日本初のデジタルサイネージ・コンサルタント、デジタルサイネージ総研(TM)が国内および海外の最新情報や市場の動向をお届けします
最近ちょっとづつニュースにその高さが報じられている東京スカイツリーですが、そのお膝元でローカルなデジタルサイネージの事例を見つけました。某不動産チェーンの支店なのですが、店頭にディスプレイを設置して来店を即す施策を行っています。まずは見ていただきましょう。
[youtube:http://www.youtube.com/watch?v=I93cyqjC9V0]
こちらの店舗は交差点の角地にも不動産物件を掲出する無人のスペースがあるのですが、本店は少し奥まった場所の2階にあります。そこで人のいるお店にお客さんを誘導するためにデジタルサイネージ(実際には家庭用液晶テレビ)を利用されています。1分半ほどの映像ですが、押し付けがましい雰囲気もなくシンプルに伝えたいメッセージを発信しています。
ポイントとしては
といったことがあげられると思います。テレビCMではない、デジタルサイネージ専用のコンテンツとしてちょっと良い印象をうけました。朝九時ぐらいに店員さんがモニターの電源を入れている店員さんに聞いてみたところ、「店長のアイデアです。」との事でした。このお店の事例のようにチェーンの本部が決められた情報を発信するだけではなく、各店舗ごとに発信したい情報を自分たちでカジュアルにつくっていくことが、これからのデジタルサイネージには必要なんでしょうね。
購買ポイントの近くに設置されるデジタルサイネージは、強力なプロモーションメディアとして期待されています。今回は、(株)メディアコンテンツファクトリーさん運営の医療機関待合室サイネージ「メディキャスター」を、製薬メーカーの医療用医薬品プロモーションへ活用した事例を紹介します。
<メディキャスターの放映風景> ※待合室で、手持無沙汰な来院者向けに放映
■医療用医薬品のプロモーションへの活用
来院する患者は医師に自分の症状を訴え、それに対し薬(=医療用医薬品)が処方(販売)されます。つまり、薬が処方されるタイミングが製薬メーカーの購買ポイントであり、医師と患者が向きあう診察室が売り場といえるのです。
テレビで、「その症状は病気です。医師にご相談ください。」という広告を見たことはありませんか?
ドライアイや男性脱毛症、EDなどが代表的な例です。これは製薬メーカーによる疾患啓発広告と呼ばれるものですが、自宅でくつろいでいるタイミングで疾患情報を伝えても、なかなか医療機関に足を運ばないことが課題となっています。
院内待合室デジタルサイネージはこの課題をクリアするメディアと言えます。来院者は待ち時間に疾患啓発広告を視聴し、気になった場合は直後の診察で即相談できるため、潜在患者を効率的に受診につなげることができます。
<院内における疾患啓発>
■院内待合室デジタルサイネージでの疾患啓発の効果
(株)メディアコンテンツファクトリーでは、COPD(慢性閉塞性肺疾患)について、製薬メーカーと共同で疾患啓発広告を制作・放映しました。2か月の放映終了時点で、医師へアンケート調査を行ったところ、54%の施設でCOPDの患者が増加し、放映施設平均7.7人増加しました。
相談者:+14.1人、 検査・治療実施者:+7.7人
この数値は、ターゲット500施設において1年間この取り組みを実施すると、その施設での直接的な売り上げ増加効果は最大3.4億円(薬価ベースでの試算、メディアコンテンツファクトリー)が見込まれ、投資対効果は10倍以上となります。また、二次的な処方や医師へのプロモーション効果など、直接的な売上には表れにくい効果も期待できます。
■まとめ
デジタルサイネージでは、その場に集まる人たちの行動に合わせ、ピンポイントの情報を送ること強みといえます。今回は、視聴者である患者の関心の高い“疾患”について、広告コンテンツとして放映しました。デジタルサイネージでは、その場所・タイミングに合わせ、如何に視聴者が注目するコンテンツを広告として見せられるかが、成功のカギといえるのではないでしょうか。
欧米の病院でスタッフや医師の間の情報共有と来院者に対する情報提供を行うデジタルサイネージの導入が増えているようです。
先日ご紹介したジョージ・ワシントン大学病院での事例と同じく、英バーミンガム市の大学病院でもデジタルサイネージとスタッフの PC 画面のスクリーンセーバーを組み合せたシステムが採用されています。
5,000台の PC 画面とリンクされた 75台の 42インチ LCD ディスプレイ(写真)を使って、6,900人のスタッフと年間 100万人の患者にリアルタイム情報を提供するシステムは、Saturn Communications Group の Connectvision というシステムです。
導入の理由は、古い情報や誰が管理しているのかわからないメッセージが掲示板に貼られたままになっている状況があったためで、新しいデジタルサイネージでは、患者向けの LCD ディスプレイで病院からのお知らせ、レストランのメニュー、トレーニング情報、交通情報、天気予報や全国ニュースなどを表示し、スタッフ向けの PC 画面では手洗いを促すアラートや節電などの運営上の連絡事項などを表示しています。
Two hospitals in the British city of Birmingham have combined digital signage with screen-savers on staff PCs to communicate with healthcare workers, patients and visitors alike.
