日本初のデジタルサイネージ・コンサルタント、デジタルサイネージ総研(TM)が国内および海外の最新情報や市場の動向をお届けします
建物全体をディスプレイにしてしまおうという発想(Media Architecture)が最近出てきていますが、今回はイスラエルと日本のコラボレーションによる、画期的なデジタルブリックウォール(Digital Brick Wall) 「SmartBricks」です。イスラエルMagink社の反射型ディスプレイ技術により、建築物の内壁と外壁の色と質感をデジタルに変えることができます。

Magink社の太陽光反射パネルは、以前OOH技術のグリーン化の記事でも少し紹介 しましたが、このSmartBricksはMagink社と、Denpeki Kaihatsu社による共同開発プロジェクトで、Denpeki Kaihatsu社は、非接触充電システムを開発するイスラエルPowermat社と清水建設の合弁会社です。
SmartBricksは、Magink社の世界発フルカラー反射型電子インク(digital ink)技術により、太陽の周辺光を反射して発光します。光源を必要としないので、低電力消費でハイパフォーマンス、且つ薄くて軽いデジタルウォールが実現。従来の方式と違い、昼間もきれいに見えるところも大きなポイントです。
生活環境における美学的属性への意識が高まってきている中、SmartBricksは、定期的に住環境の外観や内装を変えて人々の視覚的志向を満たします。サイネージが建築に組み込まれ、建物と一体となって空間を演出する、サイネージ自体が建物の外観になる、という新しいコンセプトが広まってきています。
Denpeki社は、Magink社のグリーン技術を効果的に安全に壁に埋め込む為のマテリアルを提供しています。
今年中の製品化を目指すとのことです。
(Magink Joins with Denpeki to Create First-Ever Digital “Brick Wall より一部引用)
なお、Denpeki社は前述のとおりPowermat社と清水建設の合弁会社ですが、このPowermat社から非接触充電の技術の提供を受け、充電機能を壁に埋め込んだElectric Wallを開発中との情報です。Powermat社の非接触充電システムは、電力の伝送効率が93%と高く、磁気結合にRFID技術を組み合わせて電力の伝送先を識別します。例えば壁掛けTVに壁から給電できるというわけです。こちらもかなり興味深いです。
ちなみにPowermat社のCEOは、Magink社の創始者であり元CEOです。07年にPowermat社を創立しました。
(HoMedics/PowerMat Enter Joint Venture to Deliver Invisible Connectivity for Safe より一部引用)
米フィラデルフィアにとんでもないデジタルサイネージが登場です。
先月初めフィラデルフィアのダウンタウンにグランドオープンした Comcast Center ビルのロビーには 25.38m x 7.74m の巨大 LED ビデオウォールが設置されています。4.6mm ピッチの LED モジュールを 6,771個パネリングしたもので、1,000万ピクセルの解像度(FullHD の約5倍)を誇ります。
この超巨大デジタルサイネージは、米国最大手のケーブルTV会社である Comcast と不動産大手の Liberty Property Trust が建設したスカイスクレイパーのロビーにあり、7層吹抜けになったガラスのアトリウムで一般市民に公開されています。
コンテンツはニューヨークの Niles Creative Group が手がけたもので、建築そのものと一体化して見えるようにつくり込まれているため、ほんとうにそこにモノが存在しているようなリアリティを幻出しています。
前置きはこれくらいにして、とにかくビデオをご覧ください。
[youtube:http://youtube.com/watch?v=BO6ty5RfnrA&ap=%2526fmt%3D18]
LED パネルが隅から隅まで隙間なく設置されているうえ、周囲の(リアルな)壁面を構成する木製パネルが画面上でも精密に再現されているため、本物と映像との見分けがつかなくなり、壁の手前にモノが表れたり、本当に人がいるかのように見えてしまいます。
コンテンツは人工知能を応用したシステムにより曜日や時間帯、ホールの利用内容などに応じて自動調整され、現実とイリュージョンの境界を行き来するような見事な体験を1日18時間にわたって市民や観光客に提供します。この Comcast Experience プログラムは、Comcast 社のメッセージを鮮明に焼き付けるだけでなく、ビルのオーナーにとっても建物の不動産価値を引き上げる意味があります。また、単なるデジタルサイネージとしてではなく、公共の空間にアーティスティックな焦点となるようなスペクタクルを提供する全く新しいメディアとして取り組んだ結果、このような素晴らしいものが生まれたそうです。
バックエンドを支えるのはグローバル企業である Barco 社の LED システムで、4,000:1 のコントラスト比を持つブラック LED が使われています。
ある情報によれば、このデジタルサイネージには 2,200万ドル(約 22.5 億円)もの費用がかかっているそうですが、フィラデルフィアの新たなエンターテインメントとして観光の目玉になることは間違いないでしょう。
ところで、アメリカのデジタルサイネージ EXPO は毎回注目すべき事例のある都市で開催されてきていますが、今年秋の開催地にフィラデルフィアが選ばれた背景はこれでしょう。ちなみに昨年のシカゴの時はハイアット・リージェンシーホテル、今年のラスベガスは数多くのカジノに導入されたデジタルサイネージの事例が理由だったものと思われます。
最後に Comcast Experience の写真をあと何枚か載せておきます。やっぱりアメリカはスゴいですね。