日本初のデジタルサイネージ・コンサルタント、デジタルサイネージ総研(TM)が国内および海外の最新情報や市場の動向をお届けします
巨大なデジタルサイネージを用いて、ビルの壁面が巨大な映像装置になったような建物が世界各地にでき始めています。すでにタイムズスクエアだけの話ではなくなっているのですね。
以前、サイネージ建築(Media Architecture)の可能性という記事でメディア・アーキテクチャー(Mediaarchitecture)についてご紹介しましたが、ヨーロッパではこうした建築物の表面を使ったビデオ映像による表現が「メディア・ファサード」いうひとつのジャンルを形成しており、アートフェスティバルも開催されているという状況です。
> Mediaarchitecture » Media Facades Festival 2008
今後は、建築の一部としてデジタルサイネージが組み込まれ都市の景観を形作っていくというのが当たり前になるのかも知れません。
これはオーストリアの Graz という街の美術館に設置されたもので、蛍光灯のサークル管を使ってうねうねとした建物の壁に沿って取り付けられています。
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=Uq1lkrtAJ_0]
こちらも蛍光灯を使ったシステムで、ドイツのものです。
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=jsupzIjagR4]
次は東京の銀座にあるシャネル・ビルの壁面です。雨に合わせたコンテンツが表示されています。
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=7pA5RESEaOQ]
最後はマカオのカジノのビルです。ラスベガス以上に派手ですね。上の事例に比べると「電飾」的な色合いが濃くなります。メディア・ファサードというよりは看板建築という感じでしょうか。
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=yKrpA7Z3KeY]
欧米の病院でスタッフや医師の間の情報共有と来院者に対する情報提供を行うデジタルサイネージの導入が増えているようです。
先日ご紹介したジョージ・ワシントン大学病院での事例と同じく、英バーミンガム市の大学病院でもデジタルサイネージとスタッフの PC 画面のスクリーンセーバーを組み合せたシステムが採用されています。
5,000台の PC 画面とリンクされた 75台の 42インチ LCD ディスプレイ(写真)を使って、6,900人のスタッフと年間 100万人の患者にリアルタイム情報を提供するシステムは、Saturn Communications Group の Connectvision というシステムです。
導入の理由は、古い情報や誰が管理しているのかわからないメッセージが掲示板に貼られたままになっている状況があったためで、新しいデジタルサイネージでは、患者向けの LCD ディスプレイで病院からのお知らせ、レストランのメニュー、トレーニング情報、交通情報、天気予報や全国ニュースなどを表示し、スタッフ向けの PC 画面では手洗いを促すアラートや節電などの運営上の連絡事項などを表示しています。
Two hospitals in the British city of Birmingham have combined digital signage with screen-savers on staff PCs to communicate with healthcare workers, patients and visitors alike.
(Hospital network combines digital signage, PC screens より、一部引用)
2009年4月のオープンに向けて13億ドル(約1,240億円)で建設中の新しいヤンキースタジアム(New York)では、1,100台のデジタルサイネージが設置されます。
約1,600万ドル(約15.3億円)で Cisco 社が受注したこのデジタルサイネージシステムでは、ファンが一瞬でもプレイを見逃す心配がないように、レストランやトイレなどあらゆる場所に HD のフラットパネルディスプレイを設置し、試合の前後に選手の成績情報やバッティング練習の様子などを放映するほか、ハイライト映像やアーカイブ、プロモーションメッセージ、周辺の交通情報なども表示します。
さらに、病気などで球場に来られないファンと選手が直接ビデオチャットできるシステムや、タッチパネル式の携帯端末から食べ物やグッズをオーダーできるシステムもスイート席には装備されるそうです。
The technological prowess acquired by the Yankees includes the ability to program 1,100 flat-panel, high-definition TV monitors with live game coverage, archival and highlight video, statistics, promotional messages and weather and traffic updates.
