停止されています。
実は、2002年にロサンゼルス市はプラズマパネルを使った新しいビルボードの設置申請をいったん却下しているのですが、それに対して看板会社が市の条例は無効であるとして訴えを起こし、結果として 850箇所の看板をプラズマスクリーンのデジタルビルボードに置き換える許可を得たという経緯があります。
ブラジルのサンパウロ市でも屋外看板を禁じる法律が施行され、街中の看板が撤去されたという事例があります。
従来の看板に比べて格段にインパクトがあることから、景観の問題はデジタルサイネージにとって避けて通れないものかも知れません。
A blazing row is continuing to rage in Los Angeles after the city council gave its approval to upgrade hundreds of the city’s billboards to plasma technology.
(LA residents say digital ads are “stealing the night” より、一部引用)
街中にデジタルサイネージが増えすぎると交通標識との干渉や景観の問題などが持ち上がってくるというのは容易に想像できるわけですが、アメリカではデジタルビルボードを巡る論争がいくつも起こっているようです。
テネシー州の町 Knoxville では、ビルボード(大型看板)のデジタル化を巡って 2006年から続いてきた論争が裁判に発展しています。
市の見解ではデジタル化はビルボードの新規設置に相当し、大型看板の新たな設置を禁じた法律に抵触するとのこと。一方、広告会社側は既存の看板をデジタル化するだけであり問題はない上、差し止め命令は表現の自由を制限するものだとして法廷で争う意向です。
以前にもサンパウロ市で屋外看板がすべて撤去された事例について書きましたが、景観や広告公害の問題もあるので、コンセンサスの醸成と法整備が必要ですね。
Lamar Advertising is taking the city of Knoxville, Tennessee to court after a long-running dispute over conversion of two billboard sites to digital.
(Lamar takes city to court over digital billboard ban より、一部引用)
アメリカではすでにこんなデジタルサイネージを搭載したタクシーが街を走り回っているようです。

広告主は好きなときに映像を変更でき、GPS で指定した場所にだけ広告を出すことも可能。広告費は15秒の広告表示1回あたり $0.2 以下で、タクシー1台あたり月間 13万本の広告を表示できます。
32インチの LCD 2枚を両面に搭載し、広告コンテンツの入れ替えは無料。いつどこでどの広告を表示したかのレポート付きです。
米 Clear Channel outdoor では、このタクシー上のデジタルサイネージ 300台と全米のデジタルビルボード 250カ所で大統領選挙の開票速報をリアルタイム配信するそうです。更新は RSS を使って行われます。
その他にも FBI の犯罪者情報の掲示、児童誘拐情報(Amber Alert)などの公共的媒体として利用されています。
単なる広告枠ではなく、市民の役に立つ情報掲示板にもなるところが、これまでの看板とは大きく違うと言えそうです。
Electronic LCD Tops allowing the utmost in client control. Send text and graphics to the top when you want it. The GPS system allows ads to run in specific areas of the city, or just on a specific street. The client controls the vibrant graphics, vibrant flash animation and vibrant copy capabilities.
(Digital Smart Tops | Clear Channel outdoor digital networks より、一部引用)
米大統領選挙もいよいよ大詰めですが、最近はアメリカでも若年層を中心に投票率が低下しているそうで、デジタルサイネージを用いた合衆国政府後援のキャンペーンが張られています。
アメリカでは18歳以上の国民に選挙権があることから「18 in ‘08」と題された政府のプロジェクトで、今年はじめて選挙権を得る 3,000万人の若者をターゲットにした「Shop The Vote」キャンペーンが展開されています。
全米 1,500箇所のインストア・デジタルサイネージでプロモーション映像を流すほか、YouTube を使ったオンラインメディアやモバイルキャンペーンを併用します。
店舗内のデジタルサイネージは、オンラインやモバイルと並び、こうした若年層にアクセスするための重要なメディアとなっています。
The US Government supported ‘18 in ‘08′ project has launched a digital out-of-home Public Service Campaign to engage and persuade young people to vote in the forthcoming elections. The ‘Shop The Vote’ campaign aims to target the more than 30 million first time voters, through digital media in retail, on-line and mobile.
Videos starring a range of personalities, including Olivia Wilde, Peter Sarsgaard, Angell Conwell, Barbara Boxer, John Kerry, Chris Dodd, Chuck Hagel and will be shown on the A3M digital signage network in 1500 For Your Entertainment and Journeys stores nationwide.
(Access Media Runs ‘Shop The Vote’ Digital Signage Campaign より、一部引用)

アメリカの巨大メディアグループ Clear Channel Communications のデジタルサイネージネットワークが、18歳のグラフィティ・アーティストにハッキングされたというニュースがありました。
supertouch blogによると、グラフィティ・アーティストSKULLPHONEがメディアグループClear Channelの電子看板ネットワークをハッキング、ロサンゼルス周辺10か所のデジタルビルボードを自分のトレードマークである「骸骨と携帯」イメージで乗っ取ることに成功したとのこと。
(18歳のグラフィティ・アーティスト、LA周辺10か所の電光掲示板をハッキング - Engadget Japanese より一部引用)
結局、このニュースは一部間違いで、続報(SKULLPHONEのデジタル看板「ハッキング」、実は有料広告)によると「単に1日分の料金を支払って掲載された正規の広告にすぎなかった」ようですが、広告手法としてはちょっと面白いように思います。
一方で、デジタルサイネージを使って発信される情報の信頼性に対する警告の意味もあったのかな、と感じました。まだテレビのように法規制が整備されていない新しいメディアであるだけに、広告なのかニュースなのかハッキングされたものなのか、にわかに判別できないとしたら危なっかしいところがあります。
その辺りのガイドラインづくりは、公共スペースへの機器設置の際の安全基準などと共に、今後整備を急ぐ必要があるでしょう。