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デジタルサイネージキーパーソンインタビュー イオンアイビス株式会社 システム開発本部 本部長 北澤氏

2010-05-26 :, , , , , , : DSI : 7,573 views

デジタルサイネージ業界のキーパーソンにお話を聞く「デジタルサイネージキーパーソンインタビュー」9回目の今回はイオンの店舗で1000面規模のデジタルサイネージ媒体「イオンチャンネル」を運営するイオンアイビス株式会社の北澤さんに、現在の取り組みと、今後の方向性についてお話を聞いてきました。

DSI イオンさんのデジタルサイネージ事業における御社の役割を教えていただけますでしょうか?

北澤さん 弊社はイオンチャンネルというデジタルサイネージの運営そのものをしている事業者という位置づけになります。それは我々だけでは出来ないですから、広告代理店さん、実際にシステムを管理するメーカーさんと協業する形になっています。

DSI それは共同事業という事でしょうか?

北澤さん 協業はしていますが、主体はあくまでイオンで弊社がデジタルサイネージの事業主となっています。ただ実際の運営そのものは出来ないので、メーカーさん(広告主)とのやりとりは広告代理店さんにお願いしています。また実際のシステムはASP型のサービスを利用させて頂いています。

イオンアイビス株式会社 システム開発本部 北澤さん

DSI どんな部分に期待してデジタルサイネージ媒体を運営する運びになったのでしょうか?

北澤さん 弊社が実験する際に他社さんの事例が既にありましたので、それを参考にさせて頂いた部分はありますね。その中で、コンテンツの管理を我々自身でやっていかなければという流れになっていったんですね。なぜなら、デジタルサイネージの1番の目的は「放映している商品の売上がきちんと上がる」という事なんですね。それを実現するためには、売り場の展開や、価格プロモーションなどに連動しなければなりません。そこで、「場所貸し」ではなく、放映するコンテンツ、事業運営そのものを我が大元となって運用していこうという事になりました。

DSI リテールの事業者さんには52週の販売計画がありますが、それらとはマッッチしているのでしょうか?

北澤さん 現在は、完全にはマッチしていません。弊社のサイネージは売り場連動ではないからですね。通常のインストアサイネージのように商品のところにディスプレイを設置する形ではなく、レジアウトに設置している事は他の事業者さんからすると不思議に思われるかもしれませんね。

北澤さん レジアウトに置いたのは理由があります。どこに置くのが一番効果的なのかを津田沼店で実験をしました。売り場の中や通路は、アンケートをしてみると「意外と見ていない」という事に気づいたんですね。実験の結果から、一番視認率が高いのがレジアウトとエレベータ待ちの場所という事が分かりました。立ち止まらない限り、なかなか認識されないという事ですね。レジは本当なら立ち止まらせてはいけない場所ですけどね(笑)

DSI 他の会社さんの中には「レジにデジタルサイネージを置いても、既に買い物を済ませているから効果が低い」と仰る方もいますが・・・

北澤さん 食品スーパーの特性として来店頻度が高いので、その日に見て、その日に買うお客様ばかりでないという事はありますね。食品スーパーのメインユーザーである主婦の方は週に2~3回来店する事もありますので、レジに設置する事によって刷り込み効果が生まれると考えています。実験の結果として、レジアウトのデジタルサイネージで告知し商品の売上が2~5倍に伸びたケースがあります。もちろん売り場展開や価格展開といった要素もありますが、チョコレートやパスタソースなど比較的嗜好性の高い商品は良い結果が出ています。

DSI イオンチャンネルの場合、ターゲットが非常に明確なメディアかと思いますが、そこで展開するコンテンツに関しては如何でしょうか?

北澤さん 現在は広告主さまからご提供いただくのはテレビCMが多いですが、デジタルサイネージ用に静止画にトランジションを加えた表現なども取り組んでいます。今後はより効果的な見せ方について、広告主さまと一緒に作り上げていきたいと考えています。

DSI 御社は日立さんの「MediaSpace」を利用されていますが、採用に至った経緯を教えてください。

北澤さん デジタルサイネージ用のコンテンツ作成が容易なこと、全国の其々の店舗に個別の配信が出来るなど、イオンチャンネルの運用にあった仕組みだった事が採用の決め手ですね。テンプレートに動画やテキストを入れればコンテンツが作成できるという、簡単さが良いですね。他社のシステムも各々特徴があり優れた点は多いのですが、イオンの運用に一番適していたのが「MediaSpace」だったということです。

DSI 運用をされる中で効果の上がるコンテンツの方向性が見えて来た部分はありますか?