(Triple Plays at New Yankee Stadium - Video, Internet, Voice より、一部引用)
ある意味、究極のデジタルサイネージといえそうな Panasonic Lifewall を見てきました。CEATEC 2008 でも発表され、海外での評価も非常に高かったものですが、お台場のパナソニックセンターで見られるようになりました。
壁が一面ディスプレイになっていて、身振りで操作できるインターフェイスを備えています。壁の模様替えをしたり、デジカメから写真を選んで飾ったりというデモのほか、ビデオ会議風に遠隔地からバイオリンのレッスンを行うなどの活用シーンを見せてくれます。
リアプロジェクションなので壁の裏に隠し部屋が必要になってしまいますが、将来的には家庭でも使われる日が来るのかも知れません。In-Home っぽい製品ですが、名古屋のミッドランドスクエアに導入されているらしいです。
以下は CEATEC 2008 でのデモンストレーションの様子です。
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=c60-wV7fu04]
こういうのを見ると、デジタルサイネージの可能性は無限に広がっているのでは、という気がします。
私の考えでは、視聴者の注意を引こうとするアテンション・メディアは、メディアの密度が一定値を超えたところで効果がなくなるため、今後はアンビエント・メディアの方に可能性があるのだろうと思っています。
その意味でもこの事例は最先端を行っていると言えますが、情報を伝えるだけでなく、体験を提供できるところにアンビエント・メディアの大きな可能性を感じます。
このほかにもメディア・アーキテクチャーやメディア・ファサードのようにもっと規模の大きい事例もご紹介してきましたが、映像で環境をつくってしまうのがアンビエント・メディアということの意味でしょう。
それでは、この素晴らしいファッションショーをお楽しみください。
[youtube:http://jp.youtube.com/watch?v=CCcTRjxP-Fc]
博物館などでも展示内容にデジタルサイネージを組み合わせることで学習効果を高める取り組みが行われています。
ノルウェイ科学博物館の地球温暖化に関する展示では、温暖化による海面上昇を体感するため 10cm の深さに水を張った展示室があり、長靴を履いて中に入ると床に埋め込まれたフットスイッチでクイズに答えるというコンテンツが用意されています。クイズの答えと参加者の正解率がリアルタイムで集計されて前面に設置されたスクリーンに映写されるようなインタラクティブな仕掛けが施されており、楽しみながら学習できるように工夫されています。
広告媒体や販促ツールとしてだけでなく、博物館や企業内などの教育現場にもデジタルサイネージの活用される領域が広がっています。
Spectacular effects are used in this exhibition to show the causes and effects of global warming. The exhibition raises questions about our political choices, consumer behavior and technology development.
(The Norwegian Museum of Science and Technology Uses Interactivity to Engage and Teach Visitors より、一部引用)
どういうわけかデジタルサイネージ関連企業が集中しているカナダですが、トロントでデジタルサイネージ・ネットワークを使った映画祭が開催されます。
北米最大の映画祭であり世界三大映画祭のひとつでもあるトロント国際映画祭と同時開催されるトロント都市映画祭(Toronto Urban Film Festival)は、トロントの地下鉄で ONESTOP Media Group が運営する250面以上のデジタルサイネージ・スクリーンを使って、1分間のサイレント映画作品を次々と上映するというもので、フェスティバル最終日にはオンラインで一般投票が行われ受賞作品が決まります。1週間の観客数は約100万人。世界中の誰もが無料で作品を応募でき、実際に上映されれば賞金も支払われます。
こういうデジタルサイネージの使い方も素敵ですね。
Art for Commuters and ONESTOP Media Group announce the return of the Toronto Urban Film Festival (http://www.torontourbanfilmfestival.com) to Toronto Transit Commission (TTC) subway screens, September 5 - 12, 2008. Commonly known as TUFF, the festival runs concurrent with The Toronto International Film Festival (TIFF), and is the first and largest of its kind in North America.
(Toronto Urban Film Festival - June 11, 2008 Press Release より、一部引用)
また、トロントの地下鉄では5月にもデジタルサイネージを使った写真展が開催されています。この展覧会は昨年から行われており、10分ごとに30秒の枠を設けて1日に2作品ずつ展示し、1ヶ月間で62作品を展示します。
‘Contacting Toronto’ is showcasing a total of 62 photographic stories in 31 days to over 1 million people weekly. The photos are showing on more than 250 platform screens in over 40 stations throughout the TTC. The exhibit airs once every 10 minutes and features two different photographers a day in 30-second blocks of time.
(DailyDOOH » Blog Archive » ONESTOP Media Group Gives Free Space to Art より、一部引用)
デジタルサイネージの普及につれて街中に HD のディスプレイが増えているわけですから、メディアアートなどとの接点もいろいろと生まれてきそうです。