(Hospital network combines digital signage, PC screens より、一部引用)
世界中の地下鉄、バス、空港などのデジタルサイネージ・ネットワークを使ったフィルム・フェスティバルが開催されます。
来年5月に開催される Art By Chance はアメリカ、カナダ、トルコ、オランダ、ドイツの 15都市で同時開催され、通勤客などに 30秒間のサイレント・ムービーによるアートを提供します。
現在作品を募集中で、応募期限は 2009年3月20日です。30秒間の無音のムービーで、広告やプロモーション以外のコンテンツであれば応募できます。
今年9月にもトロントでデジタルサイネージ・ネットワークを使った映画祭が開催されていますが、日本はまだ参加できる状況にないのが残念ですね。
デジタルサイネージが受け入れられるためには、広告だけではなくアートイベントでの活用など市民にエンターテインメントを提供するような仕掛けも有効だと思います。
Organisers of the Art By Chance festival, scheduled to take place in May in 15 cities across the U.S., Canada, Turkey, the Netherlands and Germany, say it “will present urban dwellers with stimulating content, thus colouring the time slices that are usually considered dead”.
PRN(Premier Retail Networks)がウォルマートで行った地球環境月間のグリーンキャンペーンの事例です。
現在 7,390 店舗を展開し、年間2億人以上の利用客を持つウォルマートの買い物客に向けて、地球に優しい商品のプロモーションを行うと共にウォルマートのブランドイメージを高めるのが目的のキャンペーンで、“Save Money, Live Better” のウォルマートのキャッッチコピーのうち、後半の “Live Better” の部分に焦点を当てた展開です。
24〜39歳の母親層、10代の若者や大学生といった、安さに最も関心のある顧客層に対して環境的な利益を訴えるため「2億人のウォルマート利用者がそれぞれ環境のために小さな選択を行うことで、将来の子どもたちの世代のために大きな変化を起こすことができます」というメッセージングを行い、大きな成果が得られたそうです。
このキャンペーンは Digital Signage Expo East 2008 のコンテンツ部門で Award を受賞しています。
The campaign succeeded in conveying the truly significant benefits that can be achieved by Walmart’s 200-million-plus customers when the impact of purchasing environmentally friendly products is demonstrated with maximum effectiveness.
(CASE STUDY: Premier Retail Networks Rolls Out a Green Campaign for Earth Month at Walmart より、一部引用)
米ワシントン州のジョージ・ワシントン大学病院では、デジタルサイネージ・ネットワークと PC 用スクリーンセイバーを組み合せたメッセージングシステムの導入により、従業員の職場満足度が 33%も上昇するという顕著な効果が見られました。
Netpresenter というソフトウェアを用いて、従業員用エレベーターホールの大型ディスプレイと従業員用の 1,200 台の PC にスクリーンセーバーとして最新のニュースや業務連絡を表示するほか、来院者用のエレベータホールやメインロビー、医師用ラウンジでもデジタルサイネージを用いてターゲットメッセージを表示しています。
ジョージ・ワシントン大学病院では電子メールなどのツールを持たないスタッフでも問題なく情報を受け取れるシステムが病院全体に行き渡ったおかげでコミュニケーションが円滑になったとしています。
コンテンツは内部向けと外部向けで分けられており、内部向けには医療や薬品関係のニュース、業務連絡などを、外部向けにはプロモーションや施設案内などのコンテンツを表示しています。また緊急連絡用の機能を用いた危機管理システムも準備中だそうです。
病院や企業など、組織内のコミュニケーションの改善はデジタルサイネージが活用されうる大きなフィールドだと思います。今後、このような活用事例は増えてくるでしょうね。
The George Washington University Hospital (GWUH) in Washington, D.C., reported a significant increase in employee satisfaction after installation of a mixture of interactive PC screensavers and digital signage presentations.
(Hospital Employee Satisfaction Jumps 33 Percent with ‘On Screen’ Internal Communications より、一部引用)
2009年4月のオープンに向けて13億ドル(約1,240億円)で建設中の新しいヤンキースタジアム(New York)では、1,100台のデジタルサイネージが設置されます。
約1,600万ドル(約15.3億円)で Cisco 社が受注したこのデジタルサイネージシステムでは、ファンが一瞬でもプレイを見逃す心配がないように、レストランやトイレなどあらゆる場所に HD のフラットパネルディスプレイを設置し、試合の前後に選手の成績情報やバッティング練習の様子などを放映するほか、ハイライト映像やアーカイブ、プロモーションメッセージ、周辺の交通情報なども表示します。
さらに、病気などで球場に来られないファンと選手が直接ビデオチャットできるシステムや、タッチパネル式の携帯端末から食べ物やグッズをオーダーできるシステムもスイート席には装備されるそうです。
The technological prowess acquired by the Yankees includes the ability to program 1,100 flat-panel, high-definition TV monitors with live game coverage, archival and highlight video, statistics, promotional messages and weather and traffic updates.
(Triple Plays at New Yankee Stadium - Video, Internet, Voice より、一部引用)