北澤さん これが「効果が上がる」というものは難しいですが。効果が上がりにくいのはいわゆる「イメージ広告的」なものですね。最後まで動画をみないと何のCM か分からないものは、デジタルサイネージにはマッチしていないかもしれませんね。コンテンツに関しては模索しながら取り組んでいる状況です。地域毎や時間帯毎にお客様が興味を持って頂きやすい仕掛けを如何に組み立てていくかという事が今後の成否に関わってくると考えています。

DSI 具体的にはどんな取り組みをされていますか?

ショッピングセンターの中にありますので、行われていている催事に如何に誘導するかといった事をテーマにコンテンツを制作するものもあります。個店毎に情報が違うので、それをどう出していくかという事もあります。

DSI 全ロールの中のCMの割合は如何でしょうか?

北澤さん 最適な割合がどれくらいなのかという事については結論が出ていません。CMだけでは面白くないのも事実なので、お客様に興味を持って頂ける情報コンテンツを挟みこむ形ですね。メインになるのは天気やその時々のイベントに合わせた情報やレシピといったものになります。

DSI 今後の方向性に関してお話いただけますでしょうか?

北澤さん お客様にもコミュニケーションツールとして認識して頂いて、レジに行った時は必ず見ますという状態に持ってかないとCMも見られない状況になってしまいます。来たお客様に当てにしてもらえるメディアにしていきたいですね。

DSI 他のお店への送客はいかがでしょうか?

北澤さん 他のテナントさんへ直接送客の取り組みは今のところは出来ていないですね。津田沼店のサイネージの実験では双方向型の取り組みもしています。タッチパネル端末を使って、クーポンをダウンロードするタイプのものです。ただ、コンテンツの鮮度を保つ管理面が大変ですね。

DSI 広告を出稿された広告主さんにはどのようにデータをフィードバックしていますか?

北澤さん デジタルサイネージを利用した店舗とそうでない店舗、デジタルサイネージを利用する前と後で売上がどのように変化したかを分析して広告主さんに提出しています。基本的には必ず効果は出ていますね。ただ、それがデジタルサイネージを利用した費用に見合うかどうかという指標がないのと、他の媒体でも宣伝はしていますので、デジタルサイネージだけで効果が上がったのかという事の計測が難しいという事が悩ましいですね。

DSI 現在の課題などはありますでしょうか?

北澤さん 現在は販促費を出す方達とはやりとりはしていますが、広告宣伝費を出す担当者さんとはあまり話が出来ていないですね。デジタルサイネージが販促の一つのツールとしてしか見られていないという状況があります。ターゲットメディアという特性があるのに販促ツールとしてしか認識されていないのはもったいないですね。

北澤さん 刷り込み効果を狙えるメディアなので、企業の理念や社会貢献をアピールする広告を出す事によって、企業のブランドイメージを上げて、商品が売れるという事も出てくると思っています。

DSI 私もコーズリレーテッドマーケティングやCSR活動とデジタルサイネージの関わりが一つのテーマになってくると考えています。今後は企業のブランドマネージャーさんにデジタルサイネージの可能性を知ってもらう事になってくるかもしれませんね。

北澤さん そうした事は以前から広告主さんに伝えてはいます。メディアとしての認知が高まれば可能性が広がってくると考えています。

DSI ローカルなクライアントさんの割合は如何ですか?

北澤さん 今のところは積極的にアプローチしていませんのでほとんどないですね。ローカルなクライアントの開拓は今後の課題だと認識しています。当てにされるイオンチャンネルにしていきたいですね。

DSI 投資回収に関してはどのようなシュミレーションをされていますか?

北澤さん 3年で回収というのが一つの区切りにはなります。市況がこれ以上悪くなる事も考えずらいので・・・私達もパブリシティを使ってこのメディアの宣伝をしていますので、広告代理店さんも含めて、広告宣伝費を使うメディアとして早く認知してもらいたいですね。

DSI 今後の方向性についてお聞かせください。

北澤さん 設置店舗については250 店舗位までは伸ばせると考えています。面数でいうと2500~3000面ですね。今後はジャスコだけではなくグループ会社の中で地域一番店舗に設置していく必要があると考えています。

イオンのインストアで展開するデジタルサイネージですので、そこに来られるお客様とのコミュニケーションツールにするために、どんな情報を流したらよいのかという事をさらに突き詰めていきたいですね。特に地域の情報などを含めて「あっこんな事があるんだ!」という気づきを提供できるように出来ればと思っています。CMがいいのか、地域のイベント情報がいいのか、今後は運営をしながら考えていかないといけないですね。

お店はデジタルサイネージを利用する事によってタイムリーに情報発信できると共に、紙の利用を削減することができます。プロモーションを告知する際のオペレーションコストや、紙資源の削減は期待できます。

