日本初のデジタルサイネージ・コンサルタント、デジタルサイネージ総研(TM)が国内および海外の最新情報や市場の動向をお届けします
デジタルサイネージには、「テレビに代わる新しい広告媒体」とか、「販促の手段としての店頭 POP の進化形」とか、 「紙のポスターのデジタル化」、「最新情報を必要な場所に即座に伝えるリアルタイム情報掲示装置」などなど、様々な用途が考えられているわけですが、そのひとつである「次世代広告媒体」としての側面に注目した記事です。
広告媒体としてのデジタルサイネージのメリットを、
デジタルサイネージは、従来看板が持っていた、「極めて限られた地域のターゲットへ」「何度も閲覧させる」メリットを活かしつつ、「柔軟な変更が難しい」デメリットを払拭したものである。
とわかりやすく説明するなど、とてもよい記事だと思います。また、インターネット広告とデジタルサイネージとの違いを、
ネットワークというとインターネット広告も大きな市場になっていくことが見込まれているものの、デジタルサイネージは “リアルに存在する” ため、リーチできるユーザー層のセグメントをインターネットとは分けて考えることができる。
と、これまた簡潔に説明してくれています。さらに、こんな興味深い記述もあり、デジタルサイネージへの期待感を煽ってくれています。
電通によれば、屋外広告と交通広告を合わせた市場で約5千億円以上、展示・映像ほかは3500億円程度の規模と試算されており、これがすべてネットワーク 対応のデジタルサイネージに変わることがあれば、「渋谷ジャック(渋谷の交差点の広告をすべて同じ商品などで統一すること)」どころか「日本ジャック」が TV程度の広告費で可能になることも予想される。
昨今製品のライフサイクルは短命化の一途をたどっており、その中でより早い情報のインターネット広告が注目されている。しかし、リア ルに存在する広告媒体が同様のスピード感で情報を発信できれば、TVCM以上に多くの人々の目に触れつつ、Googleの検索連動型広告以上にニッチな広 告活動を展開できる。デジタルサイネージはその可能性を秘めているのである。
記事中でさりげなく取り上げられている、デジタルサイネージ福岡「街メディア」を運営する COMEL(コメル)という会社は、実はソフトバンクテレコムの子会社で、同じソフトバンク系列の会社だったりするのですが、それはご愛嬌といったところでしょう。
売上アップ≫通信/ネットワーク-ITとの融合が進み、次世代広告媒体として導入の進むデジタルサイネージとは:ソフトバンク ビジネス+IT
公共性の観点から、デジタルサイネージと広告公害について 考えてみたいと思います。
デジタルサイネージは、またの名を「アウト・オブ・ホーム・アドバタイジング(屋外広告)」と呼ばれるように、公共空間(パブリック・スペース)に設置されるものです。そのため、やはり広告公害の問題とも無縁ではいられないでしょう。
2006年の話になりますが、ブラジル・サンパウロ市では、屋外広告を大々的に規制する法案が成立しました。
サンパウロ市議会は26日、市内のアウトドアー広告公害追放をめざすカサビ市長法案を賛成41票、反対1票をもって可決、カサビ市長は同日裁可した。来年1月1日から実施される。
ビル、私有地、公有地に無秩序に立てられた看板や商店の宣伝を規制する内容で、実施によって市内の景観をよくするのが狙い。
具体的には電子パネル、アウトドアー、バナー、横断幕等による広告の規制で、商店、銀行、サービス会社は正面看板を縮小させられる。
また、タクシー、飛行機、飛行船による広告、街頭での宣伝ビラ配布も禁止する。違反に対する罰金は最低が1万レアル。
この法案は 2007 年には実際に施行された模様です。街の様子を撮影した画像が公開されています。
> São Paulo No Logo by Tony de Marco:Flickr.com
また、実際に看板が撤去された街に対する人々の反応や様々な副作用についてはこちらの記事(英文)で見ることができます。
それによると、撤去の対象がポスター部分だけであったため枠の部分はそのまま残されてゴーストタウンのような景観になってしまっていることや、貧乏な人たちの中には自宅の庭や住宅の壁面を広告スペースとして売ろうとする人々が現れるなどの予想外の事態が報告されています。
São Paulo: The City That Said No To Advertising
個人的には、単に広告を撤去すればよいというものではなく、むしろそのクオリティや内容の方を問うべきだろうと思っています。例えばロンドンの地下鉄(Tube)には壁面いっぱいに直貼りされたクールな巨大ポスターがあった方が断然いいと思うし、とにかくカッコよくて人々を楽しませてくれるようなポスターである限りは、公共の利益にそれほど反しないんじゃないかと思います。
とはいえ、デジタルサイネージは家庭のテレビと違ってチャンネルを変えたり電源スイッチを切ることができないわけですから、無理矢理見せられて不快な内容・クオリティであれば広告公害となるでしょう。そういった意味で、公共性というものをこれまで以上に意識せざるを得ないメディアであると言えるのではないでしょうか。
他方、海外では建物の壁面全体がデジタルパネルで構成されたような建築物がすでに登場し始めており、それに関する国際会議なども開かれています。こうした「デジタルサイネージ建築」とでも言うべきものについてはまたあらためて書こうと思いますが、これはデジタルサイネージが単なる看板としてではなく、都市の景観そのものを形作っていく可能性があるということではないかと思います。そうなるとますます公共性というものが重要になってきますね。
アメリカのデジタルサイネージ市場に関するリポートを日本語に翻訳したものを公開します 。
2007年12月20日付けで新しいマーケティングリポートが発表されています。
http://www.emarketer.com/Article.aspx?id=1005697&src=article1_newsltr
以下に簡単な翻訳を載せておきます。
2007年12月20日
屋外広告には広告そのものとほぼ同じだけの歴史があるが、この古いメディアがいま新しく生まれ変わろうとしている。
実際のところ、デジタル、ビデオ、およびワイヤレス技術は今後数年間のうちに屋外広告というジャンルを刷新し、インターネット広告以外のあらゆる広告媒体をしのぐ成長をもたらすだろう。
eMarketerは、米国の屋外広告収入の総収益が2006年の68億ドルから2011年には102億ドルに上昇すると予測している。

「屋外広告はトレンドに逆行している」と言うのは、 eMarketerのシニアアナリストであり 屋外広告:最新レポート(Outdoor Advertising: A New Look)の著者でもあるベン・マクリンである。「他の伝統的な広告が、ますます断片化する観客や目まぐるしく変わるメディア消費パターンへの対応に苦戦する一方、屋外(out-of-home)広告部門に対しては進化するメディア環境が有利に働いています」。
テレビやラジオと異なり、屋外広告はチャンネルやウェブサーフィンによる影響を受けにくく、またデジタル技術とビデオ技術がそのメディアをますます魅力的かつ効果的なものにしようとしている。
この新技術にとってのチャンスが広がりつつあることを示す一例として、屋外ビデオ広告のネットワークが「オルタナティブな」屋外広告と呼ばれる分野の最大の構成要素になろうとしていることが挙げられる。
「アウトオブホーム(OOH)ビデオ(narrowcastingとも言う)とは、小売店、交通機関、オフィスビル、ショッピングモール、劇場、バーやレストラン、 ガソリンスタンド、ホテルおよびジムといった場所で、観客に視聴させるビデオコンテンツや広告を差します」とマクリン氏は語る。
eMarketerでは、米国における屋外ビデオ広告に対する支出額が、2007年の合計22.5億ドルから2011年には12.6億ドルに上昇するものと予測している。

フラットパネル液晶ディスプレイのコストの低下が IP およびワイヤレスインターネットの出現と相まって、屋外ビデオ広告の市場を牽引している。
「屋外広告部門にとってのもうひとつの重要な追い風要因は、米国の消費者がより多くの時間を、家の外で、ショッピング、レストラン、ウォーキング、旅行や待合せなどに費やすようになっていることです」と、マクリン氏は言う。
Veronis Suhler Stevensonによれば、米国の消費者は30年前に比べて2倍の時間を家の外で過ごし、通勤に要する平均時間も倍増して約1時間に伸びている。
「広告配信や効果測定のための新しいツール類も、屋外広告が提供する新しい創造的な可能性を受け入れることに対して広告主たちに信頼感を与え始めています」と、マクリン氏は言う。
詳細は、eMarketerの 屋外広告:最新レポートをお読み下さい。
シカゴとニューヨークで撮影してきたデジタルサイネージの事例を編集してまとめました。
題して『Digital Signage Report May 2007 in USA』です。シカゴで行われたデジタルサイネージ EXPO の様子も一部含まれています。
アメリカでは空港や駅だけでなく、ファーストフードチェーンや銀行、放送局、美術館など様々な場所で使われています。特にニューヨークのタイムズスクエア周辺の巨大デジタルサイネージ群は圧巻です。