DSI 今日はありがとうございました。
(インタビュー終わり)

簡単にまとめ
3年前のデジタルサイネージの状況と大きく変わった事として、イオンさんのような大手流通事業者さんが広告モデルの事業に参入された事があります。今後、実証実験を通じて得られた知見や運用の過程で蓄積してたノウハウを元に、更にサイネージの媒体として洗練されてくるのではないかと思います。北澤さんが仰るようにお客様に「当てにされるメディア」に進化していくのが楽しみですね。

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キーパーソンインタビュー 新たなASPサービスを提供開始 ソニー株式会社

2010-02-12 :, , , , , , : DSI : 600 views

毎回デジタルサイネージ業界で先進的な取り組みをされている企業のキーパーソンにインタビューする「デジタルサイネージキーパーソンインタビュー」。第6回である今回は、先日デジタルサイネージASPサービス「ASP pro」、「ASP Entry」をリリースされたソニーの相澤さん、坂尾さん、植田さんにお話を聞いてきました。

DSI 液晶テレビやノートパソコンなどのコンシューマー向けの製品を多く扱っているメーカーであるソニーさんはどのようなスタンスでデジタルサイネージ事業に取り組んでいらっしゃるのでしょうか?

坂尾さん デジタルサイネージはこれから成長が期待される分野です。 デジタルサイネージのビジネスは、ソニーのB2B事業の中で、サービス&ソリューション事業部に位置づけられ、ソニーの持つディスプレイなどのハードウェアとサービスを組み合わせお客様のニーズにあわせたソリューションを提供していきたいと考えています。これまでの取り組みの中ではアドバタイジングサービスとしてソニーが運営する専用チャンネル「ミルとくチャンネル」が比較的大きくとりあげてられていますが、広告配信サービスだけでなく、ソニーとしてお客様の様々なご要望にこたえられるようトータルなサービスを提供させていただくというスタンスになりますね。

サイネージビジネス部ソリューション事業統括課長 坂尾さん

DSI デジタルサイネージに関する取り組みはいつ頃からスタートしているのですか?

相澤さん 2002年からネットワークプレーヤーという製品をリリースしています。当時からデジタルサイネージという言葉を使い、製品ラインナップを展開する企業としては早い取り組みだったのではないでしょうか。その当時は「デジタルサイネージ」に関する認知度がまだ低く、なかなか理解いただけないこともありましたね。現在は、お客様の認知も高まり、おかげさまで多くの事例に取り組ませて頂き、社内でノウハウも蓄積されるようになってきています。


サイネージサービス部サービス事業企画課ビジネスプロデューサー植田さん(左)サイネージビジネス部メディア事業課統括課長 相澤さん

DSI 現在御社の手がけているデジタルサイネージに関する製品やサービスを簡単に教えて頂けますか?

植田さん ソニーではこれまで大きく分けると3つのソリューションを提供してきました。従来から取り組んでいる、自社でデジタルサイネージを運用されるお客様向けの機器販売、弊社が運用を手がける「マネージド(運営受託)サービス」、デジタルサイネージの広告出稿を希望されるお客様向けの「アドバタイジングサービス」になります。そして今回、新たにASPサービスを発表させていただきました。

DSI 3つのソリューションがある中で、新しいASPのサービスはどういった位置づけになりますか?

坂尾さん 今まで機器販売で提供してきたデジタルサイネージプレーヤー「VSP-NS7」は数台から200台までの配信に対応した製品なります。2008年からは最大10,000台までの広域・多拠点にコンテンツ配信が可能なデジタルサイネージプラットフォーム「BEADS」を開発し、運営受託サービス、アドバタイジングサービスを提供開始しました。
これまでサーバー構築費などの初期導入コストがデジタルサイネージの導入の大きな導入障壁になっていましたが、ネットを活用しながらセキュアなコンテンツ配信が可能な「BEADS」のテクノロジーをベースに、より簡単・スピーディに運用していただくために今回新たにASPタイプのサービスを提供する運びになりました。

DSI 確かにデジタルサイネージの可能性に興味を持っていただいても、初期導入コストの高さで導入を躊躇されてしまう企業も多いですからね。

坂尾さん はい。本来であればデジタルサイネージを利用すれば、もっと効率的な情報配信や販促が行える企業様が、導入に踏み切れていないという問題を解決するために生まれたのが今回の「ASP Pro」と「ASP Entry」なんですね。

DSI 「ASP Pro」の特徴はズバリどんなことでしょうか?

相澤さん 広告媒体としてのデジタルサイネージ運用に関しては、編成担当者、広告代理店、コンテンツ制作会社といった様々な方が携わる事になります。現場のオペレーションやワークフローの最適化に徹底的に拘ったことが大きな特徴です。「ASP Pro」では、Webブラウザー経由で、離れた場所にいるそれぞれの担当の方が効率的に業務を行える仕組みになっています。編成を決めたあと、制作会社が制作したコンテンツを登録し、広告代理店が承認して、最終的に入稿をチェックするといった一連の流れを「ASP Pro」を使って行うことができます。また、広告配信を意識し、広告主の競合CMが並ばないようにしたり、自動車CMのあとにアルコール関連CMが流れないようにするなど、コンテンツのメタデータを活用することにより、ヒューマンエラーを回避できるようにしています。


ASP_Pro管理画面

DSI 「ミルとくチャンネル」で御社が広告媒体事業を行って蓄積したノウハウが詰まっているということですね。

坂尾さん そうですね。現場でデジタルサイネージに関わる方がより効率的に作業を行える事をテーマにしていますので、ASP Proを交通広告や放送関連の事業者様などにご利用いただければと考えています。

DSI もうひとつの「ASP Entry」はどんなサービスなのでしょうか?

植田さん 流通チェーンや飲食店、文教、金融向けのサービスで、「コンテンツクリエイター for BEADS」を使って簡単にコンテンツ制作・配信ができることが最大の特徴ですね。最初から業種や用途に応じたテンプレートが用意されていますので、デジカメで撮影した商品写真などを選択して、コメントを記入するだけで配信の準備ができてしまいます。時刻設定→パターン選択→コンテンツ入力→確認という短いステップで、パソコン操作が苦手な方でもデジタルサイネージを利用することができます。


実際に「コンテンツクリエイター for BEADS」デモ画面を見せていただく

DSI ホントに簡単ですね!特に流通の現場では「うちのスタッフはワードしか使えないからデジタルサイネージのソフトを覚えるのは無理」といった事や配置転換が頻繁にあるのでこの簡単さは現場向きですね。あとテンプレートに店員さんの顔写真が入るものはいいですね。

植田さん チェーン店の場合、全店で統一的に配信しないといけないメッセージと、例えば、雨が降ってきているから「雨の日サービスを告知しよう!」といったローカルなメッセージの両方が必要になります。デジタルサイネージの特徴であるタイムリーな情報配信に、ツールの使いやすさは必須ですね。


「コンテンツクリエイター for BEADS」で作成したサンプル画像

相澤さん 実際に利用している店舗でも、使っていただくうちに写真撮影なども含めて、訴求内容が分かりやすくなり、さすがだなと感心させられました。スタッフの方も自分の写真が掲載されることで、責任感も出てくるといった話も聞こえてきます。簡単に操作できるからこそ通常業務の一環としてデジタルサイネージを活用いただけるのだと思います。

坂尾さん 簡単に使えることと高度な機能は常にトレードオフの関係にありますが、「ASP Entry」は名前の通りこれからデジタルサイネージをはじめて頂く方向け、「ASP Pro」は広告事業をされているプロフェッショナルな向けと利用用途を想定しています。

DSI リリースを発表されてからの反響や今後の目標を教えてください。

坂尾さん はい。おかげさまでリリース直後から引き合いを頂いております。富士キメラ総研の調査によれば2012年のデジタルサイネージの市場規模は829億と予測されていますが、弊社としては市場の拡大に合わせて2010年中にASPのサービスを利用するデジタルサイネージが1000面程度になることを目標としています。弊社の3つのサービスの柱に新たな「ASP Pro」、「ASP Entry」をあわせてお客様のニーズにマッチしたデジタルサイネージを提供していきたいですね。

簡単にまとめ
前回は「ミルとくチャンネル」についてお話を聞かせて頂きましたが、そこで実際に広告事業を媒体主としてオペレーションされる中で蓄積されたノウハウが今回のASPサービスに活きているように思いました。現在多くの事業者さんからASPタイプのデジタルサイネージサービスが提供されていますが、そのことがソニーさんのひとつの強みになっていると思います。どんなITのツールでも実際に使うスタッフの方が「面倒だなぁ・・・」と思ってしまうと途端に使われなくなってしまいますので、「現場で使ってもらう」ことを意識したサービスは大事ですね。エントリータイプは月額7,560円とお求めやすい価格になっているので、流通系のチェーン店さんなどにも受け入れられやすそうですね。

<サービスに関するお問い合わせ:>

ソニーブロードバンドソリューションOfficial Web:http://www.sonybs.co.jp/beads/
業務用商品相談窓口:0120-788-333

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